アエネアスは、思考の展開を追いかける、思考の展開の段取りを考える。
まず己を知っているかである、次にやるべきことについて知る、己を知る前に己とはなんぞやについて考える。
そのことを考える自分自身を見つめる、事を為していく己を見つめる。
彼は、『一』を考える、己の『一』民族の『一』踏み出す一歩の『一』、『一』の持つ価値観の大きさと大切さに気付く。ただ単に『一』と軽んじる意識を退ける。
アエネアスが腰をあげる、歩を進める、パン工房を訪ねる、建造の現場へ足を運ぶ、各部署の作業ぶりを丹念に見て回る。それを終えて会所に立ち寄る、イリオネスと言葉を交わす。
『おう、イリオネス、今日は忙しいかな?俺はいろいろと考えることがあってな。宿舎の前庭にいる。用件のある時はそちらへ頼む』
言葉を継ぐ。
『おう、イリオネス、俺に木板と木炭をくれないか。考え事に使いたい』
イリオネスが会所においてある木板と木炭をアエネアスに手渡す。
『おう、ありがとう』
それだけ言って会所をあとにする、浜へと歩を運ぶ、波打ち際に立って小島をのぞむ、小島の一同の漁に思いをはせる。傍らに立っているパリヌルスに気づく。
『統領、小島を見ていられましたね』
『おう、そうだ。解るか』
『解ります。この時期、形のいい大きい魚が獲れています。小島の一同、元気にやっています』
『おっ!そうか、それは重畳!ところでお前のほうはどうだ?』
『いま、総員の半数が武闘訓練場のほうにいっています』
『ほう、そうか、それはいいことだ、感心感心!』
『はい、何かを追わせていないとろくでもないことを考えます』
『ここ数日は続くと思うが、俺の今は考え事の真っ最中だ。暦の管理もあるが、この暦なしの時が物事の思考の時と考えている』
『統領の大変が察しられます』
『お前、俺のことを察してくれるのか』
『私らが迷わずに前へ進めるのは、統領の統率によるところです。やれといわれたらそれをやる。為すべきことの全てを統領の考えられる『一』に全幅を信頼してついていくわけです』
『俺の『一』にか、解った。『一』をおろそかにしない』
『ありがとうございます』
『今日はだな、その『一』のために各場、各部署のみんなと顔を合わせてきた。小島の連中には先ほどその念を込めて小島を見ていたのだ』
『そうですか』
アエネアスは、パリヌルスと言葉を交わし終える、宿舎へと歩を向ける。
パリヌルスが去りゆく統領アエネアスの背中を見送る。
彼は、近いうちに起こる大事を感じとっていた。
まず己を知っているかである、次にやるべきことについて知る、己を知る前に己とはなんぞやについて考える。
そのことを考える自分自身を見つめる、事を為していく己を見つめる。
彼は、『一』を考える、己の『一』民族の『一』踏み出す一歩の『一』、『一』の持つ価値観の大きさと大切さに気付く。ただ単に『一』と軽んじる意識を退ける。
アエネアスが腰をあげる、歩を進める、パン工房を訪ねる、建造の現場へ足を運ぶ、各部署の作業ぶりを丹念に見て回る。それを終えて会所に立ち寄る、イリオネスと言葉を交わす。
『おう、イリオネス、今日は忙しいかな?俺はいろいろと考えることがあってな。宿舎の前庭にいる。用件のある時はそちらへ頼む』
言葉を継ぐ。
『おう、イリオネス、俺に木板と木炭をくれないか。考え事に使いたい』
イリオネスが会所においてある木板と木炭をアエネアスに手渡す。
『おう、ありがとう』
それだけ言って会所をあとにする、浜へと歩を運ぶ、波打ち際に立って小島をのぞむ、小島の一同の漁に思いをはせる。傍らに立っているパリヌルスに気づく。
『統領、小島を見ていられましたね』
『おう、そうだ。解るか』
『解ります。この時期、形のいい大きい魚が獲れています。小島の一同、元気にやっています』
『おっ!そうか、それは重畳!ところでお前のほうはどうだ?』
『いま、総員の半数が武闘訓練場のほうにいっています』
『ほう、そうか、それはいいことだ、感心感心!』
『はい、何かを追わせていないとろくでもないことを考えます』
『ここ数日は続くと思うが、俺の今は考え事の真っ最中だ。暦の管理もあるが、この暦なしの時が物事の思考の時と考えている』
『統領の大変が察しられます』
『お前、俺のことを察してくれるのか』
『私らが迷わずに前へ進めるのは、統領の統率によるところです。やれといわれたらそれをやる。為すべきことの全てを統領の考えられる『一』に全幅を信頼してついていくわけです』
『俺の『一』にか、解った。『一』をおろそかにしない』
『ありがとうございます』
『今日はだな、その『一』のために各場、各部署のみんなと顔を合わせてきた。小島の連中には先ほどその念を込めて小島を見ていたのだ』
『そうですか』
アエネアスは、パリヌルスと言葉を交わし終える、宿舎へと歩を向ける。
パリヌルスが去りゆく統領アエネアスの背中を見送る。
彼は、近いうちに起こる大事を感じとっていた。
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