
昭和記念公園の中にある日本庭園の中の、また一角で盆栽展が開かれていました。
若い女性が、「なに、これ」と見ておられました。
今日のタイトルは、「距離感」です。
居酒屋で、小さなテーブルを挟んで数人で飲んでいます。
隣りの声は気にかからない、飲み仲間の声は聞こえる絶妙な距離が、約1m。
恋人同士だと30cm。
親しくなる途中のカップルで50cmくらいでしょうか。
この微妙な距離が、親密度を表しています。
あなたは、パートナーとどのくらいの距離感ですか。
1.5m。
うーん。破局も遠くないですね。
子供を挟んでそのくらいなら良しとしましょう。
盆栽を見る時の距離感は、絵を見る距離と似ています。
全体を見て、そのバランスの妙に感動します。
こんなに小さいのに300年の樹齢なんだって。
突っ込まず、かといって下がらず、絶妙な間合いで鑑賞されています。
目線は、見たい部分の高さです。
この姿が美しい。必然性を感じます。
剣道にも間合いがあります。
打ち込んで届く距離。
防御して対処できる距離。
その極限まで間合いを詰めていきます。
何かがパンと弾ける瞬間がやってきます。
自然に背筋は伸びます。
突進も、引くこともできる間合いです。
これも凛としてすがすがしい。
距離感は、人間関係の間合いです。
ユーミンではないですが、私は喫茶店や路上で人を観察するのが好きです。
ユーミンは変装して、喫茶店で密かに若い女性のトークを聞いて、詩のモチーフにしていたらしい。
この人は、何を考え誰を待っているのかな。どちらに行こうとしているのかな。
ふとした動作や表情に「人」が透けて見えるような気がすることがあります。
カップルを見て、どこまでの関係かなとか。
この観察は、電車の中でも同じです。
会社の中でも。立場や親しさによって距離感が違います。
社長に挨拶するときは、どうしても2mはとります。
それ以上は踏み込めない。
初めての人は2.5mくらいですから、社長は少しだけ親近感があります。
外国の方と対面するとき、初めは握手です。
二回目からはハグになります。女性とは、もう少し知り合いになってから。
ところが、アルコールが入ってしまうと、誰とでも肩を組んで歌います。
これは何でしょう。あの神経戦のようなバリアーが吹っ飛んでいます。
将棋の棋士は、序盤は遠めから、白熱してくると前のめりとなり局面を凝視します。
必然的な距離感が紡ぐ人間関係が好きです。
それを観察し予想するのが好みです。
うっかりと 踏み込むなかれ 好きならば
2016年3月14日