伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

可燃災害廃棄物の焼却試験の結果から考える

2012年05月11日 | 復興
 災害廃棄物の焼却処理を検討しているいわき市が、北部清掃センターで実施した試験焼却による放射性物質の測定結果を公表している。
⇒http://www.city.iwaki.fukushima.jp/dbps_data/_material_/localhost/05_seikatsu/seibi/hokusei-shiken.pdf

 試験は4月11日から17日までの7日間実施され仁井田運動場に保管された可燃の災害廃棄物71.52tを燃やした。一般ごみとの混焼割合は8.5%になるという。

 試験期間中の排ガスは2回の測定とも検出限界値(1.0Bq/?)未満、飛灰、焼却灰とも試験焼却前の放射性物質濃度とほとんど差異はなく、また、周辺の空間線量にも大きな変化は見られなかった。このため災害廃棄物を焼却しても問題なしと判断したという。

 今年2月にやはり7日間実施された南部清掃センターでの試験焼却結果は、すでに公表されている。
⇒http://www.city.iwaki.fukushima.jp/dbps_data/_material_/localhost/05_seikatsu/seibi/nansei-shiken.pdf

 小名浜港運動施設「北緑地グランド」に仮置きした災害廃棄物75.84t(混焼割合8.8%)を燃やした結果、排ガス中の放射性物質濃度は検出限界値(1.0Bq/?)、飛灰は試験焼却前より低く、焼却灰はほぼ同程度、周辺の空間線量にも大きな変化はなく、やはり、焼却に問題なしとしている。

 災害廃棄物をどうするかは大きな課題だ。復興をすすめるにあたっても、災害廃棄物の処理は欠かせない課題になる。可燃物は焼却をする必要があるが、問題は、このことによる放射性物質の再拡散が発生するかどうかになる。

 試験焼却ではいずれの焼却センターでも、通常の一般ごみの焼却時と変わらない状況だったことが確認された。しかし、低レベル被曝での影響で一致した見解はなく、そうである以上できるだけ被曝を減らしたほうが良いとされていることは、多くの市民が知ることとなりつつある。そのために市は、空間線量の測定、食品や水の測定などの体制を整え、除染のための準備作業も続けている。

 このことを前提にすれば、試験焼却の結果が出たいまでも市には、データに基づく市民への説明と理解を得るための努力を貫くことが求められているだろう。強行することがあれば、市に対する市民の信頼を傷つけ、いわき市からの自主避難の拡大につながりかねない。

 もう一つは、当面、排ガス中の放射性物質の測定の頻度を増やすことが必要ではないか。これまでの答弁では、法定の2ヶ月に1回の排ガス検査時に行うとしている。検査と検査の間の放射性物資の監視は、バグフィルター(煤塵を除去するそうち)を通過したガスの煤塵を24時間監視する装置が付いており、これで行うというのだ。専門家が「放射性物質は煤塵に凝集・吸着し、煤塵とともにバグフィルターでほぼ完全に除去され、バグフィルター出口の煤塵濃度で、放射能の動向を把握できる」と言っているからだという。

 もしかしたら、その通りなのかもしれない。しかし、これで住民が納得できるかが問題だ。できうる限りの監視体制をとることが、住民の納得と安心の前提になるように思えてならない。バグフィルター通過後の煤塵監視装置による放射性物質監視の信頼性も、排ガスの検査を増やすことで実証されることにもなる。あらためて市の対応を求めたい。


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