米国上空を飛行するバルーンはかなり高い高度で飛行しているらしく、画角を引いた画像ではごくごく小さく見える。実際のサイズはトラック3台分程度の巨大なものだという。
アップした画像をみると、白いバルーンの下に板状の黒っぽい装置をぶら下げていることが分かる。人工衛星が太陽光発電パネルを広げている姿を思い出す。太陽光発電パネルで電力を得ているのだろうか。小さなプロペラもついているという。
このバルーンを見てピンときた。2020年6月に福島県、宮城県上空をゆっくりと通過していった謎のバルーンによく似ているのだ。
当時の報道されたバルーンはこんな感じだ。
比べてみると非常によく似ている。たぶん同一の考えのもとに作られた物なのではないだろうか。この時の報道を見ると、バルーンは航空機が飛行する高度よりは低い高度を飛んでいたようだ。飛んでいる航空機が着陸態勢に入っていないとすれば、高度12km程度を飛んでいると思う。バルーンはそれよりは低い空に浮かんでいるということになる。
一方、報道等によると米国で発見されたバルーンは、民間航空機の飛行高度より高い空を飛んでいるという。偏西風の高度は12km程度というので、バルーンはこの風に乗って、西から東に流されるように飛行してきたのだろう。福島、宮城で確認されたバルーンも西から東へ移動した。こうみると、2年前の福島のバルーンと今回米国で発見されたバルーンは同じ物で同じところから流れてきたと考えていいのではないか。
そこで疑問が浮かぶ。福島、宮城のバルーンを謎のまま残したわが国と、いち早く「中国のものと確信」するとした米国、この情報発信の質の違いはどこから生まれるのだろう。
今回のバルーンはアメリカの防空識別圏に入った後にカナダを通過し米国上空に侵入、米国上空を北西から南東に向けて横断飛行した。この間、米国はF-22戦闘機による撃墜を検討したという。しかし、バルーンの位置は詳細に把握されていて軍事施設も含めて危険がなく、逆に落下すると地上に危険が及ぶ可能性があるため、撃墜せずに飛行を見守る対応をした。最終的には、米国東部サウスカロライナ州の沖合で空対空ミサイルで撃墜し、落下した残骸を回収しているという。
どうして米国は「中国のものと確信」することができたのだろう。いち早く存在を確認し、その出所を探ることが出来ていたのだろう。そう考えると、いち早く「中国のものと確信」したことも合点がいくし、アントニー・ブリンケン国務長官の中国・北京に向けた出発予定を急きょキャンセルしたことにも合点がいく。事実かどうかは分からないが、米国の情報収集能力の高さを感じざずにいられない。
一方、わが国ではどうだったのか。福島、宮城上空の謎のバルーンについて、警察も、自衛隊も、その出所は分からないとしていた。測候所の気象観測用バルーンの可能性は、測候所によって否定されている。結局、謎、謎、謎・・謎のまま残されているのだ。
その後、青森県で似たようなバルーンが見つかった際に、バルーン観測のイベントなどで飛ばされる小型バルーンに似ており、米国のイベントで大型のバルーン模型を作成したものが飛来したのではないかと伝えられている。しかし形がよく似ていることを考慮すると、福島、宮城のものは今回米国で問題になったバルーンと同一のものと考える方が素直な感じだ。
今回の米国に関する報道を聞いた時にまっさきに思ったのが情報収集能力の違いということだ。
日本上空で発生した事象であるにもかかわらず、これを把握できないわが国の情報収集力の限界。これで大丈夫なのかなとの思いが強まる。
北朝鮮のミサイル発射でも日本独自の情報収集力には限界があり、米国と韓国の情報を得た上で日本が把握した情報を加味して、発射地点や着弾地点などを判断していた。独自の情報だけでは判断することが出来ないようだ。
日本の防衛を考えた時に、攻撃をされる前にどのような情報を得られるかが重要な感じがする。事前に日本を攻撃するかもしれないという事象をつかむことができれば、その動きに対する防衛体制を国内にしっかり築き、攻撃があれば反撃するという断固とした姿勢を見せることが可能になるだろう。断固とした姿勢は相手国への抑止力になるだろうし、防衛体制の構築とあわせて外交力を発揮することで、わが国への攻撃の可能性という問題を解決していくことができるのではないだろうか。
ところが現状では、日本が独自に把握できる情報では、日本にどのような危険が及ぶのか及ばないのかを判断することが出来ない。今、国会で防衛費のあり方が審議をされている。予算委は、攻撃に対する反撃のため、敵基地を攻撃する能力を持つ巡航ミサイルを順次整備していく予算を計上している。たしかに、直接、兵員を上陸させて攻撃する前にミサイルを含む火器で攻撃をしかけるという戦術はあるのだろう。
しかし、相手が攻撃を仕掛けるとするならば、そこに至る相手側の何らかの兆候があるだろう。その兆候の段階で問題を解決できるならそれにこしたことはない。その鍵を握るのは、情報収集とその分析力ということができそうな気がする。
もっとも、当時、防衛省が出所の情報をつかんでいたということもありうる。ただ外交上の配慮から国民には隠した。そんなこともあるかもしれない。そんなことがあったとすれば、国民の安全確保の上から問題がある対応と考えざるをえない。
まあ、それはともかく、今回、米国はバルーンを偵察用だとして、最終的には撃墜した。中国は、バルーンが中国からのものであることを認めながら、これが民生用の観測バルーンだと主張し、そのバルーンに軍事力で対応したアメリカを非難しているようだ。
もし中国の主張通りだとするなら、バルーンが行方不明になった段階でバルーンの到達の可能性を各国に通知しなかったのだろうと疑問が湧く。謎のバルーンが上空に現われれば、出現した国で問題になることは自明。そこで発生が洋装される国際問題を回避しようとするならば、到達の可能性の事前通告が最善の策となるだろう。中国の対応には疑問が残る。
さて、このバルーンがどんな役割を持っていたかは、米国の回収作業と回収した機材の分析を通じて明らかになるだろう。福島、宮城の謎のバルーンの役割もそのことで明らかになるだろう。あの謎の実際をやっと知ることができそうだ。その時を待ちたいと思う。
アップした画像をみると、白いバルーンの下に板状の黒っぽい装置をぶら下げていることが分かる。人工衛星が太陽光発電パネルを広げている姿を思い出す。太陽光発電パネルで電力を得ているのだろうか。小さなプロペラもついているという。
最初と2番目の写真はFNN「Newsイット」の放送画面
このバルーンを見てピンときた。2020年6月に福島県、宮城県上空をゆっくりと通過していった謎のバルーンによく似ているのだ。
当時の報道されたバルーンはこんな感じだ。
ユーチューブKHB・NEWS (https://www.youtube.com/watch?v=jtXjBg6q0M8)の放送画像
TUF/cnannel の配信画像
比べてみると非常によく似ている。たぶん同一の考えのもとに作られた物なのではないだろうか。この時の報道を見ると、バルーンは航空機が飛行する高度よりは低い高度を飛んでいたようだ。飛んでいる航空機が着陸態勢に入っていないとすれば、高度12km程度を飛んでいると思う。バルーンはそれよりは低い空に浮かんでいるということになる。
一方、報道等によると米国で発見されたバルーンは、民間航空機の飛行高度より高い空を飛んでいるという。偏西風の高度は12km程度というので、バルーンはこの風に乗って、西から東に流されるように飛行してきたのだろう。福島、宮城で確認されたバルーンも西から東へ移動した。こうみると、2年前の福島のバルーンと今回米国で発見されたバルーンは同じ物で同じところから流れてきたと考えていいのではないか。
そこで疑問が浮かぶ。福島、宮城のバルーンを謎のまま残したわが国と、いち早く「中国のものと確信」するとした米国、この情報発信の質の違いはどこから生まれるのだろう。
今回のバルーンはアメリカの防空識別圏に入った後にカナダを通過し米国上空に侵入、米国上空を北西から南東に向けて横断飛行した。この間、米国はF-22戦闘機による撃墜を検討したという。しかし、バルーンの位置は詳細に把握されていて軍事施設も含めて危険がなく、逆に落下すると地上に危険が及ぶ可能性があるため、撃墜せずに飛行を見守る対応をした。最終的には、米国東部サウスカロライナ州の沖合で空対空ミサイルで撃墜し、落下した残骸を回収しているという。
どうして米国は「中国のものと確信」することができたのだろう。いち早く存在を確認し、その出所を探ることが出来ていたのだろう。そう考えると、いち早く「中国のものと確信」したことも合点がいくし、アントニー・ブリンケン国務長官の中国・北京に向けた出発予定を急きょキャンセルしたことにも合点がいく。事実かどうかは分からないが、米国の情報収集能力の高さを感じざずにいられない。
一方、わが国ではどうだったのか。福島、宮城上空の謎のバルーンについて、警察も、自衛隊も、その出所は分からないとしていた。測候所の気象観測用バルーンの可能性は、測候所によって否定されている。結局、謎、謎、謎・・謎のまま残されているのだ。
その後、青森県で似たようなバルーンが見つかった際に、バルーン観測のイベントなどで飛ばされる小型バルーンに似ており、米国のイベントで大型のバルーン模型を作成したものが飛来したのではないかと伝えられている。しかし形がよく似ていることを考慮すると、福島、宮城のものは今回米国で問題になったバルーンと同一のものと考える方が素直な感じだ。
今回の米国に関する報道を聞いた時にまっさきに思ったのが情報収集能力の違いということだ。
日本上空で発生した事象であるにもかかわらず、これを把握できないわが国の情報収集力の限界。これで大丈夫なのかなとの思いが強まる。
北朝鮮のミサイル発射でも日本独自の情報収集力には限界があり、米国と韓国の情報を得た上で日本が把握した情報を加味して、発射地点や着弾地点などを判断していた。独自の情報だけでは判断することが出来ないようだ。
日本の防衛を考えた時に、攻撃をされる前にどのような情報を得られるかが重要な感じがする。事前に日本を攻撃するかもしれないという事象をつかむことができれば、その動きに対する防衛体制を国内にしっかり築き、攻撃があれば反撃するという断固とした姿勢を見せることが可能になるだろう。断固とした姿勢は相手国への抑止力になるだろうし、防衛体制の構築とあわせて外交力を発揮することで、わが国への攻撃の可能性という問題を解決していくことができるのではないだろうか。
ところが現状では、日本が独自に把握できる情報では、日本にどのような危険が及ぶのか及ばないのかを判断することが出来ない。今、国会で防衛費のあり方が審議をされている。予算委は、攻撃に対する反撃のため、敵基地を攻撃する能力を持つ巡航ミサイルを順次整備していく予算を計上している。たしかに、直接、兵員を上陸させて攻撃する前にミサイルを含む火器で攻撃をしかけるという戦術はあるのだろう。
しかし、相手が攻撃を仕掛けるとするならば、そこに至る相手側の何らかの兆候があるだろう。その兆候の段階で問題を解決できるならそれにこしたことはない。その鍵を握るのは、情報収集とその分析力ということができそうな気がする。
もっとも、当時、防衛省が出所の情報をつかんでいたということもありうる。ただ外交上の配慮から国民には隠した。そんなこともあるかもしれない。そんなことがあったとすれば、国民の安全確保の上から問題がある対応と考えざるをえない。
まあ、それはともかく、今回、米国はバルーンを偵察用だとして、最終的には撃墜した。中国は、バルーンが中国からのものであることを認めながら、これが民生用の観測バルーンだと主張し、そのバルーンに軍事力で対応したアメリカを非難しているようだ。
もし中国の主張通りだとするなら、バルーンが行方不明になった段階でバルーンの到達の可能性を各国に通知しなかったのだろうと疑問が湧く。謎のバルーンが上空に現われれば、出現した国で問題になることは自明。そこで発生が洋装される国際問題を回避しようとするならば、到達の可能性の事前通告が最善の策となるだろう。中国の対応には疑問が残る。
さて、このバルーンがどんな役割を持っていたかは、米国の回収作業と回収した機材の分析を通じて明らかになるだろう。福島、宮城の謎のバルーンの役割もそのことで明らかになるだろう。あの謎の実際をやっと知ることができそうだ。その時を待ちたいと思う。
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