伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

安倍首相の小中高休校要請に思う

2020年02月28日 | 政治
 一昨日の代表質問の際に、新型コロナウイルスの問題にも触れて、政府の対応が後手に回っている印象があり、それに従っていると本市の対応も遅くなるので、先手の取り組みを進めることができるようにと要望した経緯がある。

 同じ日、安倍首相が全国的なイベントの中止を要請し、主催者がコンサートを中止するなどの対応が広がっていた。
 
 そこに今回のいきなりの学校休校だ。混乱が広がるのも無理はない。

 そもそもなぜ、全国の小中学校の休校なのだろうか。
 知る限りでは、いまだに流行のフェーズは国内発生の早期段階とされているはず。先だって厚労大臣の発言でも、感染が局所的に拡大するクラスターの段階で、クラスターが次のクラスターを生み出さないようにすることが大切という趣旨の発言をしていたと記憶している。とすれば人の移動を極力抑えることが大切で、全国的なイベントなどの中止等を要請するという措置は理解できる。

 しかし、子ども達の地域を超えた移動は基本的にないと思う。小中高校の休校と、流行のフェーズが重なってこないのだ。休校に意味があるとすれば、すでにウイルスが蔓延しているという想定しかないのだが、現実には発症者等しか検査していないので、蔓延しているなどと言えるはずはない。

 とすれば、今回の休校要請は、感染状況がどうなっているか分からないし、もしかしたら広まっているかも知れないので、いっそのこと休校にしちゃえという〝英断〟だったということになる。思い切った〝先手〟だ。

 この英断は、いくつかの問題点を感じる。

 一つは、全国を見れば感染者は増えているが、感染者が全く確認されていない地域もある。いわき市もそうだ。クラスターが次のクラスターを生み出さないためには、人の移動の制限、特に感染者が発生した地域から感染者のいない地域への人の移動を押さえる必要がある。いわき市は2月23日に予定されていたサンシャインマラソンを中止した。準備したみなさん、参加を楽しみにしていたランナーのみなさんには気の毒な話だが、新たなクラスタ誕生につなげないためには賢明な措置だったと思う。

 感染が発生している地域に子どもたちが出かける機会はまずない。感染するとすれば大人・・つまり親やご近所の方などが、感染源となる可能性が最も高い。休校することで蔓延を防ぐという考えがあるならば、まず、大人に行動を規制することを考えなければいけないのだ。感染が確認されない地域での休校は、蔓延を防ぐことにはならないとしか考えられない。何のための休校なのだ。

 子どもが休むことで、仕事に出かけられなく親も出てくるだろう。特に1人親家庭は大変だ。収入の保障をセットにしなければ、このような措置を執ることは出来ない。ところがそのような措置をとることになっていない。これからの検討だという・・そんなあほな。子どもたちは早晩休み始めるだよ・・。

 もう一つは、今度の措置があまりにも中途半端なことだ。
 放課後児童クラブは、朝から子どもをあずかるようにするという。保育所、幼稚園も開くという。感染を防ぐよう万全の策をとるというが、ならば、小中高と同じ措置をとればいいのではないか。蔓延の可能性がある場をつぶしてしまうべきだ。最も、その場合、社会的影響はさらに拡大することになるのだけれど。当然に、その措置で収入減など生活に困難を来す世帯の救済策を用意することが前提だけれど。


 唐突な安倍首相の「要請」を受けて、本市も3月4日から小中学校を休校にすることにした。春休みが明けるまでの長期休暇になる。千葉市では、市長が、保育を準備できない世帯の子どもたちは学校で預かる意向を示した。社会生活が崩壊するという危機感からだ。しごくもっともな措置だと思う。本市は、休暇以外の様々な対応はこれからの検討になるという。休校に入る3日までには取り得る措置は明確になるだろう。

 卒業式は、規模を縮小して実施する。来賓としての議員や市幹部の出席は見合わせるという。必要なことだろう。


 後手後手と批判される政府の対応。学校の休校要請で、先手をうったと胸を張るのかもしれない。しかし、政府内部に危機感があるとは思えない。当日キャンセルはできないと、首相補佐官が政治資金パーティーを開いたりしているのだ。お金を稼ぐべきパーティーなのに、中止することでキャンセル料を支払い損失を出すことはできないということだったのだろうか。まずは政府内部で危機感を共有することが必要なように思う。


※政府の対応がしっくり来ないのはなぜか。神戸大学医学研究科感染症内科教授の岩田健太郎さんがツイッターで、「国でも『もう蔓延しているんだから感染拡大はしょうがないよ』という立場と『しっかりと感染の拡大を防止して』という立場が混在し、同じビジョンを共有できていないように思う。」と指摘していた。2月14日時点のものだが、そこに原因があるのかもしれない。


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2 コメント

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学童保育とオリンピック (Unknown)
2020-03-01 13:09:16
今回の休校措置、学校が濃密接触が大きい場所だからという理由であるのなら、学童保育はもっと狭い空間で濃密接触が大きい場所なので、学童保育もお休みにして、それこそ生徒児童一人一人が自宅で過ごすようにしないと意味がないわけで。
でも小1の息子を持つ、共働き家庭の自分は、2人ともそうそう簡単に仕事を休むことができないので、休校で行き場がないなら学童保育にお願いするほか「テ」がないわけで。
それって、各所に混乱を招いている割に、「感染拡大の予防対策になってるの?」って思ってしまう。
いわきではまだ「感染者・発症者」が出ていないから、それでも少しはマシなのかもしれないが、首都圏なんか、この休校措置によって、逆に子どもの感染が増えやしないかと心配してしまう。

それともう1つ、オリンピックについて。
イタリアで感染者が1000人を超えたという報道があった。
今現在も世界中で感染が広がっているようだ。
こんな状況では、いくら日本が、今後迅速に日本国内で新型コロナの封じ込めに成功し、落ち着いてきたとしても、世界中からアスリート・観戦客が集まるオリンピックなど開催できるのだろうか。(というより、開催していいのだろうか。)
開催したとして、それにより、一度封じ込めに成功した日本が再び感染されないのか、という危惧は払しょくできないと思う。

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おっしゃる通り (伊藤浩之)
2020-03-01 15:37:52
おっしゃる通りです。

感染者のクラスタを封じ込める、あるいは次のクラスタを生み出さないという趣旨ならば、学童も、保育所・幼稚園も休む措置をとるべきだし、そのために必要な対応策を国として責任持って打ち出すべきです。

小中高の休校だけ先行して要請し、その対応策は後回しのやり方が、どれほど国民を混乱させることになるか。思いつきで国民を振り回すのはやめてくれ、という感じです。

台湾は、休校等の措置を対応策といっしょに打ち出して実施し、一斉休校という措置はすでに終了し、教職員と生徒に1人でも感染者が出たらクラス閉鎖、2人以上出たら学校閉鎖の対応に変更しているといいます。

感染が均等に広がっていない現実を踏まえれば、台湾の措置は、我が国も見習わなければならないのではないか、そんな風に思います。

台湾は、マスク等についても、買い占めや転売の禁止を打ち出して防いでいるようですね。

新型コロナウイルスが、温かくなったら流行が終わるのかどうか。ここがよく分からなくて、春以降のの対応を決定することは難しいかもしれません。気温が高い国でも発症しているのだから春以降だって、だめだろうという見方もあります。

他の国からの感染持ち込みを防ぐという意味でも、オリンピックに関しては、熟慮して開催の有無を判断する必要があると思います。感染拡大の原因を作る大会になったら困りますものね。
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