8月20日付朝日新聞の「天声人語」すごいと思ったので拝借
ベトナム戦争のころ、米軍が高性能のヘリを作り、開発にかかわった技術者がどんなパイロット
を乗せるか合議した。結論は、「理学系博士課程の学力があり、五輪選手級の運動神経を持つ、
自殺志願の男性」。航空自衛隊医官や早大教授をつとめた故黒田勲さんから聞いた話だ▼性能を
高めたいあまり、危険で操縦の難しい航空機を作りたがる。そうした軍幹部や技術陣への皮肉
として語られていた話らしい。垂直離着陸で売るオスプレイを、嫌でも連想してしまう▼4月に
はモロッコで墜落事故を起こした。予想通りと言うべきか。米軍は先日、主原因は操縦ミスだっ
たと公表した。操縦士の失点にして一件落着させるのは、昔の事故調査を見る思いがする▼機体
に問題はなく、要するに「操縦士がしっかりしていれば事故は起きなかった」という結論だ。だ
が機体の問題とは、何かの不具合だけではあるまい。ヘリと飛行機の二兎を追った設計である。どこか
飛行に無理があるなら、それ自体が問題をはらんでくる▼ヒューマンエラー研究の草分けだった
黒田さんは「人間のせいにすれば対策は安くなる」と指摘していた。たとえばの話、「しっかり
やれ」と指導すれば恰好はつく。だが、むろん抜本的な対策ではない▼ともあれ、これで「安全
は確認された」と肯けるものだろうか。沖縄の普天間飛行場は市街地が隣接して「世界一危険
な基地」と言われる。10月配備の台本に沿って事を進めるなら、乱暴に過ぎる。
すみません朝日新聞さん。
ベトナム戦争のころ、米軍が高性能のヘリを作り、開発にかかわった技術者がどんなパイロット
を乗せるか合議した。結論は、「理学系博士課程の学力があり、五輪選手級の運動神経を持つ、
自殺志願の男性」。航空自衛隊医官や早大教授をつとめた故黒田勲さんから聞いた話だ▼性能を
高めたいあまり、危険で操縦の難しい航空機を作りたがる。そうした軍幹部や技術陣への皮肉
として語られていた話らしい。垂直離着陸で売るオスプレイを、嫌でも連想してしまう▼4月に
はモロッコで墜落事故を起こした。予想通りと言うべきか。米軍は先日、主原因は操縦ミスだっ
たと公表した。操縦士の失点にして一件落着させるのは、昔の事故調査を見る思いがする▼機体
に問題はなく、要するに「操縦士がしっかりしていれば事故は起きなかった」という結論だ。だ
が機体の問題とは、何かの不具合だけではあるまい。ヘリと飛行機の二兎を追った設計である。どこか
飛行に無理があるなら、それ自体が問題をはらんでくる▼ヒューマンエラー研究の草分けだった
黒田さんは「人間のせいにすれば対策は安くなる」と指摘していた。たとえばの話、「しっかり
やれ」と指導すれば恰好はつく。だが、むろん抜本的な対策ではない▼ともあれ、これで「安全
は確認された」と肯けるものだろうか。沖縄の普天間飛行場は市街地が隣接して「世界一危険
な基地」と言われる。10月配備の台本に沿って事を進めるなら、乱暴に過ぎる。
すみません朝日新聞さん。
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