ギアスに問いかけるオキテス、問いかけの言葉に緊張感がある。
『ギアス!風はどの方角からきている?』
『はい、隊長っ!風は西からきています』
『おう、よしっ!ギアス、いつもの試乗コースだ。小島の西岸を北上して沖へだ。いいな』
『了解っ!』
艇の状態チエックを終えてオキテスは、統領に声をかける。
『統領、艇を出します』
『おうっ!』
『ギアス、出航っ!』
ギアスが艇上を見る、漕ぎかたの連中と目を合わせる。
『漕ぎかた、はじめ!』
24本の櫂が一斉に海を泡立てる、波を割り始める試作艇、小島の南端に向かう、衝角が波を割る、艇の船足走行感、船速のノリの違いが感じられる、艇の引く航跡に目を移す、艇上の誰よりも早く、どことなくヘルメス艇との違う航走を体感していた。
試作艇は、小島の南端を過ぎて、進路を北へと転じた。
懸命に漕ぐ漕ぎかた、彼らもヘルメス艇との違う航走を体感している、艇上の者たちは口を開かず無口でいる、ただひたすらに航走を感じ取ろうと努めている。
試作艇は、小島の北端を過ぎる地点に到っている。風読みをするギアス、果たして、この試作艇を押すいい風が来てくれるのか、彼は望んだ。
『いい風よ、来てくれ!』と心中で強く強く念じた。夕凪の迫っているこの頃合いである、帆張りして『風がない』では様にならない、そのような状態にならないようにと念じた。
パリヌルスは、試作艇の構造仕様に照合してチエックしている。海上状態と試作艇の航走状態を照らし合わせてチエックしている。彼もギアス同様、頃合いと風向、風力の状況の変化を懸念していた。
オキテスは広い海洋を見つめている、風が起こす海浪と試作艇、波を割って進む試作艇が、これだけの乗員を載せて航走する状態の把握に感性を集中させていた。
パリヌルスもオキテスも考えたのは、波の大きさと試作艇の安全性を担保する艇構造の有無について感じ取ろうとしていた。
ギアスは、北方向へ試作艇を走らせながら、時間的に変わろうとしている航走条件を測り、方向転換地点を探っている。
小島の北端を通過して15スタジオン(約3キロ)地点で方向の転換を決意した。その旨をオキテスに伝える。
『おう、いいだろう。やれ!』
その地点に到達する、ギアスが指示をとばす。
『操舵担当、艇を右へだ!』
『全帆、帆を張れ!漕ぎかた、やめっ!』
風は強くはない、だが、艇を押すに順当と判断した。
『ギアス!風はどの方角からきている?』
『はい、隊長っ!風は西からきています』
『おう、よしっ!ギアス、いつもの試乗コースだ。小島の西岸を北上して沖へだ。いいな』
『了解っ!』
艇の状態チエックを終えてオキテスは、統領に声をかける。
『統領、艇を出します』
『おうっ!』
『ギアス、出航っ!』
ギアスが艇上を見る、漕ぎかたの連中と目を合わせる。
『漕ぎかた、はじめ!』
24本の櫂が一斉に海を泡立てる、波を割り始める試作艇、小島の南端に向かう、衝角が波を割る、艇の船足走行感、船速のノリの違いが感じられる、艇の引く航跡に目を移す、艇上の誰よりも早く、どことなくヘルメス艇との違う航走を体感していた。
試作艇は、小島の南端を過ぎて、進路を北へと転じた。
懸命に漕ぐ漕ぎかた、彼らもヘルメス艇との違う航走を体感している、艇上の者たちは口を開かず無口でいる、ただひたすらに航走を感じ取ろうと努めている。
試作艇は、小島の北端を過ぎる地点に到っている。風読みをするギアス、果たして、この試作艇を押すいい風が来てくれるのか、彼は望んだ。
『いい風よ、来てくれ!』と心中で強く強く念じた。夕凪の迫っているこの頃合いである、帆張りして『風がない』では様にならない、そのような状態にならないようにと念じた。
パリヌルスは、試作艇の構造仕様に照合してチエックしている。海上状態と試作艇の航走状態を照らし合わせてチエックしている。彼もギアス同様、頃合いと風向、風力の状況の変化を懸念していた。
オキテスは広い海洋を見つめている、風が起こす海浪と試作艇、波を割って進む試作艇が、これだけの乗員を載せて航走する状態の把握に感性を集中させていた。
パリヌルスもオキテスも考えたのは、波の大きさと試作艇の安全性を担保する艇構造の有無について感じ取ろうとしていた。
ギアスは、北方向へ試作艇を走らせながら、時間的に変わろうとしている航走条件を測り、方向転換地点を探っている。
小島の北端を通過して15スタジオン(約3キロ)地点で方向の転換を決意した。その旨をオキテスに伝える。
『おう、いいだろう。やれ!』
その地点に到達する、ギアスが指示をとばす。
『操舵担当、艇を右へだ!』
『全帆、帆を張れ!漕ぎかた、やめっ!』
風は強くはない、だが、艇を押すに順当と判断した。
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