『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  283

2010-08-26 07:23:03 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、いい狩であったか。獲物は』
 アエネアスも、イリオネスも、二人の狩猟者を迎えた。
 『え~え、野ウサギ6羽です』
 『ご苦労、ご苦労。さあ~、少し休め』
 彼らは、野ウサギ狩談義に花を咲かせて、しばしの休憩をとった。
 『皆、どうだ。少しは疲れたか。出発するぞ』
 イリオネスの掛け声で休憩地をあとにした。探索が目的の行路である、両隊とも広大な丘陵地の道なき道を歩んでいる、両隊とも知らず知らずのうちに蛇行していた。
 トリタス隊の一行は、遠い後方のざわめきに気がついた。歩を止める一行、様子をうかがう、4人に緊張が走る、トリタスの頭の片隅を『もしも』が通り過ぎた。薮影に身を潜めて、そのざわめきに注視した。トリタスは考えた。『俺たちのほかにいるのはアエネアス隊の4人だけのはずである』 ざわめきが近づいてくる、彼ら4人は、身を潜めながら、身構えた。
 ギアスは、小弓に矢をつがえている。トリタスと荷役の二人は、山刀を握った。オロンテスは、杖代わりの棒を汗をかいて握っていた。


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