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星や旅などの話題を「ひらい」が札幌から発信。2010年開設。2022年7月にteacupからgooへ引越しました。

準惑星 Ceres を眼視で見る

2023-05-13 06:00:00 | 天体の記事
 国際天文学連合(IAU)の定義によると準惑星( dwarf planet )とは、①太陽の周りを公転し、②十分な質量を持つためにほぼ球状で、③その軌道付近から他の天体を排除しておらず、④衛星ではない天体です。

 2006年のIAU総会で定められ、2022年末現在、準惑星に分類されているのは、Ceres 、冥王星、Haumea、Makemake、Eris の5天体です。
 2006年から冥王星は惑星とみなされなくなりました。

 5個の準惑星のうち、Ceres(日本語読みでケレス、あるいはセレス)のみが双眼鏡や小さな望遠鏡で見える唯一の準惑星です。
 札幌市内の自宅屋上のように4等星が見えない光害が酷い夜空だと、5倍20mmの双眼鏡ではケレスは見えず、8倍50mmのファインダーだとかろうじてケレスが見えました。夜空が暗い郊外であれば、5倍20mmの双眼鏡でも見えるはずです。


 5月8日(月)の19時過ぎにケレスを口径15cm屈折望遠鏡の視野内に導入。まだ薄明中で空が明るいものの、7等級台と明るいケレスが簡単にわかりました。
 2023年におけるケレスの衝(太陽との黄経差あるいは赤経差が180度になること)は3月27日。衝から1ヶ月ほどしか経っておらず、少し明るめの7.7等級で輝いていました。


 これは、ケレスの導入に使った SkySafari という天文アプリのスクリーンショットです。
 画像は東西1.4度×1.0度の範囲を11等星ぐらいまで表示しています。5月ごろのケレスは毎日0.1度ほど南へ移動します。
 SAOというのはスミソニアン天文台(Smithonian Astrophysical Observatory)が作成した恒星カタログの記号です。
 SAO99891は8.8等級、SAO99883は9.5等級、SAO99880は9.2等級の恒星です。

 5月8日に口径15cm屈折望遠鏡と口径40cm反射望遠鏡で詳しく観察すると、ケレスがやや黄色みがかっていることがわかりましたが、大気の揺れがやや大きかったことから、高倍率でも面積がある円盤像とは確認できず、大気の揺れの影響で肥大化した恒星のようにしか見えませんでした。
 ケレスの大きさと地球からの距離を元に計算してみると、観察時の視直径は0.6秒角。大気の揺れが少ないときには口径40cm反射に高倍率を使用すると円盤像が見えるかもしれません。


 証拠画像として、口径15cm屈折望遠鏡の直焦点にミラーレスカメラを装着し撮影してみました。画像は北を上にしています。
 焦点距離1100mm、露出5秒、感度ISO3200、M116-7254


 2日後の5月10日(水)に撮影。2日間で0.2度ほど南に移動していました。
 焦点距離1100mm、露出8秒、感度ISO3200、M116-7302

 5月10日には、思い切って口径40cm反射に680倍という高倍率でじっくり観察すると、極めて小さな円盤状のケレスが確認できました。近くのSAO99891という8.8等級の恒星と比較すると明らかに見え方が異なりました。


 ところで、このケレスは発見以降、天体の分類名称が変遷しています。
 ケレスが発見されたのは1801年。ボーデの法則に準拠した位置に発見された「惑星」と当初は考えられていました。
 しかし、同じような天体のパラスが1年後の1802年に発見され、1804年にジュノーが、1807年にベスタが発見されてからは、minor planet あるいは asteroid (日本語ではどちらも小惑星)と呼ばれるようになりました。

 その後、小惑星が続々と発見され、2020年現在で80万個ほどの小惑星が登録され現在も増えています。その中で第1発見となったケレスには小惑星番号1番が付番されています。パラスは2番、ジュノーは3番、ベスタが4番です。

 ところが、2005年に小惑星Eris(エリス)が発見されたことなどで状況が変わります。
 冥王星と同じような形態の小惑星が何個か発見されたことや、冥王星よりも大きな小惑星もあったことから、準惑星という定義が考えられました。冥王星が惑星から準惑星に変更され、同時にエリスやケレスも準惑星と分類されました。

 なお、準惑星の定義に曖昧な部分が残っていることから、現時点でも準惑星候補の天体が複数存在し、今後の議論で定義や呼称名称や天体数が変わる可能性があるので要注意です。
 また、文献によっては準惑星も小惑星として一覧表に入れているものもありますし、NASAでは asteroid や dwarf planet などの呼称を使わずに全て small bodies と呼称しているようです。

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