小屋はもともと鶏舎として建てられたらしい。築40年にはなろうか。もしかしたら50年程度が経過しているかもしれない。材の一部は、それ以前にあった牛小屋を解体したものだという。ほぞ穴がある柱などがそれらしい。とするとこれらの材はさらに古く、50年、60年前の材かもしれない。
修繕の始まりはトタン屋根がさびて剥がれてしまったことにあった。風が吹くとバタバタいう。近所に迷惑をかけるので、改善するために張り替えることにしたのだ。
小屋の正面、右と左のトタン板が剥がれている。持ち上げてみると、垂木や軒桁などが腐食してボロボロになっている。この部分を取り換えなければ、トタン板を張り替えても意味がないことが分かった。
そこで、腐食した垂木等を切断して取り払い、切断面に新しい材木を継ぎ足して垂木や軒桁を再建した。まず南側から。
続いて北側。
修繕の途中、屋根裏まで登ってきて羽化したアブラゼミの抜け殻を見つけた。
こんなところに夏の残り香。どこか、心に響く夏の贈り物だ。
さて、狙いの屋根修理が終わった。ここまで4日程度かかったろうか。これで修繕は終わるはずだった。しかし、屋根を直してみると側壁が気にかかる。板が剥がれて大穴があちこちに開いているのだ。トタンをはってふさいだところもあるし、南側はほぼ壁がなくなっている。
とりあえず雨をしのげればいい。そんな修繕のイメージを持っていたが、このままにしておくことは心苦しい。そこで壁の修理もすることにした。
まず北側の壁。写真にも見える斜めにはったトタン板が浮いている。まずは木板部分の修繕を初め、板を剥がして、使える物はカットして使い、不足する分には新しい板をはった。
次のトタンをはった壁で問題がおこった。青いトタンの部分が修繕した壁だが、この板を打ち付ける横木・・桁というのだろうか、これがないのだ。まず横桁を取り付けなければならない。この横桁の一端は屋根の直下となる軒桁に取り付けなければならないが、ここに問題があった。すでに新しい屋根をはってしまったため、スペースがなく釘打ちもねじ止めも難しい状況になっていたのだ。
後の作業も同じような問題にぶち当たったが、全体の改修計画もなく、気にかかってしまった場所から思いつくままに修繕を進めたため、作業のやり直しや作業を進めるための苦肉の策を講じるなど、行ったり来たりの作業になり余計に時間がかかってしまったように思う。スムーズな作業のためにも、まず全体の改修構想を持って、事前の計画を持って進めることが大切だと悔いを残しながら作業を進めた。
問題の横桁を何とか軒桁にねじ止めし、無事にトタン板を打ち付けることができた。これで北側の壁の修繕は完了だ。
南側の壁の作業に移った。
ここでも問題が発生。南側は大きく小屋の背後に向かって傾いていたのだ。角度で5度程度傾いていたのではないだろうか。小屋は基礎石の上に柱をのっけた構造だったが、柱の根本が腐って支持力を失ったところに、震災の揺れが影響したのだと思うが、とにかく何らかの力が加わり傾いた。それだけではない。背面となる南角の柱は傾きながらもしっかりと屋根を支えているのだが、残りの柱はほぼ宙に浮いている。ブラブラしている柱に板をはることはできない。まずは柱を地に着ける作業が必要となったのだ。
まず、外側に大きく傾いた南角の柱を何とかしなければならない。とりあえずつっかえ棒をすればいいだろうと考え、土を掘り、そこにブロックを入れて支持基盤を作り、そこにつっかえ棒を入取り付け柱の支えを作った。傾いたままの柱でやむなしとして、次の作業に移ったのだ。
次はブラブラになっている柱を何とかしなければならない。羽子板付沓石を使うのが簡単だろうと考え、ホームセンターで購入してきた。コンクリート塊に取り付けられた金属プレートで柱にねじ止めできる基礎石だ。一つ598円。4個で済むと考えて購入してきたが、他の改修場所でも必要となり追加で購入し、最終的には13個購入した。
沓石を柱に履かせるため、柱の腐った根元を切り取る。柱を天上の梁から外すことができなかったので、そのままの状態でのこぎりで切るのだが、両刃ののこぎりでの作業はきつい。20回のこをひいたら一休みを繰り返し息を切らしながら切断し、根元に沓石を取り付けた。同様の作業を4回繰り返し、柱を安定させた上で板を釘打ちして、壁は完成した。もともふさがっていたはずの壁の一部には板をはらず、通路として活用することにした。
ここまで修理すると背面の壁も気にかかる。大穴をトタン板でふさいでいたがこれもバタバタいいそうだし、木板もずっこけているなど穴が多い。あまりにもみっともないので、ここにも手を入れることにした。よさげな壁は残して、一部の張り替えとしようと考えて作業を進めた。ここでも柱の切断と沓石の取り付けをが最初の作業。順次板を張っていったが、作業が進むと残そうと考えたところも修繕しないと収まりが悪い。結局、全部の板を剥がして古材も活用しながら新たに板を貼り付けることにした。
こうして壁の修繕は終わったが、ここで気にかかったのが、上の写真の鉛色のトタン屋根の部分だ。上は張り替えた後の写真なのだが、この部分のトタンもさび付いて釘が抜け落ち、軒桁がむき出しになり腐っていた。このままにはできないだろう。トタンと軒桁を外し、軒桁と垂木を再建、トタンを打ち付けた。
また、もともと鶏小屋だったこともあり前面には壁がない。金網が張ってあった部分だ。張り出し屋根の部分は雨が吹き込む心配はない。しかし、張り出し屋根がない部分は雨が吹き込む心配がある。そこで新たに壁を作ることにした。明かり取りの窓の代わりにする波板ポリカ(たまたま自宅に保管していたものがあった)と木板をはって壁とした。
南側面の壁に板をはらず通路を設けた結果、むき出しの状態になった柱の周りに板をはり保護材とし、その内部には雨よけのための壁を新設し、小屋の外部の修繕はほぼ終えた。
次は内部だ。内部にもぶらぶらしている柱があったので、これにも沓石を履かせて補強し、これまでほぼ140㎝の高さに取り付けてあった梁・・おそらく鶏の止まり木だったと思うのだが、これを取り外し、北側から南側に場所を変えて約170㎝の高さに取り付け、上部に長物を保管できるようにした。低い位置の梁にはよく頭をぶつけて痛い思いをしていたが、これでぶつける心配がなくなった。
修繕前の梁が見えるだろうか。あまりにも低いため、背が低い私が腰をかがめて通り抜けようとした時、気を抜くと頭をぶつけてしまっていたのだ。
修繕後は腰をかがめる必要がなくなった。
また、これまでは物を置くための台がなかったので、一部にコンパネ一枚分のフロアを作りつけ、他に木材を補完するスペースも作った。新たに設けた補強用の梁は、これ1本ではどうも弱々しい。補強のために板を斜めに張り柱と梁をつないだ。
畑に近いこともあり、農機具をひっかけて収納するための横板も取り付けた。
などなど、作業は、進めながら思いついた作業を付加する形で進んできた。このため効率が悪かったことは先にも書いた。
例えば、こんなことがあった。南側の壁を作り終えた時点では、小屋背面の南角の柱は傾いたままつっかえ棒を入れたと先に書いた。しかし、この判断が間違っていた。背面の壁を修理しようとした時、この柱の傾きが問題になったのだ。
背面は全ての柱が傾いているわけではなかった。真っすぐに立っている柱もある。南角以外の柱は、沓石を入れた際に傾きを直し、傾いていない柱に合わせ地面と垂直にした。南角の柱は傾いたままだ。この傾きを直さないと背面の壁板を打ち付けることができない。しかし、南角の柱には南側面の修繕時に壁板を打ち付け固定してしまっていた。
結局、修繕を終えたいた壁面の全部の板を外して傾きを直した上で、壁板をあらためて釘打ちするという作業をせざるを得なかった。2度手間となったのだ。
このような事例は、小規模ながらも何度か繰り返された。
ここからの教訓は、やはり、全体計画を事前に綿密に立て、それに基づいて作業を進めることが必要だということ。屋根の赤い部分は、赤ペンキではなく赤さびだ。早晩、屋根全体の葺き替えが必要になるだろう。その際にはこの教訓を活かしたいし、この教訓は鳥小屋の修繕以外の場面でも活きそうなので、肝に銘じておきたい。
いったん修繕は終わった。この修繕で、小学校、中学校での課目「技術」で学び、記憶に残っている程度の知識でも、結構、活かせるということに自信も持てたことは幸いというべきだろうか。
修繕の始まりはトタン屋根がさびて剥がれてしまったことにあった。風が吹くとバタバタいう。近所に迷惑をかけるので、改善するために張り替えることにしたのだ。
小屋の正面、右と左のトタン板が剥がれている。持ち上げてみると、垂木や軒桁などが腐食してボロボロになっている。この部分を取り換えなければ、トタン板を張り替えても意味がないことが分かった。
そこで、腐食した垂木等を切断して取り払い、切断面に新しい材木を継ぎ足して垂木や軒桁を再建した。まず南側から。
続いて北側。
修繕の途中、屋根裏まで登ってきて羽化したアブラゼミの抜け殻を見つけた。
こんなところに夏の残り香。どこか、心に響く夏の贈り物だ。
さて、狙いの屋根修理が終わった。ここまで4日程度かかったろうか。これで修繕は終わるはずだった。しかし、屋根を直してみると側壁が気にかかる。板が剥がれて大穴があちこちに開いているのだ。トタンをはってふさいだところもあるし、南側はほぼ壁がなくなっている。
とりあえず雨をしのげればいい。そんな修繕のイメージを持っていたが、このままにしておくことは心苦しい。そこで壁の修理もすることにした。
まず北側の壁。写真にも見える斜めにはったトタン板が浮いている。まずは木板部分の修繕を初め、板を剥がして、使える物はカットして使い、不足する分には新しい板をはった。
次のトタンをはった壁で問題がおこった。青いトタンの部分が修繕した壁だが、この板を打ち付ける横木・・桁というのだろうか、これがないのだ。まず横桁を取り付けなければならない。この横桁の一端は屋根の直下となる軒桁に取り付けなければならないが、ここに問題があった。すでに新しい屋根をはってしまったため、スペースがなく釘打ちもねじ止めも難しい状況になっていたのだ。
後の作業も同じような問題にぶち当たったが、全体の改修計画もなく、気にかかってしまった場所から思いつくままに修繕を進めたため、作業のやり直しや作業を進めるための苦肉の策を講じるなど、行ったり来たりの作業になり余計に時間がかかってしまったように思う。スムーズな作業のためにも、まず全体の改修構想を持って、事前の計画を持って進めることが大切だと悔いを残しながら作業を進めた。
問題の横桁を何とか軒桁にねじ止めし、無事にトタン板を打ち付けることができた。これで北側の壁の修繕は完了だ。
南側の壁の作業に移った。
ここでも問題が発生。南側は大きく小屋の背後に向かって傾いていたのだ。角度で5度程度傾いていたのではないだろうか。小屋は基礎石の上に柱をのっけた構造だったが、柱の根本が腐って支持力を失ったところに、震災の揺れが影響したのだと思うが、とにかく何らかの力が加わり傾いた。それだけではない。背面となる南角の柱は傾きながらもしっかりと屋根を支えているのだが、残りの柱はほぼ宙に浮いている。ブラブラしている柱に板をはることはできない。まずは柱を地に着ける作業が必要となったのだ。
まず、外側に大きく傾いた南角の柱を何とかしなければならない。とりあえずつっかえ棒をすればいいだろうと考え、土を掘り、そこにブロックを入れて支持基盤を作り、そこにつっかえ棒を入取り付け柱の支えを作った。傾いたままの柱でやむなしとして、次の作業に移ったのだ。
次はブラブラになっている柱を何とかしなければならない。羽子板付沓石を使うのが簡単だろうと考え、ホームセンターで購入してきた。コンクリート塊に取り付けられた金属プレートで柱にねじ止めできる基礎石だ。一つ598円。4個で済むと考えて購入してきたが、他の改修場所でも必要となり追加で購入し、最終的には13個購入した。
沓石を柱に履かせるため、柱の腐った根元を切り取る。柱を天上の梁から外すことができなかったので、そのままの状態でのこぎりで切るのだが、両刃ののこぎりでの作業はきつい。20回のこをひいたら一休みを繰り返し息を切らしながら切断し、根元に沓石を取り付けた。同様の作業を4回繰り返し、柱を安定させた上で板を釘打ちして、壁は完成した。もともふさがっていたはずの壁の一部には板をはらず、通路として活用することにした。
ここまで修理すると背面の壁も気にかかる。大穴をトタン板でふさいでいたがこれもバタバタいいそうだし、木板もずっこけているなど穴が多い。あまりにもみっともないので、ここにも手を入れることにした。よさげな壁は残して、一部の張り替えとしようと考えて作業を進めた。ここでも柱の切断と沓石の取り付けをが最初の作業。順次板を張っていったが、作業が進むと残そうと考えたところも修繕しないと収まりが悪い。結局、全部の板を剥がして古材も活用しながら新たに板を貼り付けることにした。
こうして壁の修繕は終わったが、ここで気にかかったのが、上の写真の鉛色のトタン屋根の部分だ。上は張り替えた後の写真なのだが、この部分のトタンもさび付いて釘が抜け落ち、軒桁がむき出しになり腐っていた。このままにはできないだろう。トタンと軒桁を外し、軒桁と垂木を再建、トタンを打ち付けた。
また、もともと鶏小屋だったこともあり前面には壁がない。金網が張ってあった部分だ。張り出し屋根の部分は雨が吹き込む心配はない。しかし、張り出し屋根がない部分は雨が吹き込む心配がある。そこで新たに壁を作ることにした。明かり取りの窓の代わりにする波板ポリカ(たまたま自宅に保管していたものがあった)と木板をはって壁とした。
南側面の壁に板をはらず通路を設けた結果、むき出しの状態になった柱の周りに板をはり保護材とし、その内部には雨よけのための壁を新設し、小屋の外部の修繕はほぼ終えた。
次は内部だ。内部にもぶらぶらしている柱があったので、これにも沓石を履かせて補強し、これまでほぼ140㎝の高さに取り付けてあった梁・・おそらく鶏の止まり木だったと思うのだが、これを取り外し、北側から南側に場所を変えて約170㎝の高さに取り付け、上部に長物を保管できるようにした。低い位置の梁にはよく頭をぶつけて痛い思いをしていたが、これでぶつける心配がなくなった。
修繕前の梁が見えるだろうか。あまりにも低いため、背が低い私が腰をかがめて通り抜けようとした時、気を抜くと頭をぶつけてしまっていたのだ。
修繕後は腰をかがめる必要がなくなった。
また、これまでは物を置くための台がなかったので、一部にコンパネ一枚分のフロアを作りつけ、他に木材を補完するスペースも作った。新たに設けた補強用の梁は、これ1本ではどうも弱々しい。補強のために板を斜めに張り柱と梁をつないだ。
畑に近いこともあり、農機具をひっかけて収納するための横板も取り付けた。
などなど、作業は、進めながら思いついた作業を付加する形で進んできた。このため効率が悪かったことは先にも書いた。
例えば、こんなことがあった。南側の壁を作り終えた時点では、小屋背面の南角の柱は傾いたままつっかえ棒を入れたと先に書いた。しかし、この判断が間違っていた。背面の壁を修理しようとした時、この柱の傾きが問題になったのだ。
背面は全ての柱が傾いているわけではなかった。真っすぐに立っている柱もある。南角以外の柱は、沓石を入れた際に傾きを直し、傾いていない柱に合わせ地面と垂直にした。南角の柱は傾いたままだ。この傾きを直さないと背面の壁板を打ち付けることができない。しかし、南角の柱には南側面の修繕時に壁板を打ち付け固定してしまっていた。
結局、修繕を終えたいた壁面の全部の板を外して傾きを直した上で、壁板をあらためて釘打ちするという作業をせざるを得なかった。2度手間となったのだ。
このような事例は、小規模ながらも何度か繰り返された。
ここからの教訓は、やはり、全体計画を事前に綿密に立て、それに基づいて作業を進めることが必要だということ。屋根の赤い部分は、赤ペンキではなく赤さびだ。早晩、屋根全体の葺き替えが必要になるだろう。その際にはこの教訓を活かしたいし、この教訓は鳥小屋の修繕以外の場面でも活きそうなので、肝に銘じておきたい。
いったん修繕は終わった。この修繕で、小学校、中学校での課目「技術」で学び、記憶に残っている程度の知識でも、結構、活かせるということに自信も持てたことは幸いというべきだろうか。
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