故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

当事者意識

2021-05-26 12:00:52 | よもやま話

絵のタイトルは、「いちゃりばちょーでえ」(沖縄弁)です。
袖触れ合うも他生の縁とでも訳すのでしょうか。


今日のタイトルは、「当事者意識」です。
大分県宇佐市で、「村八分」をしたと認定され、被告に損害賠償を命じた判決が出た。
一挙に、田舎の闇とか老害とか、ネット上に非難記事が溢れている。

田舎とは言わず、どこにもあることです。
都会の転職先で、三年間は本業をさせてもらえなかった。
回ってくるのは、困りごとのような仕事だけでした。
信用(即戦力)してないのなら、採用するなと思ったものです。
開かれているはずの外資系の会社にも、日本人の村社会がありました。
日本の大会社には閥があり、閥から会社の女事務員の引っ越しの手伝いをしろと話がありました。

ここに越してきて、未だに村人だったり、なかったりです。
自治会費は、惣代が作る名簿により徴収されたりされなかったりです。
3年間も草刈行事のリストに入っていませんでした。
有力者に頼んで、リストに入れてもらい参加させてもらいました。

市役所が斡旋した古民家は、電気、水道、ガス、それに井水も止まっていました。
真っ暗闇に寝起きし、ペットボトルの水を飲みながら、初日の出勤を済ませました。
生活の基盤を整える猶予もいただけませんでした。
死んだまんまの民家の中は、箪笥からは衣類が飛び出し、あたかも泥棒が入ったかのような状態でした。
五年間片づけられない、そんな古民家を市役所と世話人が斡旋してくれました。
片付けている途中で、この家に抵当権が設定された赤札が出てきました。
市役所に、「このまま住めるのか」と問うと、「すぐには執行しない」との返事でした。

こんなこと、どうってことはありません。
畑をやっていると、老人三人がコーチしてくれました。
一人二時間×3人で、6時間は畑仕事ができませんでした。
不思議なことに、三人が同時と言うことはありませんでした。
それぞれが、それぞれの悪口を言われていました。
身元調査も終わったのか、二年目には一人一時間になり、冗談を交わすようになりました。
老人の仕事を無償で手伝うようになった三年目には、笑顔の挨拶だけになりました。

会社の会議では、常に上司が口火を切りました。
会議の結論は出たも同じです。
後は、担当の番が回るまで答弁の準備をされ人の話は聞いていません、終わると寝ておられました。

ここからが、「当事者意識」です。
大会社の閥に属する直属上司が、社員の評価は、「能力x労働時間」とおっしゃいました。
能力が無くても労働時間が長ければ、評価されるのはおかしいと、上司に食いつきました。
後に訂正されました。

地域の人の似顔絵を300枚描きました。
地区の人、世話になった人、これから世話になる人の似顔絵を描き、
その人の良いところを探しました。
それが発展し、地域のよいところを探すようになりました。
似顔絵は、喜ばれました。書き直しも命じられました。
きれいになっていれば、「嘘」だと言われ、本当のことを描くとおこられました。

地域である体育会(ソフトボール)に出かけ、活躍する雄姿を撮りました。
打ち上げに間に合うように、印刷して打ち上げ会場にピザやお好み焼きの差し入れと一緒に届けました。

またある時は、60年に一度回ってくる惣代(力士)が行う奉納相撲がありました。
熱戦の様子をコマ追いのように撮りました。
これも直会(なおらい、反省会)に間に合うように印刷して届けました。
各惣代の回し姿もA4に拡大し、額に入れ各惣代に届けました。

地域の草刈をさせてもらえないならと、持ち主の許可をもらい空き家の草刈、剪定をしました。
5軒の空き家の草刈(2週間ローテーションを初春から晩秋迄)をしました。
刈れない事情が分かってきました。
カフェの前を散歩する人が増えました。4倍増です。
してやったりです。

親が、村八分になったら。
大学に入った子供が、酷い空き家を斡旋されたら、あなたはどうしますか。
先ず、どうして?と答えの見つからぬ疑問を持つでしょう。
次に、理不尽な差別(いい加減さ)に精一杯抗議されるでしょう。
あなたが元気なら、親を引き取り、子どもの大学に文句を言うでしょう。
できぬまでも、ネットに書き込むことだけはしないでしょう。
当事者の「親」も「子供」も救われることはありませんから。

口火を切りたがる上司に食いつきました。
9人の担当者がいたら、あなたが席を回りホームラン競争のような実績報告を聞いたら良いでしょう。
会議では、互いにアドバイスしたり、皆で話さなければならない自由で困難な議題にしたらどうでしょう。
上司は、きょとんとされて、何を言われているのか分からない様子でした。
会議に出席している同僚は、長くなるからと迷惑顔でした。
あんたらのためと自分のために勇気を奮い起こして言っているのにと、臍を噛む想いでした。
外人の上司は判ってくれ、友人になりました。

移住を勧める側も、移住希望者も、事前にシミュレーションすることです。
勧めるあなたが移住者になり、移住希望者のあなたが良い点を探して勧めてみたらいかがでしょう。
シミュレーションこそ、真剣な「当事者意識」がないとできません。
都会にも田舎にも、理解者もいれば、我利我利亡者もいます。
「馬鹿な」とネットでたたくことだけは止めませんか。
あなたが、その立場になったらどうするか、考えましょう。
知恵を絞って、体力を使って挑戦することです。
私は、良い経験をさせていただいたと喜んでいます。
この経験と気持ちの切り替えをシェアしたい。
長くなりました。
読んでくださり、感謝します。

2021年5月26日
コメント
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