トニオ・クレーガー(18)
—————————【18】——————————————————
Im Grunde glaubte er nicht sehr fest
an das, was Hans gesagt hatte, und
fühlte genau, daß jener nur halb soviel
Gewicht auf diesen Spaziergang zu zweien
legte wie er. Aber er sah doch, daß
Hans seine Vergeßlichkeit bereute und
es sich angelegen sein ließ, ihn zu
versöhnen. Und er war weit von der
Absicht entfernt, die Versöhnung
hintanzuhalten...
——————————(訳)—————————————————————
本当の気持ちを言えば、トニオはハンスの言った
ことをあまり信じてはいなかったのだが、はっき
り感じ取っていたことがあって、あちらさんはハ
ンスほどには、このふたりだけの散歩というもの
を重く受け止めていないということだった.だが、
トニオは見て取っていた.それはハンスは自分が
散歩を忘れていたことを反省している、そしてこ
ちらの機嫌をとろうとしてることはよくわかった.
なので彼トニオはハンスのそうした仲直りをしよ
うという気持ちを無視つもりなどまるでなかった.
—————————《語句》————————————————————
im Grund[e][genommen]:根本的には、結局のところ
意訳:「根本的に」→「心の奥では」、「本当の気持ちは」
glauben an et⁴:~を信じる
fühlte:(過去形) <fühlen (他) 感じる
genau:(形) 正確な、ぴったりの;(副) ちょうど、まさに
jener:(不定代名詞) あちらさん [ハンス]
das Gewicht:(E式) 重さ
Gewicht auf et⁴legen:~を重視する
zu zweien:ふたりで
Spaziergang zu zweien:ふたりだけの散歩 [意訳]
wie er:(wie = sovielと呼応する比較対象指標、
er=トニオ[こちらさん])
die Vergeßlichkeit:(複数なし) 忘れっぽいこと、健忘症
bereute:(過去形) <bereuten (他) 後悔する、悔やむ
悪かったと思う[意訳]、反省する[意訳]
es sich angelegen sein ließ ihn zu versöhnen:彼と仲直り.
sich³ et⁴ angelegen sein lassen (重要視して) 事⁴ に努める
事⁴を気にかける、 事⁴に関心を持つ
angelegen:(形) 重要な、気にかかる
versöhnen:(他)(jnを)宥める、(の)怒りを鎮める;仲直りさせる
sich⁴ versöhnen 仲直りする
die Versöhnung:(弱en) 仲直り、和解、宥和
ここではハンスの「仲直りしたい気持ち」のこと.
hintanzuhalten:(zu不定詞) <hintan/halten
❶遅らせる、妨げる、
❷後回しにする、軽視する、無視する
die Absicht:(弱en) 意図、もくろみ、~するつもり
entfernt:❶[付加語的に] 遠く離れた
❷[述語的に](…の)距離のある
<entfernen (他)❶ […⁴を] 取り除く
einen Fleck aus einer Hose entfernen /
ズボンのしみを抜く
❷[…⁴を]遠ざける
sich⁴entfernen:(再) 遠ざかる
weit davon entfernt sein ⦅zu不定詞句と⦆:
~するつもりはまったくない
Und er war weit von der Absicht entfernt,
die Versöhnung hintanzuhalten.../
そして彼は、仲直りを無視するつもりは
さらさらなかった.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます