伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

国保を現状で県に統合すれば低所得者の負担重く/いわき市議会6月定例会一般質問Vol.3

2019年06月21日 | 市議会
2 国民健康保険について              
(1)国保加入者の状況について
  
 
        


伊  藤
 国民健康保険についてです。

 本市は、今年度の国保税は、県が示した課税標準額の引き上げを踏まえながらも、国民健康基金からの繰り入れを行うことで安定的な運用は可能と判断し、国保税率を据え置くことにしております。

 なぜ、執行部は国保税を据え置くことが必要と考えたのか、その執行部の率直な状況認識を知りたいと思っています。

 そこでまずは、国保加入者の状況について伺っていきたいと思います。まず、国保加入者のうち60歳以上の加入者の割合はどのようになっているのか、お伺いします。


市民協同部長
 本年5月末現在で申し上げますと、被保険者数6万4,517人に対し、60歳以上の被保管者数は3万7,896人でありますことから、58.7%となっております。




伊  藤
 約6割が60歳以上ということで、収入の面でもですね、なかなか困難な加入者が多いというふうな特徴があると思います。
国保加入者の一世帯当たりの所得はどのように推移しているのか、お伺いします。


市民協同部長
 所得額から基礎控除額を差し引いた1世帯あたり平均の課税標準額について、過去3年間の推移で申し上げますと、
平成28年度は98万734円、
29年度は90万8,243円、
30年度は86万7,692円と、減少傾向にあります。


伊  藤
 加入者の所得は減少傾向にあるということです。
では、国民健康保険税の一世帯当たりの課税額がどのように推移しているのか、お伺いします。


市民協同部長
 一世帯あたり平均の課税額について過去3年間の推移で申し上げますと、
平成28年度は15万191円、
29年度は14万2,853円、
30年度は13万8,837円と減少傾向にあります。


伊  藤
 減少傾向にあるという事で、国保の会計という観点から見ると、なかなか大変な状況になっていくんだというふうに思います。
次に、夫婦2人で所得200万円のモデル世帯の国保税額はどのようになっているんでしょうか。

市民協同部長
 お質しのモデル世帯について、基礎課税額、後期高齢者支援金等課税額、介護納付金課税額の全てが課税される場合で申し上げますと、32万3,900円となります。


伊  藤
 その所得に占める割合はどの程度になるか、計算できます。


市民協同部長
 約16.2%位になります。


伊  藤
 非常に大きな負担をしているという実態が、そこに出ているんだというふうに思います。
 次に、国保税には7割、5割、2割の軽減措置がありますが、その適用を受ける世帯数の推移はどのようになっているでしょうか。


市民協同部長
 過去3年間の推移を申し上げますと、
平成28年度は、加入世帯4万9,318世帯のうち、軽減世帯は2万8,175世帯、割合にして57.1%、
29年度は、4万6,328世帯のうち、2万7,461世帯、59.3%、
30年度は、4万4,158世帯のうち、2万6,905世帯、60.9%
となっており、加入世帯の減少に伴って、軽減世帯数は減少傾向にありますが、軽減世帯の割合は増加傾向にあります。


伊  藤
 この割合が増加しているところには、該当する枠組みを広げて軽減が該当しやすくしていると、そういうこともあるんだとは思うんですけど、この該当世帯がだんだん増えてきていて、しかもほぼ3分の2の世帯が何らかの軽減を受けているという状況になっているわけです。そこには、国保が加入者の負担能力の限度を超えて大きすぎる負担をかけている。ある意味制度自体が無理な制度になってきていることが表れているんだというふうに思います。

 その原因は、国が国庫負担を減らし、基本的には加入者の自助努力を強いてきたことが一つで、県内統一の国保税に向かう中でも、国の負担をしっかり実施して、無理なく負担し医療を利用できる健全な制度にしていくことが、引き続きの課題になっているのかと思います。



(2)今年度の国保税の据え置き等について       

伊  藤
 そこで次に、今年度の本市の国保税について伺いたいと思います。

 県が示した本市の標準保険料率は、昨年度と比較して所得割額で0.31%、均等割り額で2,326円、平等割額で1,705円をいずれも引き上げる内容となっていますが、その背景にある1人当たり国保事業費納付金の見込みが1,559円増加するのは、どのような理由があるのか、伺います。




市民協同部長
 1人あたり国保事業費納付金の見込みが増加する理由としましては、県の試算において、本年度の県全体の1人あたり保健給付等の額が、昨年度より増加すると見込んだことによるものですございます。


伊  藤
 保険給付費の額が増加する、すなわち医療費が増えているんだということになるわけですが、先だっていわき医師会の木村守一会長に、医療介護対策特別委員会でお話を伺った時に、いわき市の医療に関わる問題の一つとして、先生のご意見では、健診の受診率の低さ、これを上げておりました。これがここ10年で解決すべき課題だとしながら、解決のために、特に就労している若い世代とどう接点を持っていくのかが大切になるんではないか。このような認識を示しておりました。

 こうした課題が解決しえいれば、高額な医薬品が保険診療の対象になってくる現実を踏まえても、医療費を抑制することが可能になってくるとは思いますが、現状ではそうはなっていないので、医療費が嵩み標準保険料率で値上げという結果が示されてくるわけです。これからもそういう傾向というのが続くかもしれない、そういう懸念もあります。

 その中、本市は今年度も現行税率とした場合には、約3億6,200万円の赤字になると見通しながら、国民健康保険基金を取り崩し、繰り入れることで現行税率に据え置くことにしています。このような措置をとる理由は何か、伺います。


市  長
 本年度の国保税率を据え置きますと、本年度以降の実質収支は赤字が継続すると見込まれますことから、本来であれば、収支の均衡を図るために、国保税率の引き上げを検討する状況にあります。

 しかしながら、このような状況の中、本年度の国保税率を据え置いた理由としましては、現在、本市の国保基金は約25億7,300万円を保有しておりますことから、今後見込まれる赤字額を、当該基金から取り崩して補填した場合であっても、国保税率が、確実に県内統一化されない令和6年度末の基金残高は、現時点で、約5億3,500万円が確保できる見込みであるため、ただちに国保税率を引き上げる状況にはないこと、
さらには、基金を一定額以上保有している間は、被保険者の税負担に配慮することとし、国保税率は引き上げないと判断したものであります。


伊  藤
 ただ今の答弁の中でですね、加入者の税負担に配慮するというお話があったんですが、では、税負担に配慮するということ、今の国保税が加入者の暮らしの状況から見た時に、重い負担になっているという認識があるからなのかどうか、その点について伺いたいと思います。


市民協同部長
 構造的には、国民健康保険税は他の保健制度より高い現状にございますが、今回、その判断をしたのは、基金がある中で低所得者の人にですね、引き上げを行うということはしわ寄せをするという判断で、今回据え置いたということでございます。


伊  藤
 基本的にはですね、先ほどの国保を巡る状況からもあらわれてくるように、加入者の生活を見ると、今の国保税っていうのが高い状況にある。だからこそ減免世帯も増えていくんだろうというふうに思うんであります。
 国保税の加入者負担が大きい現状からみれば、軽減措置の適用があるとは言え、引き下げを図ることが求められていると考えますが、本市の見解はいかがでしょうか。


市  長
 本市の国保財政は、先程、申し上げましたとおり、国保税率を据え置いた場合、本年度以降の実質収支は、毎年、赤字が継続すると見込まれ、これにより、令和6年度末の基金残高は、約5億3,500万円まで減少する見込みであります。

 このような中、国保税率を引き下げた場合は、赤字額はさらに拡大し、基金が令和6年度前に枯渇すると見込まれ、その際は収支の均衡を図るため、国保税率を引き上げることとなります。

 このことから、現時点では国保税率の引き下げはないものと考えております。


(3)国保税統一に向けて本市がとらえる課題について  


伊  藤
 県内統一を見越していくとですね、基金を引き下げに使うことはできないという答弁だったと思うんですけど、国保税の負担が重すぎるものとなっているという現実が、制度減免が該当する世帯が6割にも達する事態に現れている、そのように、繰り返しになりますが思います。この国保税が、今後の県の統一の中で、さらに重い負担となって市民に課せられるようなことになれば、市民の命と健康を守る上からも重大な問題になるというふうに考えております。

 そこで、2025年、令和7年度以降に、保険税率を県内統一化することがめざされていますけれども、統一化された場合の課題をどのようにとらえているのか、伺います。


市民協同部長
 現在、県が示す標準保険料率と、本市の国税率には大きな乖離が生じております。

 具体的には、前年の所得額に対して課税する所得割額は本市の方が高く、1世帯につき課税する平等割額も本市の方が高く、一方、1人につき課税する均等割額は本市の方が低い状況にありますことから、本市の税率は低所得者に配慮した設定となっております。

 このため、国保税率の県内統一化に向けては、この乖離を段階的に埋めていく必要があります。

 具体的には、本市の税率について、所得割額と平等割額は引き下げる必要があり、均等割り額については引き上げる必要があります。

 ただし、これにより、所得の高い世帯においては税額は減少しますが、低所得世帯においては、税額は増加することになるため、国保税率の県内統一化に向けては、低所得者に配慮しながら、いかに標準保険料率との乖離を埋めていくかが大きな課題と受け止めております。


伊  藤
 低所得者の負担が増えかねないという問題点があるということなんですね。本市の現状については、低所得者に配慮した中身になっているということは非常にいいことだと思うんですね。

 ところが県の方ではそうなっていないという現状を踏まえた時に、県の現状に合わせるというのではなくて、県の制度設計そのものを、やっぱり低所得者に配慮したものにきちんとしてくださいよ。こういう意見をですね、いわき市として言っていくということが必要だと思うんですね。

 そうじゃなければ、やっぱり国保税が使いにくい制度として統一してしまうという状況にあると思うんです。そういういわき市のいいところを県に売り込む、県にしっかり意見していく、そのことについて何かご所見はございませんか。


市民協同部長
 県と市町村の協議の場というものがございますので、今ほどお話がありましたように、いわゆる低所得世帯にですね、配慮した税率設定になりますようにですね、対策を講じる協議を、今後県に要望しながら詰めていきたいと思っております。


伊  藤
 通告した次の質問が、課題解決に向けて本市はどのように取り組んでいく考えなのかですか、今の答弁と同じになるかな。とりあえず答弁お願いします。


市民協同部長
 国保税率が県内統一化された際に、低所得世帯の税額が急激に増加しないよう、あらかじめ標準保険料率との乖離を小さくしておくことが必要であると考えております。

 その一方で、この乖離を小さくしていくことにより、低所得世帯の税額は段階的に増加となりますことから、そうならないよう配慮する必要もあります。

 そのために、例えば、一世帯につき課税する平等割り額を引き下げながら、一人につき課税する均等割額を引き上げることで、低所得世帯の税額の増額を最小限に抑えつつ、標準保険料率との乖離を小さくすることで、国保税率が県内統一化された時の急激な増加を回避してまいりたいと考えております。


伊  藤
 急激な増加を抑えるということではなくてですね、やはりいわき市のように低所得者にしっかり配慮した制度にするように、ご意見をしていただきたいというふうに思います。




いわき市議会6月定例会一般質問

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