《 とっぷりと暮れてから、梅安と彦次郎は、居間の長火鉢へ土鍋をかけ、これに出汁を張った。笊に、大根を千六本に刻んだのを山盛りにし、別の笊には浅蜊の剥き身が入っている。
鍋の出汁が煮えてくると、梅安は大根の千六本を手づかみで入れ、浅蜊も入れた。刻んだ大根はすぐさま煮えあがる。それを浅蜊とともに引きあげて小皿へとり、七色蕃椒(なないろとうがらし)を振って、二人とも、汁といっしょにふうふういいながら口へはこんだ。
「うめえね、梅安さん」
「冬が来ると、こいつ、いいものだよ」
酒は茶碗で飲む。》
池波正太郎 仕掛け人・藤枝梅安シリーズ『梅安晦日蕎麦』より
もうすぐ冬、大根が美味くなる時期。いかにも美味そうである。
うちでは、浅蜊の代わりに油揚げを使う。浅蜊が不安である。出自が明らかでないものが多い。
油揚げで十分美味い。大根を山盛りの水菜に代えると「つまし鍋」と言う。
鍋の出汁が煮えてくると、梅安は大根の千六本を手づかみで入れ、浅蜊も入れた。刻んだ大根はすぐさま煮えあがる。それを浅蜊とともに引きあげて小皿へとり、七色蕃椒(なないろとうがらし)を振って、二人とも、汁といっしょにふうふういいながら口へはこんだ。
「うめえね、梅安さん」
「冬が来ると、こいつ、いいものだよ」
酒は茶碗で飲む。》
池波正太郎 仕掛け人・藤枝梅安シリーズ『梅安晦日蕎麦』より
もうすぐ冬、大根が美味くなる時期。いかにも美味そうである。
うちでは、浅蜊の代わりに油揚げを使う。浅蜊が不安である。出自が明らかでないものが多い。
油揚げで十分美味い。大根を山盛りの水菜に代えると「つまし鍋」と言う。