地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

スピリチュアルな旅 ~ヤクスギランド満喫~

2008年08月17日 | Weblog
次の日も朝から雨。

屋久島で活動できる最後の日ですが、相変わらず「白川雲水峡にもう一度行くべきか、それともまだ行ってないヤクスギランドへ行くべきか」迷っています。


う~ん、でもやっぱりせっかくだから行ってない場所に行こう。
ヤクスギランドもすごくいいらしいし。


注:ヤクスギランドとは遊戯施設ではなく、れっきとした山です。地元のツアー会社の人も「名前のせいでナメられがちですが…」と言ってました。


いつものようにバスに乗り、途中でヤクスギランド行きのに乗り換えます。
朝からしっかり雨が降っているので、ようやくレインウェアと友達から借りたザックカバーの出番です。


行きのバスの中で、SさんとA君に出会いました。
Sさんは屋久島移住を考えているとのことだったので、すかさず「でも地元のおばあちゃんに仕事がないから来ちゃダメって言われましたよ」と言うと、「私はSOHOで仕事してますから」とのこと。

おお、それならいいじゃないですか!
SOHO、かっこいい!

「台風の時はネットが使えないそうですけどね」とはおっしゃってましたけど。


A君はスイスからやって来た旅行者です。
屋久島に来る前は東京に行ってたらしいですが、とにかく日本をかなり満喫しています。
屋久島は世界遺産になったわりにはまだ英語での情報がほとんど出回っておらず、現地でも英語の案内はかなり限られているので、外国からの旅行者は苦労することもあるかと思います。
ま、A君は持ち前の愛嬌で乗り切ってるみたいなので大丈夫でしょう。


ヤクスギランド入口に到着し、登山の準備をして入山協力金を支払い、トレッキングスタート!

ここは自然休養林で、30分、50分、80分、150分それぞれのコースがあるので体力に合わせて選べます。
(パンフレットには「80分・150分コースは登山道です。装備と体力にご注意下さい」と書いてあります。)


毎度のことながら私は無計画。
一応登山用の行動食とか持ってきてますが、まだどのコースにするか決めていません。
そういやユースのマネージャーさんが、「帰りのバスの都合上、短い滞在かうんと長い滞在かどちらかになります」って言ってたな。

結構雨も降ってるし、ここはさくっと軽めのコースで行こうかな…。

と思いつつ歩き始め、ふと振り返るとすぐ後ろにA君が来ています。


「一緒にトレッキングしてもいい?」と聞くので、「どうぞ!」と快く受け入れ。

旅は道連れ。
あれこれお話しながら(大雨の中の)トレッキングを楽しみましょう。



それにしても、ものすごい雨が降ってものすごい川が増水しています。
「この先、増水時危険。注意!」などという看板もありました。







さすがに今日は登山客は少ないです。


A君と「どのコースにする?」「まだ決めてない」「とりあえず歩いて行ってペースを見て、バスの時間に間に合うように引き返そうか」などと言いながら進みます。
適当な私には、タイムキーパーの相棒がいると役立ちます。


A君は観光客なので(あ、私もか)雨の中でも写真をパチパチ撮りながら進んでいますが、私はほとんど写真を撮る気にもなれません。

だってすごい雨ですから。




時におしゃべり、時に黙々と進み、気がつけばあれよあれよと言う間に150分コースに突入しています。
途中結構な登山道だったのですが、今日はもう筋肉痛も治ってるし、調子いいみたいです。

そして蛇文杉まで到着。





ここから先、普通に150分コースの残りを進むか、それとももっと本格的な登山コースに突入して太忠岳を目指すかのどちらかです。

A君いわく、「僕たちのこのペースで行けば、太忠岳に行く時間ありそうだよ」


そ、そうですか。
大雨だけど行っときますか。
いや~、やっぱり私、思ったより健脚かも。


そしてここからが苦しい道のり。
太忠岳まで3km弱なのですが、その道のりが険しいのなんのって…。


傾斜がきつく、ぜえぜえはあはあ言いながら登ります。
さらには、いくつもロープを使って登らなければいけない場所もあります。

おまけに大雨&大風。


なぜこんな危険を冒してまで私たちは進むのでしょう?


大雨なのでほとんど写真を撮っていませんが、ヤクスギランドもすごいです。
巨大な貝のように見えるキノコがぬらぬらと怪しく存在していたり。
こんなに山にどっぷり浸かれる場所はすばらしい!





余談ですが、山の中にあった看板に、屋久島での林業の歴史についての記述がありました。
で、なぜかその文面の一部が白く消されているのですが、その消された部分というのが「男性が木を伐採し、女性と子供が運んだ」という部分。

なんで消してあるんでしょう?
英文からも消してあります。
フェミニスト団体かなんかから抗議でも受けたのか?

でも実際に男性の役割が木を切ることで、女性と子供の役割がそれを下まで運搬することだったらしいですよ。
だからなんで消してあるのー?




さてさて、体力を消耗しつつ、ようやく太忠岳のふもとまできました。
このでっかい岩が目印です。




どうやらここもロープを使って岩の上まで上がれるようなのですが、あまりの雨風の強さに断念。
この悪天候の中、危険を冒してまで無理に上にあがる必要はないでしょう。


この天気でこの場所まで来てるのは私とA君だけです。

“We are freaks!”とA君は嬉しそう。

そうでしょう、そうでしょう。
こんなフリークは私らだけでしょう。


とりあえずお互いの健闘をたたえて記念撮影。
(ずぶ濡れでやけくそ気味になっています。)





で、山を下る前にここいらで昼食を。

A君がおにぎり2個、私がパンを2個持ってきていたので(なんか、立場がおかしい気がしますが…)、お互い1個ずつ交換。

座る場所もなく、風雨に打たれながら立ったまま食事。
しかも山の上なので気温が下がっていて、濡れた体には寒い!

実は私、ウインドブレーカーの中はTシャツ1枚だったんですよね。
パーカーを持ってこようかと思っていたのですが、「どうせ雨で濡れるし…」と思って宿に置いてきてしまいました。
それにこのお天気でここまで本気系の登山すると思ってませんでしたし。

ここで体調崩して遭難したりしちゃいけないと、実は内心必死でした。
さあ、食べたものよ、エネルギーになっておくれ


これ以上体力を消耗する前にさっさと下山したいと思っているのですが、A君は超マイペースな性格なのでのんびりご飯食べてます。
ようやく食べ終わって、「いざ、下山!」と思ったら、スイスアーミーナイフを取り出して、靴の裏を削りだしました。

「靴底が滑ると危ないから」だそうです。

スイスアーミーナイフ…さすがスイス人。(偏見?)

スイス人なので山に慣れてるはずなのに(これも偏見?)、なぜかトレッキングシューズじゃなくて普通のスニーカーだし。


ぷるぷる震えながら、ようやくA君が靴底を削り終わるのを見届け、今度こそいざ下山!

寒いからとっとと下に降りてしまいましょう。



下りも増水して荒れ狂う川などを眺めつつ。









母子杉の名前は公募で7歳(だったかな?)女の子の案が採用されたそうです。
英語での説明がないので、A君にガイドをしながらの登山となりました。






お天気が良ければもっと屋久杉を満喫できたのですが…。
でも森にとっては恵みの雨ですね。








仏陀杉は何が仏陀だったのか忘れてしまいました…。





下に降りるとだんだん雨も小降りになってきたし、気温も上がってきました。

なによりも他の登山客に出くわしたことで無事生還を実感。





意外にも過酷だったヤクスギランド登山を終え、バスを待つ間に「着替え持ってないんだよね」と言うとA君が自分の長Tを貸してくれると言います。
「いや、いいよ。大丈夫だから」と言っても、「風邪をひくといけないから」と貸してくれました。

うう、ありがとうございます。
サッカーのユニフォーム系のやつでブカブカ過ぎてかっこ悪いけど、ご厚意はありがたく頂戴いたします。


で、自分はもう1枚Tシャツを持ってるからと言ったA君が着替えた姿を見てがく然。


おい、そのTシャツはあかんやろ




いや、笑ってる場合じゃないよ。
「鬼嫁」だし。
しかも「時々ドエム」だし…。




お土産屋さんで勧められて買ったそうです。
ハメられたね。


意味を教えてあげると、「うわ、どうしよう。上着着て隠さないと」と焦っていました。


…。
ぜひそうしてくれ。



行きのバスで一緒にいたSさんともここで再会。

Sさんは登山目的ではなく、スケッチをするために来ていたそうです。
屋久杉のスケッチを見せてもらい、そのあまりのうまさに感動!

「もしかして、グラフィックデザイナーとかですか?!」
「はい、そうです」

かっこいい~~~!

憧れるわ~、クリエイティブな職種。
きっと屋久島なら感性を刺激されることがたくさんあるのでしょう。
ぜひぜひ近いうちに移住を実現させて下さい!


さてさて、登山を終え帰りのバスの中。
A君は私同様、明日大阪へ移動するそうなので、「じゃあうちに泊まればいいよ」ということになっておりました。

私は高速船「トッピー」で10:45発だと伝えると、「僕の船は12:00だけど、同じ便に変更するよ」とA君。

ん?直前に変更なんかできたっけ?


宿に帰ってからA君からメールがあり、「10:45の船に変更できました」とのこと。
ちょっと疑問を感じますが、じゃあ明日の朝、トッピー乗り場で会いましょう。




あ、そういえば余談。

トレッキングを終えてバスを待っているとき、A君の足が血だらけになっていました。

どうやらヒルに血を吸われたようです。
短めのズボンなんか履いてるからだよー。

人事だと思って「あーあ、大変だね」なんて暢気に言ってたのですが、宿に帰って着替えている途中にふと左足のひざ裏に触れると、血の塊が。

あ、私もやられてるわ…。

ちゃんと長ズボンに登山用靴下、トレッキングシューズと完全装備で行ったのに、いつのまにこんなところまで這い上がってきたのか!

恐るべし、ヒル。

しかも腰のあたりもわけのわからない虫に刺された跡がありました。

山は大変ですねえ…。