さっぷいさっぷい外語学院(生徒:ゴタ、張るカイロさん)

ご一緒に学習を!
私は先生ではありません.間違いだらけかと思います.
ご容赦下さい.

1262番:アルト・ハイデルベルク(140)

2022-05-10 21:32:54 | 日記


アルト・ハイデルベルク(140)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌


——————————【140】—————————————————

..............Lutz: Meine liebe Frau Dörffel,  es  gibt  etwas  für  einen  Mann
...........................meines Standes,  das schlimmer ist,  als alles andere.  Wenn
...........................man  das feine Gefühl  für  die Schranken  verliert,  welche
...........................Stand und Bildung auferlegen.  Es kommt vor,  dass ich mit
...........................Ihnen und den anderen Fruen in der Küche sitze  und Kaffee
...........................trinke.  Weil ich mich aussprechen muss,  weil ich nicht ewig
...........................allein sein kann.  Ich habe die Selbstachtung verloren. 

....Fr. Dörffel: Ja, freilich, freilich.

..............Lutz: Gehen Sie jetzt.  Ich werde versuchen, eine halbe Stunde 
............................zu schlafen.

....Fr. Dörffel: Die Käthie ist draußen und kocht Kaffee.  Will der Herr
............................Lutz schon Kaffee trinken ?

..............Lutz: Nein.

....Fr. Dörffel: (räumt Eimer, Scheuertuch etc.  zusammen;ziemlich
...........................umständliche Pause,  dann ab).


——————————— (訳) ————————————————

................ルッツ:ねえ奥さん、私のような立場の人間には、何よりも
.................................具合の悪いことがあるのですよ.それは身分と教養
.................................が課す限界に対する繊細な感覚を見失う時のことな
.................................のです.それは、あなたや他のご婦人たちと一緒に
.................................台所で座ってコーヒーを飲んだりするときに生じる
.................................感覚麻痺です.私だって腹を割って話したりするん
................................だし、いつまでも一人きりというわけにもいかない.
................................私の自尊心は無くなり果ててしまったよ.

デルフェル夫人:はい、それはそれは、ごもっともで.

.................ルッツ:ではもう行ってください.半時間ほど寝てみます.


デルフェル夫人:ケティーが外でコーヒーを立てていますわ.ルッツ
.................................さん、もうコーヒーをお飲みになりますか?

.................ルッツ:いや、いらない. 

デルフェル夫人:(バケツ、雑巾などを片付け、まとめる;なかり)
..................................長ったらしい間.そしてやっと退場)

 

———————————《語彙》————————————————

Meine liebe Frau Dörffel:婦人への呼びかけ(親愛なるデルフェル夫人)
     一般の人に対する丁寧な呼びかけです.こうした戯曲ならば
     Gnädige Frau (奥様) と呼びかけてもいいかもしれませんが、
     デルフェル夫人の場合は、宿の仲居さんなので
          Meine liebe Frau Dörffel が最上級の呼びかけだと思います.
schlimmer:(形、比較級) <schlimm  ①悪い、憂慮すべき、深刻な、
           ②  好ましくない、悪い、不都合な、具合の悪い、困った   
das Gefühl:(e式) ①感覚、②感情        
die Schranke:(弱n) 遮断機、垣、垣根;[複で] 限界、制限       
verliert:(3単現) <verlieren (他) 失う、なくす、紛失する
      3変化:verlieren--verlor--verloren      
auferlegen, auf/erlegen:(他)(負担、義務などを) 課す  
welche:(関係代名詞) 先行詞はdie Schranken「制限」      
der Stand:(変e) 身分 
die Bildung:(弱en) 教養    
vor/kommen:(自/s) 起こる、現れる、生じる
    (場所副詞と共に) 見られる、存在する     
die Frau:(弱en) 婦人、女性、女
die Küche:[発音キュッヒェ] (弱n) 台所、調理場  
aus/sprechen:(他) 発音する、述べる、話し合う  
   sich⁴ aus/sprechen  心中を打ち明ける    
ewig:(形、副) 永久(に)の、永遠(に)の   
die Selbstachtung:自尊、自敬         
räumt :(3単現) <räumen (他) 運び去る、除去する、片付ける
der Eimer:(同尾) バケツ、手桶  
das Scheuertuch:(変er) 雑巾      
umständlich:(形) くどくどした、回りくどい

        

—————————≪文法と独文解釈≫————————————————

es gibt etwas für einen Mann meines Standes, das schlimmer ist, 
als alles andere. 
私のような立場の人間にとっては、他の何にも増して
具合の悪いことがあります.

für einen Mann meines Standes が挿入されていて、分かりにくいのですが
es gibt etwasの後にはdas schlimmer ist, als alles andere という.関係節が
つづいています.つまり、
 es gibt etwas das schlimmer ist, als alles andere.
 「何よりも具合の悪いことがある」
という文に
 für einen Mann meines Standes「私のような立場の人間にとって」
というフレーズが放り込まれているので、訳すときは挿入部分を
引っぱり出して訳します.
 「私のような立場の人間にとっては」+「何より良くないことがある」

文の構造が違うドイツ語は先行詞と関係代名詞の間という隙間に
フレーズが挿入されることがあります.日本語の修飾関係では
ありえないことなので注意が必要です.しっかり閉めたはずの
食器棚に入って来る虫に注意しましょう.これをお邪魔虫と呼びます.
(うそです、ごめんなさい、でも注意しましょう)

今回とは関係ないのですが、挿入といえば、冠詞と名詞の間にさえも
入って来ることがあります.是非ご注意を!

本当にどこにでも入って来る挿入句、挿入文には完全に馴れきるまで
悩まされます.そういえば、天井裏でネコがネズミを追っかけていた
ことがありました.あいつら、どこから入ったのか、不思議でなりま
せん.

脱線ついでに、冠飾句とよばれる挿入の例がありますので書いておきます.
『独文解釈の研究』(郁文堂)P 4 ~p 5 に
Das Gefühl der Heimat haftet nicht nur an den von der Natur geschaffen Formen
der Landschaft. 

単語を書きます.
das Gefühl der Heimat:郷愁 
heften:くっつける;an ~ haften ~にくっついている
schaffen:[強変化]創造する、[弱変化]行なう
die Landschaft:県、近郊、風景  

そして冠飾句とよばれるフレーズがこれ: von der Natur geschaffen
何がすごいといって、den Formen という冠詞と名詞の間に入って来る
のですから、びっくりします.漬物とごはんの間には、お茶は入っても
チョコレートは入らないだろうが、それに似たようなものだ.
漬物冠詞とごはん名詞の間には入るのはお茶形容詞ぐらいものものだが...

この課の解説によりますと、冠飾句は形容詞として考えればよいとの
ことです.(だってそう考えないとおさまりがつかないものね)
 [冠詞 + 形容詞扱いの冠飾句 + 名詞] なのだそうですよ.

とてもお茶とはいえない、どちらかというと抹茶チョコみたいな
形容詞ですけど、一応この冠飾句は形容詞ということでございます.


(訳)郷愁は、風光という、自然によってつくられた形に密着している
だけではない.

せっかくだから、この続きの文も書いておきます.nicht nur と呼応する
文ですから!

Es setzt zugleich auch alle die vielfältigen Beziehungen zu den Menschen 
voraus, die in dem Lande wohnen und wirken, zu dem, was der Mensch 
aus diesem Lande gemacht hat.  
.
zugleich:同時に
vielfältig:多種の      
die Beziehung zu ~ :~との関係
voraus/setzen:前提とする          
wirken:活動する

(訳)それはまた同時に、その地に住み働いている人々とか、この
土地から人間がつくったこととかに対する、いっさいのさまざまな
関係を前提としているのである.
 


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