伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

楮刈り取りとしょしとり作業続く

2022年12月14日 | 遠野町・地域
 今シーズンの保存会の作業は例年と違う。これまでは、楮の刈り取りと皮むきを先行させ、この作業が終了してから、しょしとり(楮の皮から黒皮を剥ぎ取る作業)の作業を進めた。
 今シーズンは、週2回のボランティア作業の中で、楮の刈り取りと黒皮むき、しょしとりまでの作業を進めている。遠野和紙は、遠野地区と常磐地区の小中学校やいわき湯本高校の卒業証書の用紙を提供している。通常は前年に作った白皮を活用している。これが不足しそうだということで、今年度刈り取った楮も活用する必要がありそうだからだ。

 通常、楮の枝を刈り取ると、大釜で1時間30分から2時間程蒸し、皮を剥き、束ねて物干し竿にかける作業まで行う。2釜蒸すとなれば、2釜までの時間は事実上の自由時間となった。しかし今回は、釜で蒸している間はしょしとりをする。刈り取りと枝の束作り、釜に束をつめ蒸し作業に入った後にしょしとり開始、1時間30分ほどで釜から甘い香りほんのり漂い始めたら束を取り出し枝の皮を剥く。剥き終わったらしょしとり作業に入り、剥いた皮が完全に冷えたら束にする。こんな状況で、昼時間を除く9時から14時(15時のことも)までの間、忙しく働き続ける状況だ。

 さらにこれらの作業と並行して地域おこし効力隊員が卒業証書用紙の漉き作業をしているため、いつもと違った活気が活動拠点の「学舎」に満ちている感じだ。
 特に、14日は福島県のいわき農林事務所から10人ほどが作業に参加してくれた。彼らも刈り取り、皮むき、そして白皮からの塵取り作業を体験した。しょしとりや塵取り作業は、けっこう手間がかかる作業だが、人数がいると作業も進む。遠野和紙の継承のためにも、保存会の参加者を増やす必要があると実感する。

 最初の写真は、手前で塵取り、奥でしょしとりをしている。
 ちなみにある本を読んだら、皮から黒皮を剥ぎ取る作業を、茨城の方では「ひょひとり」と呼ぶと紹介していた。遠野の「しょしとり」は「ひょひとり」の「ひ」が「し」に置き換わった物かもしれない。江戸っ子は「ひ」と発音できず「し」になってしまうと聞いたことがあるが、それと同じことが起こってしまったのかもしれない。

 14日の楮の刈り取り作業。




 枝の裁断作業。



 今シーズンから、枝の根本と中程、そして先の方と3種類に分けて扱う様にしている。
 蒸し上がった楮の皮むき作業。




 剥いた皮を束ねた後に干す作業。




 1日、作業に参加してくれた農林事務所のみなさんに感謝したい。

 しょしとり作業の時、最近の私は黒皮を剥いだ白皮を点検し、変色部分などを切り取ってハンガーに干す作業をしている。今シーズンからは、この作業の時に白皮から塵やごみを洗い流しきれいな状態にしてから干すようにした。地域おこし協力隊員から、白皮をきれいにして保管すれば後の塵取り作業が楽になるのではないかと提案されたことがきっかけだ。

 実際、ごみを洗い流した皮は非常に美しい。塵取りが本当に楽になるかもしれない。
 まだ、この白皮を使った作業をしていないが、その効果がどうでるかが楽しみだ。

 14日、楮畑(深山田地区)の脇にホトケノザがきれいに花を咲かせていた。



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