伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

歴史は、そこに学ぼうとしない者には何も教えてくれない・・なるほど、です。

2015年09月05日 | 復興
 秋の気配のただよう朝で始まった1日。しんぶん赤旗を配達し、午後から小名浜のカルチェド・シャンブリアンで浜通り医療生協まちづくり委員会が開いたシンポジウム「震災復興の現在と未来」を聞いてきました。

 シンポジストは開沼博氏(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員)、佐藤栄佐久元知事、渡辺敬夫前市長、渡辺淑彦弁護士(原発被害いわき市民訴訟弁護団)で、浜通り医療生協の鈴木英司副理事長(前副市長)がコーディネートしました。

 震災・原発事故後に関する渡辺前市長のお話は興味深かった。原発事故が発生しているにもかかわらず、国からも、県からも一切の情報がなく、事故発生を知ったのは楢葉町長から避難所設置の要請があったことだったというのです。その楢葉も避難の必要性を知ったのは、町の駐在からの「どうして避難しないのですか」と問われたことによったといいます。駐在は上部から速やかに避難するよう命令されていたのに、町に対しては情報がなかったということです。

 そして久之浜・大久地区の住民を避難させるために12日の夜に避難計画を作ったといいます。21日に初めて原発事故に関する情報が入ったのが避難住民の受け入れに関することだったということで、その間、最大の情報源がテレビだったというのです。いわき市の一部が避難準備区域に入ったのを知ったのも、テレビのニュースだったというのです。原発事故に対する国の備えがいかにお粗末だったのか、これ一つとっても明らかです。

 国は川内原発を再稼働させましたが、こうしたお粗末な体制がどれだけ解消されているのか、疑問が残るところです。

 「震災から4年が過ぎて個々の課題を捉え直すことが大切です。ハード面の復興はやがてしぼんでくるが心の復興いわばソフト面での復興が増えている、人口減少や医師不足など現在顕著になっている問題は原発事故以前から抱えていたもので、課題を捉え直していくことが大切だ」と指摘した開沼氏。
チェルノブイリやスリーマイルなどの調査にでかけた経験から、福島県で行う健康調査という取り組みから健康診断の取り組みにかけ、健康に生きていく仕組みを作ることと、被災者とその受け入れ側の住民などの心のケアが大切だと訴えた渡辺弁護士。
復興に向けても圏内7つの生活圏としての展開と道路の整備が必要だと訴えた佐藤元知事。

 それぞれのお話はとても興味深いものでした。

 シンポの最後にまとめた鈴木副理事長のお話が、また印象深かった。
 大学時代に歴史を学んだ際に、先生は「歴史は何も教えてくれない。そこに学ぼうとしないものには」とおっしゃっていたというのです。

 わずか4年前の大事故を忘れたかのように、原発をベースロード電源としてとらえたエネルギー計画を作り、再稼働をすすめ、そして新設もすすめようとする。今の政府の指導者たちこそ、この先生の言葉をしっかりかみしめてほしいものです。


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