伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

この現実を知れば他人事に思えないプーチンのウクライナ侵略

2022年03月24日 | 平和・戦争
 プーチン大統領が、ウクライナ侵略を始めた先月、私は本ブログでプーチン・ロシアが侵略をやめ、撤退すべきという考えを記載した。ウクライナがNATO加盟をすればロシアが脅かされるなどとした、プーチン大統領の言い分は理由にならないと考えたからだ。

 軍事同盟に対する評価を別として、ウクライナがどのように国の安全を守る選択をするかは、同国自身の問題だ。他国がとやかく口出しするような問題ではない。また、ウクライナからネオナチ勢力を一掃するなどとも言っていたが、これさえも同国の国民自身が問題を解決するべき問題だ。

 ここに来て、ウクライナ国民に犠牲が拡大していることなどから、犠牲を重ねないためにウクライナがロシアの要求をのんで戦闘をとめるべきなどという論を聞いたりした。しかし、こうした論には違和感しか覚えなかった。

 ロシアとウクライナという他国のことだけに、両国の関係や背景にあるものなど分からない事だらけだった。そんなことからこの間、手に入る関係論文などをいくつか読んでみた。若干のことは理解できたように思う。

 ロシアとウクライナの関係には、歴史的に見れば支配されたり独立した様々な経過があるようだが、今回の問題に直接的に関わるのは2014年に遡る。ロシアがクリミア半島に侵攻して一方的に編入し、また、ウクライナ東部の親ロシア派が独立を一方的に宣言し、「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」を名乗った。この東部2地域の親ロシア派とウクライナの和平を図るために、ロシアとウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国首脳が15年2月にベラルーシの首都ミンスクで合意文書をを交わしたが、この合意をウクライナが実行しないと難癖をつけたロシアは、両「共和国」の独立を独自に承認し、平和維持の名目で侵略を始めたわけだ。

 ロシアがクリミア半島を併合したのは、ここにロシア黒海艦隊の主要基地となる海軍基地があったからと考えるのが妥当だろう。西側嗜好が強くなったウクライナで、同地をロシアが安定的に使用できなくなるかもしれないという危機感が、クリミア侵攻の動機になったと考えると、その行動が理解できる。今回の侵略も、同様の思惑があると考える。ロシアと西側諸国が直接対峙することがないよう、ウクライナを緩衝帯として確保するために親ロシアの国としたいという思惑があったのではないだろうか。

 ウクライナのネオナチで、ネオナチとは何だろう。ネオナチに支配される国なのだろうか。しかし、実際にはそうではないようだ。ウクライナにもネオナチ勢力は存在するようだ。先の親ロシア派との対立の場面でも、親ロシア派の反発に一定の根拠を与える役割を同国のネオナチが果たしたようだ。また、いまウクライナ軍の中核的な部隊ともいわれる「アゾフ連隊」の創立にも、ネオナチが関わったようだ。

 同連隊はおともとウクライナのサッカーチームのサポーター団体で、やがて民兵となり、それが国軍に組み込まれたという。日本では考えられないのだが、まあ、コサック(軍事的共同体)の伝統がある国だからこういうこともあるのだろうけれど・・それはともかく、この連隊のはじめの指導者・幹部は極右的思想を持った人物だったという。現在の連隊幹部は軍出身者だというが、こうした経過から、同連隊はネオナチとあわせて語られることが多いようだ。

 ただ言えることは、NATOの加盟問題にしろ、ネオナチ勢力への対応にしろ、これらの問題はウクライナ国内の問題、ウクライナ人々がどう決め判断するかという問題だ。他国がこれに口を出し、自分に有利な展開を図ろうとしたり、力で従わせようという対応をすることが許されるはずがない。

 ロシアはかつても、ウクライナの国内問題に圧力をかけ、同国の安寧を脅かしてきた経過があった。2013年に親ロ派とされるヤヌーコヴィッチ政権が、仮調印を済ましたEUの政治・貿易協定の調印を見送った背景にもロシアの圧力があったとされる。調印を求める反政府デモが勃発し、対向した政権側の民警が攻撃するなど騒乱状態になり、ヤヌーコヴィッチ大統領は、政権を投げ出しロシアに亡命し、その庇護を受けているとされる。今回は、軍事侵攻による侵略行為による介入で、過去と同様の圧力を繰り返したということになる。

 こうしたプーチン・ロシアにウクライナの人々が抵抗するのは当たり前のこと。ウクライナの人々は、ロシアの侵略を是としその支配のもとでのくらしを望まないという意思を、徹底した抗戦の中で示していると考えれば、こうした人々を支えることこそ必要なように思う。

 最近、ロシア兵の士気が低いと伝えられる。先だっても、ウクライナの捕虜になったロシア兵が「ここにはファシストもネオナチも居なかった」と、プーチン大統領に抗議していたことが報道された。





 捕虜の扱いとして問題があるとする指摘もあるようだが、少なくとも、彼らが戦った相手は、ウクライナを愛し守りたいと考えるごく普通の愛国者にすぎず、派兵の説明には大きな誤り、あるいはウソがあったと言うことを伝えているように思う。

 また、ロシア国営放送では、同局のディレクターが放送に入り込み、戦争反対とロシアのプロパガンダにだまされるなとプラカードを掲げアピールする事態もおこった。わずか5秒程度の放送であったが、その勇気ある行動には賞賛を贈りたい。



 この行為自身がロシアのプロパガンダではないかといぶかしむ声もあるようだが、ウクライナとロシア両方にルーツがある彼女にとって、国内をウソで塗り固めて進められるウクライナ侵略を、黙って見過ごすことができなかったのではないか。彼女は、当局に拘束後、放送そのものではなくSNSの投稿に関して3万ルーブルの罰金刑を課せられ釈放されたが、身の危険を懸念しながらも、愛国者にロシアに止まり、軍に関する虚偽の言動に関する法律での訴追に備え、準備をすすめていると伝えられている。





 彼女が訴追されることなく、安全にロシア国内で生活できるよう望みたい。

 ウクライナでおきていることは、単純に他国のことと言えない。
 今月中旬、ロシアのオホーツク海での軍事演習が活発になり、津軽海峡の公海を、ロシアの軍艦6隻が通過する事態があった。

 公海をどの船が航海しようが自由だろうと言われればその通りだ。しかし、先だって、中ロの共同訓練で、両国の艦船が艦隊を組み、津軽海峡を通過しわが国をほぼ1周する訓練をしたことに見られるように、これらの訓練が日本に対する軍事的・政治的圧力であることは間違いない。中国とは尖閣諸島で、ロシアとは千島列島で、領土問題を抱えているからだ。



 今回のロシアの軍事訓練も、この圧力を引き継いだものに違いない。それだけに、軍事力で国境線を事実上変えてしまおうというロシアのウクライナ侵略を決して許してはならないと考える。
 自宅には、引き続き、手製ポスターを掲示して、せめてもの意思表示にしたいと考えている。



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