【17日目】7/12(月) Itero de la Vega → Población de Campos
朝から胃のむかつきと痛み、軽い下痢。
不調のまま、6:40にアルベルゲを出発する。
相変わらず木陰の無い乾いた道が続く。
10kmほど歩き、Boadilla del Caminoという村へたどり着く。
できればバルで休憩したい。
するとそこへ現れたのがポルトガル人のヌノ。
相変わらずヨレヨレのTシャツ姿にはときめかない
彼によると、ここにすごく素敵なアルベルゲがあり、バルも併設されてるけど、どうやら閉まっているようだとのこと。
ただ、アルベルゲの庭にあるアートオブジェなどが面白いと言うので、ヌノと別れてアルベルゲを見に行く。
たしかに庭にオブジェっぽいものがあった。
奥に入り右折すると、そこには営業中のバルが現れた。
あれ?営業してるよ。
スィナが「ヌノに知らせてあげなきゃ!」と、自分のリュックを置いて急いで走ってヌノを探しに行ったけど、見つからなかったようだ。
私は相変わらず体調不良なので、悪いけどバルで待っていた。
ここのバル兼アルベルゲのオスピタレロ、レゲエ風の若者なんだけど、スィナを見るなり「よおオランダ人、サッカーの試合で負けた涙を隠すためにサングラスしてんのか」と声をかけてきた。
スィナが驚いて「なんで私がオランダ人って知ってるの?」と聞くと、ジェスチャーで「顔を見れば分かる」と。
サングラスかけててもオランダ人って分かるんだ~。
へ~、そんな典型的な顔なのか?
このレゲエ男からは、マケドニア人のメリが足の裏のマメの手当を受けていた。
メリとは会ったり見失ったりを繰り返したけど、最後の最後にSantiagoでディナーを共にする相手がメリになるとは思いもしなかった。
バルにて朝ごはんの定番となっている、トーストとコーヒーのセットを注文。
私は胃の調子が悪いので、今日は紅茶にしておいた。
隣のテーブルには昨日会った韓国人夫婦も。
彼らの方が先に出発する際、「荷物の重さはどれぐらいですか?」と聞かれたので、「私のは大体8kgぐらいです。もしかしたら今は9kgぐらいかも」と答えると、「それは重い!」と驚かれた。
「そちらは何キロなんですか?」と聞くと、「6kgまでがいいと聞いていたので、6kgぐらいです」とのこと。
それは驚愕の軽さ
「今日はフルーツとかも入れてるんで…」と焦って言い訳をしてみたが、相手からも「私たちもです」と言われ撃沈
ただ、その割には奥さんの方が「膝が痛くってねえ…」と。
うちの親世代なのでしょうがないと言えばしょうがないが、そんだけ荷物軽くしても膝が痛くて歩くのに難儀している。
そういえば彼ら、今朝会った時は「バス停どこか知りませんか?」と聞いてきた。
もちろん私たちはバスに乗る気など全くないので、そんな情報は持ち合わせていない。
韓国人夫婦を見送り、私たちもそろそろ出発しようかと思っていると、バルのキッチンから先ほどのレゲエ男が話す声が聞こえてくる。
「ここに来る奴らはクレージーだ。挨拶もなしにさっさと立ち去ってしまう」
う~ん、アルベルゲに宿泊した人のことを言ってるのか、バルだけ利用して立ち去る人のことを言ってるのか、ともかく難しい性格の男らしい
会話を聞いてしまった以上、こちらも気を使って、食べ終わった食器をキッチンまで運び、お礼を言った。
そこでまたスィナとレゲエ男の話が始まり、スィナが「私の義理の娘はPalencia出身なのよ」と言うと、レゲエ男が「マジで?おれもPalencia出身だよ。義理の娘の名前って何?」
「アナマリアよ」と答えると、「もしかしたら同級生かもしれない!」と。
感想1:どんだけ狭いねん、Palencia。
感想2:アナマリアって良くありすぎる名前だから、知り合いとは限らないだろ。
結局知り合いかどうかは定かにならず、スィナが「じゃああなたの写真を義理の娘に見せるわ」と言うことになり、私が2人並んだ写真を撮ってあげた
ほんとに知り合いだったらすごいけど。
後日、「どんだけ狭いねん、オランダ」と思わせる1件もあった。
意外とヨーロッパって狭いのか?(いや、そんなことはない。)
さて、バルを出てからスィナが家族にSMSを打ち出したが、これがまた時間がかかって長い!
年寄りだから操作が遅いのかと思っていたら、どうやらスペインに来てからなぜかメール文字の予測変換機能が使えなくなり、1語1語打つのに時間がかかるらしい。
Boadilla del Camino から6kmほど先のFrómistaに到着する少し手間では運河沿いに歩く。
今日もスィナはドイツ人のギュンターじいちゃんと延々と続くおしゃべりをしながら歩いている。
私はと言えば、体調も悪いし、だんだん彼らと一緒に歩くのも嫌になっているが、人と一緒に歩くカミーノには良いところもある。
これも全てカミーノと心得て受けれねば。
我慢、我慢。
ここは木陰自体は少ないものの、低いブッシュが茂っていて緑が目に優しい
少しの木陰を見つけては、巡礼者同士たむろって休憩。
先ほどの韓国人夫妻も一緒に休憩。
英語があまりできないギュンターが、一生懸命韓国人のおじさんと話し、何やら連絡先交換までしているようだ。
予想通り、おじさんの名字はキムさんだった。(笑)
いつもながら、休憩時にはすかさず靴を脱いで足を乾かす。
こうしておかないと、マメに泣くことになる。
トレッキングソックスを脱いで五本指ソックス姿になっていると、韓国人のおじさんが「お~、一緒だねえ」と嬉しそうに。
そう、韓国人夫妻もまた五本指ソックスをはいていた。
東洋人同士で「このソックス最高だよね」と話が盛り上がる。
ふふ、西洋人にはこのソックスの素晴らしさは分かるまい。
ギュンターと共にFrómistaに到着。
交差点に銀行が数軒あったので、よし、今日こそ両替するぞ。
スィナとギュンターのおしゃべりにはうんざりしてたので、2人に銀行へ行くことを伝え、さっさと中に入る。
ギュンターじいさんはしばらく戸惑ったように待っていたが、やがてスィナと共に近くのバルへ行った。
そういえばスィナもキャッシュが少なくなってるって言ってたのに、ATM使わなくていいのかな?
交差点には2軒ほど銀行が向かい合ってたけど、とりあえず目の前にあったCaja Españaに入る。
両替ができるか聞いてみるとOKとのこと!
やった~
これでしばらくお金の心配をしなくても済む。
レートは悪かったし、キャッシュはあまり持ち歩かない方がいいけど、ATMが使えないのなら仕方あるまい。
両替を終え、バルに向かうとそこには例のベジタリアン父子も。
はぁ~、またドイツ人祭りだよ。
うんざり
暑いけど、お腹のことを考えて紅茶を飲む。
スペインに来てからの癖で、たっぷり砂糖を入れて飲んでいると、ギュンターじいちゃんに「胃が悪い時は砂糖はよくないよ」と言われてしまった。
ならばヨーグルトでも食べようかとリュックから取り出すと、またギュンターじいちゃんが「ちょっと待って。それよりももっとお腹にいいものがあるから」(by スィナによる通訳)
いそいそとバルに入って行ったギュンターが手にして戻ってきたものは、ピクルス。
う…。
ありがたいけど、胃の調子が悪い時に酸って…。
酢の味を想像しただけで胃がもたれるんですけど…
しかしせっかくのご厚意を無駄にするわけにもいかず、心の中で泣きながらありがたく酸っぱいピクルスを頂いた。
ええ人や、ギュンターじいちゃん
ギュンターとベジタリアン親子は今日はここFrómistaで泊まるとのこと。
私も今日はここで泊まっても良かったんだけど、スィナがもう少し先まで行きたいというので進むことにした。
ドイツ人たちに別れを告げ、教会を見学に行ったけど、教会の中は改修工事中だった。
他に見るものもなさそうなので、次の村へ向けて歩き始めた。
おそらくほとんどの巡礼者はFrómistaに宿泊すると思う。
久しぶりのちょっとした町で、お店や銀行もあって便利だから。
スィナ曰く、「私はFrómistaには泊まりたくないわ。もうドイツ人はたくさん。彼らとディナーまで一緒だったら死んじゃう」
おい!!!
わざわざ好き好んでドイツ人にすり寄っていってるのはあんたの方だろう!
もうスィナのわがまま発言にもいい加減うんざりである。
しかも真昼間の暑い時間帯に、国道沿いのアスファルトを歩くのが堪える。
靴の裏から熱が押し寄せてきて、それだけでマメができるんじゃないかと思う。
ほとんど会話もせず、黙々と歩き、途中道路沿いにベンチがあったので、すっかり温かくなってしまっているオレンジを食べる。
Frómistaから3.8km先にあるのがPoblación de Camposという村。
村への入口へと続く通路を通る。
なんか、瓦の乗った壁がアジアっぽい。
14:30着。村には見るからに何もなさそうだった。
小さなアルベルゲが1軒。
スィナのガイドブックによると、元は小学校だった建物がアルベルゲに改築されているらしい。
遊具は学校だった頃の名残か?
中に入ってみると誰もいない。
玄関に「アルベルゲのチェックインはこの先のホテルフロントにて」と書いてある。
ひとまずその小さなホテルへ向かい、テラスで休憩する。
中庭でコーラを飲んでいると、ホテルのオーナーがサービスでつき出しを持ってきてくれた。
見るとそれはマカロニサラダとピクルス!
またもやピクルス…。
もう勘弁してほしい。
全く手をつけないのも悪いかと思い、少しは食べたけど、もうダメ
さて、今日はこれからどうするかと言う話になる。
またまたスィナのガイドブックによると、ここのアルベルゲの評価はかなり悪い。
さっきちらっと中を見た感じ、簡素な造りで特に可もなく不可もなくな感じ。
だけどスィナはガイドブックの評価が気になるらしく、あのアルベルゲにあまり乗り気ではない。
「じゃあ、もうちょっとお金出してこのホテルの方に泊まる?ホテルだからと言って設備がいいとは限らないけど、一応部屋を見せてもらってから決める?」と聞いても、どうも乗り気じゃない様子。
「私、あんまりキャッシュないんだった」と言いだすので、「だからなんでさっきFrómistaでお金下ろさなかったのよ!」と、こちらの口調もきつくなる。
この村で宿泊しなければ、次の村までは少なくとも地図で見る限り10kmは歩かないと何もない。
もしくは3.8km来た道を戻ってFrómistaに泊まるか。
さすがにもう今日はこれ以上10kmも歩けない。
スィナがアルベルゲに後ろ向きだったので、私の気持ちはホテル泊に傾いていた。
お金は下ろしたばかりだから大丈夫だし、そもそもスペインの田舎の、小さなホテルだから宿泊費も安いはず。
だけどスィナはどうやらホテルには泊まりたくない様子。
お金の問題じゃなく、アルベルゲ泊にこだわってる感じ。
うじうじ決められない状態と言うのは私が最も嫌うことなので、「とりあえず私はこの村に泊まることに決めたから」と宣言。
結局スィナも私と一緒にこの村に泊まることになる。
フロントでアルベルゲ宿泊希望を伝え、代金を支払う。
一応公営なので3ユーロ。
オスピタレロは常駐していないので、好きに使っていいらしい。
ひょっとしたら今日はあの建物にスィナと私の2人だけかも。
クレデンシャルにスタンプを押してもらうと、フロントの女性がウェルカムドリンクとして赤ワインを出してくれた。
うっ、普段であれば嬉しいんだけど、私今日は胃腸の調子が…。
ピクルスに続きワインに泣かされる
アルベルゲに戻り、シャワーを浴びる。
シャワーを浴びている途中、バタンとドアが閉まる音がした。
もしかして他に誰か入ってきたんじゃない?
私はどんな時でも貴重品から目を離さないので、今日もシャワーの中までお金やパスポートの入ったウェストポーチを持ちこんでいる。
かたやスィナは、すっかり安心してベッドの上にマネーベルトや携帯電話を置きっぱなしにしてたらしい。
ちなみにスィナは元々不注意な性格らしく、オランダでも車の助手席に置いていたバッグを窓からひったくられたりといった経験を何度かしているようだ。
シャワーから出ると他に人はおらず、スィナの貴重品も無事だったけど、玄関のドアは閉まっていた。
用心するに越したことはない。
ここ、たった1人だったら怖くて泊まれないな。
シャワーが終わり、シンクで洗濯。
スィナは「ここ、ソープがたっぷりあって素晴らしいわ」と、備え付けのハンドソープをガンガン使って洗濯していた。
そんなことで、すっかりこのアルベルゲが気に行ったようだ
庭で洗濯物を干していると、他の巡礼者がぼちぼち到着しだし、ベッドのほとんどが埋まることとなった。
まさかこんな小さな村の小さなアルベルゲがいっぱいになるとは…。
しかも今夜はスィナと2人だけじゃないかとひそかに期待してて、「まくら投げとかするぅ?」とか言ってたのに。
後から到着した巡礼者には、受付場所を教えてあげていたのだけれど、1組スペイン人の夫婦はフロントへ行く気配がない。
どうやらお金を払わず宿泊する魂胆のようだ。
巡礼路でもこんな人たちに会うとちょっと残念だ。
なぜか近所のガキどもがアルベルゲを出入りしてる。
途端にスィナの頭の中で警鐘がなる。
他の巡礼者にも「ここは色んな人が出入りするみたいだから、貴重品に気をつけて」と、今まで一番管理が甘かったくせに忠告していた。
近所の小学生がなにやら私たちに話しかける。
私たちのスペイン語理解力がイマイチなので、がんばって英語を使おうとしたところに感心した。
なにやら、「村の教会は7時に開くよ」と言ってるようだ。
「今日は教会は閉まってるって書いてあったけど?」と言うと、「ううん。開いてる」と。
なぜ地元の小学生がわざわざ私たちにそのようなことを知らせているのかは分からない。
ついつい、「巡礼者がみんな教会に出かけている間に金品を盗むのでは?」と疑いを持ってしまう。
ディナーはホテルかもう1軒のバルかの二者択一。
もう1軒のバルを偵察に行ったが、スィナが「客は地元のじいさんばっかり」と機嫌を損ねた。
どこの村に行ってもそうですけど?
結局ホテルのディナーを申し込むことにした。
たぶん10ユーロぐらいだった。
ここでまた泣かされたのは、メニューはフィックスで選べなかったこと。
私は胃腸の調子が悪いので、お腹に優しいスープとかあればなあ、第2皿は魚とかがいいかなあと思っていたのに、メニューは有無を言わさずミックスサラダとミートボールだった…
しかも大量。
そしてオーナーが「うちの自慢のミートボールよ。たくさん食べてね」とたくさん食べさせようとする。
ああ、今日は踏んだり蹴ったりの1日だったな。
本日の歩行距離:約19km
本日の歩数:30,684歩
朝から胃のむかつきと痛み、軽い下痢。
不調のまま、6:40にアルベルゲを出発する。
相変わらず木陰の無い乾いた道が続く。
10kmほど歩き、Boadilla del Caminoという村へたどり着く。
できればバルで休憩したい。
するとそこへ現れたのがポルトガル人のヌノ。
相変わらずヨレヨレのTシャツ姿にはときめかない
彼によると、ここにすごく素敵なアルベルゲがあり、バルも併設されてるけど、どうやら閉まっているようだとのこと。
ただ、アルベルゲの庭にあるアートオブジェなどが面白いと言うので、ヌノと別れてアルベルゲを見に行く。
たしかに庭にオブジェっぽいものがあった。
奥に入り右折すると、そこには営業中のバルが現れた。
あれ?営業してるよ。
スィナが「ヌノに知らせてあげなきゃ!」と、自分のリュックを置いて急いで走ってヌノを探しに行ったけど、見つからなかったようだ。
私は相変わらず体調不良なので、悪いけどバルで待っていた。
ここのバル兼アルベルゲのオスピタレロ、レゲエ風の若者なんだけど、スィナを見るなり「よおオランダ人、サッカーの試合で負けた涙を隠すためにサングラスしてんのか」と声をかけてきた。
スィナが驚いて「なんで私がオランダ人って知ってるの?」と聞くと、ジェスチャーで「顔を見れば分かる」と。
サングラスかけててもオランダ人って分かるんだ~。
へ~、そんな典型的な顔なのか?
このレゲエ男からは、マケドニア人のメリが足の裏のマメの手当を受けていた。
メリとは会ったり見失ったりを繰り返したけど、最後の最後にSantiagoでディナーを共にする相手がメリになるとは思いもしなかった。
バルにて朝ごはんの定番となっている、トーストとコーヒーのセットを注文。
私は胃の調子が悪いので、今日は紅茶にしておいた。
隣のテーブルには昨日会った韓国人夫婦も。
彼らの方が先に出発する際、「荷物の重さはどれぐらいですか?」と聞かれたので、「私のは大体8kgぐらいです。もしかしたら今は9kgぐらいかも」と答えると、「それは重い!」と驚かれた。
「そちらは何キロなんですか?」と聞くと、「6kgまでがいいと聞いていたので、6kgぐらいです」とのこと。
それは驚愕の軽さ
「今日はフルーツとかも入れてるんで…」と焦って言い訳をしてみたが、相手からも「私たちもです」と言われ撃沈
ただ、その割には奥さんの方が「膝が痛くってねえ…」と。
うちの親世代なのでしょうがないと言えばしょうがないが、そんだけ荷物軽くしても膝が痛くて歩くのに難儀している。
そういえば彼ら、今朝会った時は「バス停どこか知りませんか?」と聞いてきた。
もちろん私たちはバスに乗る気など全くないので、そんな情報は持ち合わせていない。
韓国人夫婦を見送り、私たちもそろそろ出発しようかと思っていると、バルのキッチンから先ほどのレゲエ男が話す声が聞こえてくる。
「ここに来る奴らはクレージーだ。挨拶もなしにさっさと立ち去ってしまう」
う~ん、アルベルゲに宿泊した人のことを言ってるのか、バルだけ利用して立ち去る人のことを言ってるのか、ともかく難しい性格の男らしい
会話を聞いてしまった以上、こちらも気を使って、食べ終わった食器をキッチンまで運び、お礼を言った。
そこでまたスィナとレゲエ男の話が始まり、スィナが「私の義理の娘はPalencia出身なのよ」と言うと、レゲエ男が「マジで?おれもPalencia出身だよ。義理の娘の名前って何?」
「アナマリアよ」と答えると、「もしかしたら同級生かもしれない!」と。
感想1:どんだけ狭いねん、Palencia。
感想2:アナマリアって良くありすぎる名前だから、知り合いとは限らないだろ。
結局知り合いかどうかは定かにならず、スィナが「じゃああなたの写真を義理の娘に見せるわ」と言うことになり、私が2人並んだ写真を撮ってあげた
ほんとに知り合いだったらすごいけど。
後日、「どんだけ狭いねん、オランダ」と思わせる1件もあった。
意外とヨーロッパって狭いのか?(いや、そんなことはない。)
さて、バルを出てからスィナが家族にSMSを打ち出したが、これがまた時間がかかって長い!
年寄りだから操作が遅いのかと思っていたら、どうやらスペインに来てからなぜかメール文字の予測変換機能が使えなくなり、1語1語打つのに時間がかかるらしい。
Boadilla del Camino から6kmほど先のFrómistaに到着する少し手間では運河沿いに歩く。
今日もスィナはドイツ人のギュンターじいちゃんと延々と続くおしゃべりをしながら歩いている。
私はと言えば、体調も悪いし、だんだん彼らと一緒に歩くのも嫌になっているが、人と一緒に歩くカミーノには良いところもある。
これも全てカミーノと心得て受けれねば。
我慢、我慢。
ここは木陰自体は少ないものの、低いブッシュが茂っていて緑が目に優しい
少しの木陰を見つけては、巡礼者同士たむろって休憩。
先ほどの韓国人夫妻も一緒に休憩。
英語があまりできないギュンターが、一生懸命韓国人のおじさんと話し、何やら連絡先交換までしているようだ。
予想通り、おじさんの名字はキムさんだった。(笑)
いつもながら、休憩時にはすかさず靴を脱いで足を乾かす。
こうしておかないと、マメに泣くことになる。
トレッキングソックスを脱いで五本指ソックス姿になっていると、韓国人のおじさんが「お~、一緒だねえ」と嬉しそうに。
そう、韓国人夫妻もまた五本指ソックスをはいていた。
東洋人同士で「このソックス最高だよね」と話が盛り上がる。
ふふ、西洋人にはこのソックスの素晴らしさは分かるまい。
ギュンターと共にFrómistaに到着。
交差点に銀行が数軒あったので、よし、今日こそ両替するぞ。
スィナとギュンターのおしゃべりにはうんざりしてたので、2人に銀行へ行くことを伝え、さっさと中に入る。
ギュンターじいさんはしばらく戸惑ったように待っていたが、やがてスィナと共に近くのバルへ行った。
そういえばスィナもキャッシュが少なくなってるって言ってたのに、ATM使わなくていいのかな?
交差点には2軒ほど銀行が向かい合ってたけど、とりあえず目の前にあったCaja Españaに入る。
両替ができるか聞いてみるとOKとのこと!
やった~
これでしばらくお金の心配をしなくても済む。
レートは悪かったし、キャッシュはあまり持ち歩かない方がいいけど、ATMが使えないのなら仕方あるまい。
両替を終え、バルに向かうとそこには例のベジタリアン父子も。
はぁ~、またドイツ人祭りだよ。
うんざり
暑いけど、お腹のことを考えて紅茶を飲む。
スペインに来てからの癖で、たっぷり砂糖を入れて飲んでいると、ギュンターじいちゃんに「胃が悪い時は砂糖はよくないよ」と言われてしまった。
ならばヨーグルトでも食べようかとリュックから取り出すと、またギュンターじいちゃんが「ちょっと待って。それよりももっとお腹にいいものがあるから」(by スィナによる通訳)
いそいそとバルに入って行ったギュンターが手にして戻ってきたものは、ピクルス。
う…。
ありがたいけど、胃の調子が悪い時に酸って…。
酢の味を想像しただけで胃がもたれるんですけど…
しかしせっかくのご厚意を無駄にするわけにもいかず、心の中で泣きながらありがたく酸っぱいピクルスを頂いた。
ええ人や、ギュンターじいちゃん
ギュンターとベジタリアン親子は今日はここFrómistaで泊まるとのこと。
私も今日はここで泊まっても良かったんだけど、スィナがもう少し先まで行きたいというので進むことにした。
ドイツ人たちに別れを告げ、教会を見学に行ったけど、教会の中は改修工事中だった。
他に見るものもなさそうなので、次の村へ向けて歩き始めた。
おそらくほとんどの巡礼者はFrómistaに宿泊すると思う。
久しぶりのちょっとした町で、お店や銀行もあって便利だから。
スィナ曰く、「私はFrómistaには泊まりたくないわ。もうドイツ人はたくさん。彼らとディナーまで一緒だったら死んじゃう」
おい!!!
わざわざ好き好んでドイツ人にすり寄っていってるのはあんたの方だろう!
もうスィナのわがまま発言にもいい加減うんざりである。
しかも真昼間の暑い時間帯に、国道沿いのアスファルトを歩くのが堪える。
靴の裏から熱が押し寄せてきて、それだけでマメができるんじゃないかと思う。
ほとんど会話もせず、黙々と歩き、途中道路沿いにベンチがあったので、すっかり温かくなってしまっているオレンジを食べる。
Frómistaから3.8km先にあるのがPoblación de Camposという村。
村への入口へと続く通路を通る。
なんか、瓦の乗った壁がアジアっぽい。
14:30着。村には見るからに何もなさそうだった。
小さなアルベルゲが1軒。
スィナのガイドブックによると、元は小学校だった建物がアルベルゲに改築されているらしい。
遊具は学校だった頃の名残か?
中に入ってみると誰もいない。
玄関に「アルベルゲのチェックインはこの先のホテルフロントにて」と書いてある。
ひとまずその小さなホテルへ向かい、テラスで休憩する。
中庭でコーラを飲んでいると、ホテルのオーナーがサービスでつき出しを持ってきてくれた。
見るとそれはマカロニサラダとピクルス!
またもやピクルス…。
もう勘弁してほしい。
全く手をつけないのも悪いかと思い、少しは食べたけど、もうダメ
さて、今日はこれからどうするかと言う話になる。
またまたスィナのガイドブックによると、ここのアルベルゲの評価はかなり悪い。
さっきちらっと中を見た感じ、簡素な造りで特に可もなく不可もなくな感じ。
だけどスィナはガイドブックの評価が気になるらしく、あのアルベルゲにあまり乗り気ではない。
「じゃあ、もうちょっとお金出してこのホテルの方に泊まる?ホテルだからと言って設備がいいとは限らないけど、一応部屋を見せてもらってから決める?」と聞いても、どうも乗り気じゃない様子。
「私、あんまりキャッシュないんだった」と言いだすので、「だからなんでさっきFrómistaでお金下ろさなかったのよ!」と、こちらの口調もきつくなる。
この村で宿泊しなければ、次の村までは少なくとも地図で見る限り10kmは歩かないと何もない。
もしくは3.8km来た道を戻ってFrómistaに泊まるか。
さすがにもう今日はこれ以上10kmも歩けない。
スィナがアルベルゲに後ろ向きだったので、私の気持ちはホテル泊に傾いていた。
お金は下ろしたばかりだから大丈夫だし、そもそもスペインの田舎の、小さなホテルだから宿泊費も安いはず。
だけどスィナはどうやらホテルには泊まりたくない様子。
お金の問題じゃなく、アルベルゲ泊にこだわってる感じ。
うじうじ決められない状態と言うのは私が最も嫌うことなので、「とりあえず私はこの村に泊まることに決めたから」と宣言。
結局スィナも私と一緒にこの村に泊まることになる。
フロントでアルベルゲ宿泊希望を伝え、代金を支払う。
一応公営なので3ユーロ。
オスピタレロは常駐していないので、好きに使っていいらしい。
ひょっとしたら今日はあの建物にスィナと私の2人だけかも。
クレデンシャルにスタンプを押してもらうと、フロントの女性がウェルカムドリンクとして赤ワインを出してくれた。
うっ、普段であれば嬉しいんだけど、私今日は胃腸の調子が…。
ピクルスに続きワインに泣かされる
アルベルゲに戻り、シャワーを浴びる。
シャワーを浴びている途中、バタンとドアが閉まる音がした。
もしかして他に誰か入ってきたんじゃない?
私はどんな時でも貴重品から目を離さないので、今日もシャワーの中までお金やパスポートの入ったウェストポーチを持ちこんでいる。
かたやスィナは、すっかり安心してベッドの上にマネーベルトや携帯電話を置きっぱなしにしてたらしい。
ちなみにスィナは元々不注意な性格らしく、オランダでも車の助手席に置いていたバッグを窓からひったくられたりといった経験を何度かしているようだ。
シャワーから出ると他に人はおらず、スィナの貴重品も無事だったけど、玄関のドアは閉まっていた。
用心するに越したことはない。
ここ、たった1人だったら怖くて泊まれないな。
シャワーが終わり、シンクで洗濯。
スィナは「ここ、ソープがたっぷりあって素晴らしいわ」と、備え付けのハンドソープをガンガン使って洗濯していた。
そんなことで、すっかりこのアルベルゲが気に行ったようだ
庭で洗濯物を干していると、他の巡礼者がぼちぼち到着しだし、ベッドのほとんどが埋まることとなった。
まさかこんな小さな村の小さなアルベルゲがいっぱいになるとは…。
しかも今夜はスィナと2人だけじゃないかとひそかに期待してて、「まくら投げとかするぅ?」とか言ってたのに。
後から到着した巡礼者には、受付場所を教えてあげていたのだけれど、1組スペイン人の夫婦はフロントへ行く気配がない。
どうやらお金を払わず宿泊する魂胆のようだ。
巡礼路でもこんな人たちに会うとちょっと残念だ。
なぜか近所のガキどもがアルベルゲを出入りしてる。
途端にスィナの頭の中で警鐘がなる。
他の巡礼者にも「ここは色んな人が出入りするみたいだから、貴重品に気をつけて」と、今まで一番管理が甘かったくせに忠告していた。
近所の小学生がなにやら私たちに話しかける。
私たちのスペイン語理解力がイマイチなので、がんばって英語を使おうとしたところに感心した。
なにやら、「村の教会は7時に開くよ」と言ってるようだ。
「今日は教会は閉まってるって書いてあったけど?」と言うと、「ううん。開いてる」と。
なぜ地元の小学生がわざわざ私たちにそのようなことを知らせているのかは分からない。
ついつい、「巡礼者がみんな教会に出かけている間に金品を盗むのでは?」と疑いを持ってしまう。
ディナーはホテルかもう1軒のバルかの二者択一。
もう1軒のバルを偵察に行ったが、スィナが「客は地元のじいさんばっかり」と機嫌を損ねた。
どこの村に行ってもそうですけど?
結局ホテルのディナーを申し込むことにした。
たぶん10ユーロぐらいだった。
ここでまた泣かされたのは、メニューはフィックスで選べなかったこと。
私は胃腸の調子が悪いので、お腹に優しいスープとかあればなあ、第2皿は魚とかがいいかなあと思っていたのに、メニューは有無を言わさずミックスサラダとミートボールだった…
しかも大量。
そしてオーナーが「うちの自慢のミートボールよ。たくさん食べてね」とたくさん食べさせようとする。
ああ、今日は踏んだり蹴ったりの1日だったな。
本日の歩行距離:約19km
本日の歩数:30,684歩