『漕ぎかた一同!櫂を持て!用意!漕ぎかたはじめ!操舵担当、北へ進路をとれ!』
『了解!』
試乗者一行を乗艇させたヘルメス艇は舳先を北へ向け波を割り始める。
岸壁の上に立つイリオネスは、沸々とたぎる思いを込めてこれを見送る。
艇上のオキテスは、試乗者一同に歓迎の挨拶を述べる。次いで、試乗艇の進行コース説明をする。
『皆様方は、クレタ海についてよく存じていられるが、私どもはクレタ島東地区のクレタ海についてはよくわかってはいません。船の進路について、これはいかんと感じられた折には、注意をいただければ幸いです。この試乗艇を10スタジオンから15スタジオンくらいマリアの北方沖に進め、風具合を読みとり、艇の帆張り航走をと考えております。よろしく願います』
オキテスは艇の航走状態を確かめる。言葉を継いでいく。
『また、この艇の試乗を終えて、次は、今、私らが建造している戦闘艇の試作艇に試乗いただきます。何卒、船の試乗感を体感してください』
オキテスが言い終わる、一同と顔を合わせる、心込めて低頭する。
『尚、聴きたいこと、操舵してみたい等の件がありますれば、この艇の艇長を務めているギアス、または、この私に用命ください』
オキテスが言い終わる、試乗者一同から拍手で返事が届く、一行が乗る試乗艇ヘルメスは、北へ向けて航走を続けている。
マリアの浜を出てヘルメス艇は、今様時間にして10分余り沖に出ている、航走距離は約10スタジオン(約2キロ弱)に到ろうとしている。
西からの風が感じられるが強くはない。ヘルメス艇では、この風での帆走は不可能ではないが、帆張りして帆走するにはもの足りない。
ギアスは、あと5スタジオン(約1キロ弱)沖に出ようと心を決める。
朝凪の終わる頃合いに浜を離れて、この地点に到達する、経過した時間を勘で計る。タイミングがマッチタイミングではない。
彼は考える、今様時間10分後は?その時間に到達する海上地点の風具合を勘ぐった。
彼の答えは『いいだろう』である。その旨をオキテスに伝えた。
『うまくいくと考えています!』
『お前の決断だ。任せる!』
ヘルメス艇は、なおも漕ぎかたの力を借りてマリアのクレタ海の沖を目指して航走を続ける。
ギアスが艇上の試乗者に向けて事情を説明する。
ギアスは、説明と内心の苦衷に背に走る冷たい汗を感じていた。
そのような時に試乗のリンドス浜頭から声がかかった。
『了解!』
試乗者一行を乗艇させたヘルメス艇は舳先を北へ向け波を割り始める。
岸壁の上に立つイリオネスは、沸々とたぎる思いを込めてこれを見送る。
艇上のオキテスは、試乗者一同に歓迎の挨拶を述べる。次いで、試乗艇の進行コース説明をする。
『皆様方は、クレタ海についてよく存じていられるが、私どもはクレタ島東地区のクレタ海についてはよくわかってはいません。船の進路について、これはいかんと感じられた折には、注意をいただければ幸いです。この試乗艇を10スタジオンから15スタジオンくらいマリアの北方沖に進め、風具合を読みとり、艇の帆張り航走をと考えております。よろしく願います』
オキテスは艇の航走状態を確かめる。言葉を継いでいく。
『また、この艇の試乗を終えて、次は、今、私らが建造している戦闘艇の試作艇に試乗いただきます。何卒、船の試乗感を体感してください』
オキテスが言い終わる、一同と顔を合わせる、心込めて低頭する。
『尚、聴きたいこと、操舵してみたい等の件がありますれば、この艇の艇長を務めているギアス、または、この私に用命ください』
オキテスが言い終わる、試乗者一同から拍手で返事が届く、一行が乗る試乗艇ヘルメスは、北へ向けて航走を続けている。
マリアの浜を出てヘルメス艇は、今様時間にして10分余り沖に出ている、航走距離は約10スタジオン(約2キロ弱)に到ろうとしている。
西からの風が感じられるが強くはない。ヘルメス艇では、この風での帆走は不可能ではないが、帆張りして帆走するにはもの足りない。
ギアスは、あと5スタジオン(約1キロ弱)沖に出ようと心を決める。
朝凪の終わる頃合いに浜を離れて、この地点に到達する、経過した時間を勘で計る。タイミングがマッチタイミングではない。
彼は考える、今様時間10分後は?その時間に到達する海上地点の風具合を勘ぐった。
彼の答えは『いいだろう』である。その旨をオキテスに伝えた。
『うまくいくと考えています!』
『お前の決断だ。任せる!』
ヘルメス艇は、なおも漕ぎかたの力を借りてマリアのクレタ海の沖を目指して航走を続ける。
ギアスが艇上の試乗者に向けて事情を説明する。
ギアスは、説明と内心の苦衷に背に走る冷たい汗を感じていた。
そのような時に試乗のリンドス浜頭から声がかかった。
