伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

県立高校統合計画に市が市民の意見を伝えよ/いわき市議会6月定例会一般質問Vol.2

2019年06月21日 | 市議会
(2)県立高校の統合計画に関係者、住民の意見を踏まえ
  本市として意見することについて
 
     


伊  藤
 次に、県立高等学校の統合計画について伺います。

 私は、2017年2月定例会に県立高校の統合問題を取り上げ、小規模校が地域の人材育成の上から貴重な役割を果たしている観点からの質問をしておりました。

 去る2月、福島県教育委員会は、県立高等学校改革前期実施計画を発表し、2019年度から2023年度までの5年間で県立高校25校を13校に再編し、市内では小名浜高校と海星高校及び湯本高校と遠野高校を統合する方針を発表しております。

 2021年度に統合した新校をスタートさせる計画の小名浜・海星高校では改革懇談会が開かれており、報道によりますと関係者からは前向きな声が多かったとしながら、海星高校の関係者から水産科の一学年減に対する懸念や、「畑違いの統合」などの声が出され、また、統合までの時間の短さを心配する声もあったとされております。

 地域ということで見れば、統合されても元の地域から学校がなくなることはない小名浜ですが、方針が示されてからわずか2年間の間に次の新しい高校の準備をすすめるという進め方には拙速さを感じます。生徒や保護者、また地域等の意見を十分踏まえながら魅力のある学校づくりを進めるという観点から見れば、もっと時間をかけて議論もしつくして準備をすすめるという視点が必要なのではないか、そのように思います。

 もう一つの湯本高校と遠野高校の統合については、統合対象校の一方の地区、具体的には遠野地区に高校がなくなることになり、生徒の学業や地域に対する影響も大きい内容となっています。私の地元でもあることから、遠野高校の教育上の役割と存在意義を考察してまとめた記事をブログに掲載しましたが、掲載後、ほぼ毎日、アクセスのない日はないという程、読んでいただいており、多くの方に関心を持っていただいていると思います。
 そこで、この湯本高校と遠野高校の統合を中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、県が公表した県立高等学校改革前期実施計画の前提となる県立高校改革基本計画とはどのようなものなのか、伺います。





教育部長
 県立高等学校改革基本計画につきましては、本県の未来を切り開くチャレンジ精神を持った人づくりを推進することを基本理念として、各高等学校の新たな在り方を検討し、再編整備と特色化を図る中で、より良い教育環境を提供することによって、生徒一人ひとりの資質や能力を向上させることのできる魅力ある高等学校づくりを推進するため、県教育委員会が平成30年5月に策定したものであります。


伊  藤
 この計画の中ではですね、生徒達、子ども達にですね、
変化に対応できる生き抜く力をつけること、
そのために、多様な学習内容の確保、質の向上を図ること、
そして学校再編等による教育活動の魅力化、
4つめに過疎中山間地の学習機会の確保、
こういうことを柱にしながら全体としてまとめていっているという状況がありました。生き抜く力をつけることが目的なんだということになっているのでありました。

 2017年2月定例会に、小規模校が果たす役割について、少人数教育のメリットを生かしたきめ細やかな指導で学力の向上や進路希望の実現に大きな役割を果たしているとの主旨での答弁がされておりましたが、このうち遠野町に立地する遠野高校の市内高校教育での役割について、どのような認識をお持ちなのか、伺います。


教育部長
 遠野高校につきましては、在籍する生徒に対して、少人数教育のメリットを生かしたきめ細かな指導を行い、学力向上や進路指導の面で、特色ある教育を実施している高校の一つであると認識しております。


伊  藤
 そういう特色を持った取り組みを通じて、子ども達の豊かな成長を保障している、そういう側面があるのかなというふうに私も思います。

 遠野高校では、自分で漉いた遠野和紙で卒業証書を作成するなど地域団体等とタイアップしながらの教育展開に取り組んでいますが、こうした取り組みを本市としてはどのように評価しているでしょうか。


教育部長
 市内各高校においては、いずれの学校も地域と連携した様々な教育活動を展開しているものと認識しております。

 遠野高校につきましては、遠野和紙を活用した卒業証書を作成するなど地域資源を生かした特色ある教育活動が展開されているものと考えております。


伊  藤
 非常に地域との関係性が高い、そういう教育プログラムを組んで実践していただいていると思うんです。

 遠野高校では、遠野和紙の活用にとどまらず、いわき高箸の袋のデザインや、杉やヒノキを活用したボールペンや定規の作成など、民間の事業者のみなさんとコラボした地域資源活用の取り組み、こういうことも進めています。

 このような取り組みが生徒の体験を広げるとともに、イベントでのボランティアや出演などでの地域の人々との交流を通じてコミュニケーションスキルを高めたり、自分と社会のつながりの認識と自覚を高め、社会に巣立つ準備を進める貴重な機会になっている。このようなことを聞いております。

 こうした地域等と結んで遠野高校が生徒たちに育む物は、他で得ることができない貴重なものになっている、このように思います。その中で、統合計画が打ち出されているわけであります。

 この県の計画では県立遠野高校が湯本高校と統合した場合、校舎は湯本高校を使用するとしておりますが、現在遠野高校が生徒の教育上持っている機能が新設校にどのように引き継がれると考えているのか、お伺いします。


教育部長
 市教育委員会といたしましては、統合校の具体的な学校運営ビジョン等が、現在明らかになっておりませんが、今後、福島県教育委員会が開催する当該高校に関わる高等学校改革懇談会等において、具体的に示されていくものと考えております。


伊  藤
 具体的にはこれから、確かに示さるということになっていくわけでありますが、次の質問でまたそのことに触れていくことになると思います。

 さて、遠野高校の統合は地区にとっても大きな影響を与える問題になると思っています。高等学校がなくなる遠野地区にはどのような影響を及ぼすと考えていらっしゃるのか、伺います。


市民協働部長
 遠野高校の生徒のみなさんは、「遠野千本桜公園さくら祭り」等の地域行事への参加を通し、遠野地区の賑わい創出や交流に寄与しており、また、同校では「遠野和紙」の原料となるコウゾ等の栽培や、自らの卒業証書の紙漉きを行うなど、伝統文化への理解や関心も深めております。

 このように、遠野高校は、遠野地区のまちづくりに様々な貢献をしてきており、なくなった場合には、一定の影響が出る可能性があると思われます。


伊  藤
 ただいまの答弁にありましたように、地区にとっても非常に大切な高校になっている、そういうふうにいうことができるようになっていると思うんですね。

 ですから、先程、今後の改革懇談会の方で示されるというお話がありましたが、そこで示されるのを待つのではなくて、積極的にこちらから求めていくという事が大切になっているのかな、というように思うんであります。

 それを踏まえて、高校関係者及び地域には、立地条件等も含めて、高校あるいはその機能を遠野地区に存続させることが必要という意見がありますが、本市として、遠野高校の存続を県に対して求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。


教育部長
 遠野高校を含めまして県立高校の統廃合につきましては、福島県教育委員会により県立高等学校改革基本計画に基づき、現在進められているところでございます。従いまして、市教育委員会といたしましては、遠野高校の存続の可否について判断しうる立場にはございませんが、県教育委員会主催による高等学校改革懇談会等において、中学校における進路指導等に関しまして、想定される課題等について伝えて参りたいと考えております。




伊  藤
 遠野高校が進路指導の面でもですね、非常に先生たちの指導の上での大切な役割を持っているということも聞いておりますので、そこの声はしっかりと伝えていっていただきたいと思いますし、改めて住民のみなさんの声をしっかりと集めていくっていうことが大切なのかな、というふうに思います。

 遠野高校は2年前、創立70周年を迎えています。当時すでに、高校の統合が問題になっていましたが、記念式典に招かれて出席し、生徒を代表した生徒会長のあいさつを聞き、あらためて同校の必要性を強く思ったところでした。

 生徒会長はこのようなあいさつをしておりました。

 「遠野高では、進学、教養、ビジネス系に分かれて学んでいますが、少人数を生かして学力を身に着けることができています。

 生徒は旧3村以外の比率が高まっています。これは地域に支えられていることが他地域にも浸透して、希望する生徒が増えてきたからだと思います。これが遠野の発展につながると思います。私は植田町出身ですが、遠野が大好きです。

 これからも遠野高校のすばらしさを後輩に伝えていきたい。自己能力を高め、地域のみなさんと成長していきたい。自己実現と社会貢献を果たせるよう、遠野高校生として誇りを持っていきたいと思います。」

 これは私のメモをもとにした粗々のまとめだったんですが、こういうスピーチをしていたのであります。

 この同じ式典で校長先生は、遠野高校が当時の上遠野村、入遠野村、田人村のたっての願いで独立した高校になって、小規模ならではの1人ひとりの生徒の豊かな個性に寄り添った教育を実践し卒業生を送り出してきたと紹介しながら、「学校と地域が相互に高めあう伝統を作り、学校と地域が協力して生み出した成果を地域に返していきたい」と話されていました。

 学校と地域が協力して成果を生み出せる。こういう機能は、遠野という地域に学校があるからこそ発揮できたものだと思います。

 私は、もちろん統合するのではなく、遠野高校を存続させていただきたいという希望を強く持っておりますが、仮に統合されることがあったとして、遠野高校が育んできた機能、あるいは果たしてきた役割を最大限生かす統合のあり方を考える。この立場でこの問題に臨んでいくことが、これからの課題になるのではないかと思っています。

 この問題はですね、いま教育委員会の方で答えていただきましたが、いわきの子ども達にとって非常に大きな問題、いわきの将来を担う子ども達を育成する上で非常に大きな問題になっていると思います。

 遠野高校の存続について、市長としてご所見があれば、ぜひお聞かせ願いたいと思います。


市  長
 県立高校の統合にあたりましては、県教育委員会が対象地域ごとに県立高等学校改革懇談会を設置し、再編整備に関わる地域の関係者の意見を聞きながら進めていくこととされております。

 市といたしましては、同懇談会に参加する中で、先ほど部長が答弁申し上げました通り、中学校における進路指導に支障をきたさないよう対応することを求めるとともに、現時点において統合校の具体的な学校運営ビジョン等が明らかになっていない状況ではありますが、本市のまちづくりに寄与する人材を育成する観点から、市の考え方を伝えてまいりたいと考えております。

 議員お質しの関係者等の意見の集約につきましては、主催者である県教育委員会が改革懇談会を開催する中で、地域や学校関係者のみなさま等の意見にしっかりと耳を傾けていただきながら、しっかりと意見交換を重ねていくべきものと認識しております。


伊  藤
 ぜひ、そういう意見、市としての声をですね、県の方に届けて、住民の声、それから生徒たちの声、教育関係者の声、こういうものが今後の計画策定の中に生きるように取り組んでいただきたい。そのことを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。




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