地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

ベトナム人作家

2009年03月22日 | Weblog



開高健記念アジア作家講演会シリーズで、ベトナムのドー・ホアン・ジュウという作家の講演会に行ってきました。

私、ベトナムは好きなんですけど、実はベトナム人の作家が書いたものとかベトナム映画には一切興味がなく、この作家のことも全く知らなかったんです。
でも職場でこの講演会のチラシが回覧されてきたんで、「たまにはこういうのも申し込んでみようかな~」と軽い気持ちで申し込んでみました。

「開高健」というキーワードにも惹かれますしね。


このジュウさんの代表作は「金縛り」という短編らしいです。
で、内容に結構性的な描写が多いのでベトナム国内で賛否両論の議論を呼び起こしたとか。

若者向けのTuoi Tre(トゥオイ・チェー=若者)という新聞の論評では新進気鋭の作家として評価しているものの、その名もズバリ「公安」という名前の新聞では「性的にみだらで反動的」と酷評されています。

最新作の「蛇と私」という長編小説は、これまた過激な性描写がすごいらしく、ベトナム国内では出版許可が下りていないとのこと。


講演会の当日に配布された資料に彼女の代表作である「金縛り」と「ハンセン病の川」という短編の日本語訳がありました。
私は今までベトナム作家の作品は全然読んだことないけど、本は好きで毎日読んでるので楽しみに読んでみたのですが…。

う~ん、作風が合わないのか、はっきり言ってよく分かりません。

確かに性的に過激なことばかり書いてあります。
でもそれは国家の体制であったり社会に対するメッセージがこめられている、、、はずなのですが。
社会主義国家のベトナムで、はっきりと反体制的なことを書くと色々面倒だから、彼女の作品にはmetaphor(比喩、隠喩)が多用されている、、、はずなのですが。

すいません、イマイチ良く分かりません。
いや、ちょ、ちょっとは分かりますけど…。(焦)
ベトナムについてもっと勉強すれば、もっと理解できるのでしょうかねえ。。。


ただ、資料に説明が書かれている「バオカップ制度」やベトナム現代文学、ドイモイについてはかな~り興味深く読ませて頂きました。

バオカップ制度というのは、「国家丸抱え制度」と日本語訳されていて、いわゆる戦時下の配給制度のことです。
配給制度についてはベトナム語の先生から話を聞いたことがあるし、ハノイの民族学博物館で配給制度時代の特別展示をしていた時に見に行ったので、「ふむふむ、な~るほど」と納得。

ドイモイ(刷新)については、学校でちらっと習いませんでしたっけ?
簡単に言ってしまえば、戦時経済体制から転換し、政治・経済体制の再活性化を図るもの。
ソ連で言うペレストロイカですな。

ベトナムにいる時には、よくドイモイという単語を耳にしました。
配給制度を含め、ドイモイ以前と以降ではずいぶんと社会の様子が変わったようで、ベトナム人の口から語られるのを聞いたものです。

ベトナム文学もドイモイを機に変化を遂げたものの、やはり言論の自由が完全に保証されているとは言えないので、このジュウさんのような作家は当局からかなり目をつけられてしまいます。


ジュウさん本人から語られる、ベトナム戦争とその後、配給時代の極貧生活などの話にも引き込まれました。
彼女は戦後世代ですから、その視点から語られるベトナムの戦後から現代はとても興味深かったです。
講演会の時間が短すぎて、さほど詳しく聞けなかったのは残念ですが、これを機に久しぶりにまたベトナムという国への興味も湧いてきて、あらためて勉強してみようかなと思いました


偶然というのは重なるもので、最近はベトナム語の先生とのメールのやり取りも頻繁になり、テレビでベトナム特集を目にすることも多くなりました。
そして昨日は久しぶりにベトナム製の春雨を使い、これまたベトナムから持って帰ってきたニョクマムを使った春雨炒めを作りました~。
う~ん、懐かしいこのニョクマムの風味。



ん?なんか、風が吹いてる?

ラテンな人たち

2009年03月06日 | Weblog
今年度最後の研修コースでやってきたのは、中南米混成チームでした。
メンバーはアルファベット順にアルゼンチン、チリ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、パラグアイ、ペルー、ドミニカ共和国の若者です。

予想通り、ラテンアメリカの人たちは明るいです。
最初の自己紹介のプログラムでは、やはり予想通り時間を大幅にオーバーしました。
だってこの人ら、しゃべり過ぎやもん!

特におしゃべりだったのは、ホンジュラスとパラグアイ。
ホンジュラスの若者、エドゥアルドは、まさに「立て板に水」と言う言葉がぴったりなくらい、早口で淀みなくしゃべり続けます。
朝起きた時からあのテンションなのでしょうか…。
イメージ的には生まれてすぐしゃべりだしたって感じです。

パラグアイのウゴはそう若くもなく、職場のポジション的にもエライさんなので、エドゥアルドのようにハイテンションでしゃべりまくると言うのではないのですが、持ってる知識が多いためか、これまた話が長いです…。


今回のグループは環境保全を学びにきた人たちで、環境省や環境NGOなどの人が多かったです。


ここで衝撃的な事実が…。
グアテマラの環境NGOから来たラファによると、「グアテマラでは環境保全活動をしていると利害が対立する側からの脅迫や嫌がらせが多く、うちの組織の代表は暗殺されかけました。」

ぎょぎょぎょ!
やっぱ中南米怖いよ~。

するとホンジュラスのエドゥアルドも、「うちの組織の代表は現に死亡しました。死因はいまだに不明ですが、やはり環境活動で強烈な反対を受けていました。」

ひぃぃぃぃ…。


でもよく考えると、環境保全活動って日本でも意外と命がけだったりしますよね。
私たちは外国のこういった話を聞くと、「やっぱり外国は危ない」とか「やっぱり途上国は汚職にまみれてる」とか思ってしまいがちですが、それは違います。
中国産の食料を非難しているその裏で、一体どれほどの日本の食品会社が偽装をしていたことでしょう。
しょせん、人間はどこへ行っても同じなのです。

以前、「徹子の部屋」に出ていた野口健が、「富士山の清掃活動にものすごい妨害が入った」と話していました。
富士山は5合目から上(?)は登山客が捨てるゴミなので清掃して文句を言われることはないのですが、下の方、樹海などに捨てられているゴミは産業廃棄物で、それには裏の世界の人たちがかかわっているそうです。
なので、野口健が富士山の麓の産廃を清掃すると言ったとき、多くの人が「そこには手をつけない方がいい」と反対したそうです。
でも実行したところ、執拗な嫌がらせや脅迫があり、何度も引っ越しを余儀なくされたそうですよ。
(誰か「徹子の部屋」みませんでしたか~?何年前の放送かは忘れましたが。)

そう、人間はどこでも同じです。
先進国だからモラルがあるとか、途上国だから不誠実だとかいうわけではないのです。
どこの世界にも両方が存在するのです。



さて、ラテンアメリカン達の研修が無事終わり、ささやかな交流会が行われました。
最初に乾杯をした時はまだなんとなく堅苦しく、「かんぱ~い!」の後になぜかシーンとしてしまったりしたのですが、そこはやはりラテンな人たちです。
あっという間に盛り上がり始めました。

音楽に合わせて踊る踊る。
腰振る腰振る。


最初は中南米の人たちと日本の人たちとの間でなんとなくグループが分かれてしまって、中南米だけが腰を振って楽しんでいたのですが、そのうち両者巻き込んでのお祭り騒ぎに。


私も踊らされました…。
ああ、ラテンアメリカン達の見事なリズム感に比べて、自分の踊りの無様なこと…。
こんなことなら普段から踊り慣れておくんでした。
子供のころからラテンダンスを踊ってた中南米人と、盆踊りやってた日本人との差は歴然でしょう!


ちなみに私は全然ラテンな気質じゃないので、パーティーなどは苦手な方です。
その日も盛り上がるラテンアメリカン達を遠くから大人しく見守っていたのですが、無理やり引っ張られて踊ってるとだんだん楽しくなってきました。
(私、お酒飲んでないのにこんなにハイになれるんや…。)

実は最近仕事でうまく行ってないことなどあり、気持ちを切り替えなきゃと思いつつなんとなくブルーな気分を引きずったままだったのですが、ラテンな人たちと歌って踊って笑ってるうちにそんな悩みはすっかりと消え去りました



たいていの悩みは笑うことと踊ることで解決できるということを再認識できた、貴重な体験でした。

これを機にちょっとラテンな世界に足を踏み入れてみようかと思います