伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

楮芽かき作業など大学生がボランティア活動で体験

2022年09月06日 | 遠野町・地域
 東北大学の学生の作業には、地域おこし協力隊と遠野和紙・楮保存会、いわき市遠野支所の職員が同行した。

 作業は楮の芽かき。保存会が管理する遠野町大平の楮畑で、脇芽を摘み取る作業だ。


 和紙の原料に使う楮は、1年物の枝を使う。2年物以上の枝は、繊維が固くなり、良質の材料がとれなくなるようだ。
 楮は根さえ健在ならば、いくらでも新芽を伸ばすの。このため、枝の収穫時には伸びた枝は根元でざっくりと切り取ってしまう。刈り取り後の楮畑には、楮の株だけが残り、翌春、この株から新芽が何本も伸びてくるのだ。

 楮の新芽が成長してきたら、成育の良い物を残して、残りの枝は刈り取ってしまう。養分を集中し、できるだけ太く、皮の厚い枝を育てるためだ。最終的には1株から3本程度の枝を残し、後の枝は刈り取ってしまう。また、枝には互生(左右互い違いの葉の付き方。これに対し対生は左右が並んで葉をつける)で葉がつくが、枝と葉の芯(葉柄)の分岐点に新芽が伸びてくる。新たな枝を伸ばそうというわけだ。

 これを放置すると節ができてしまい、後の材料づくりの作業を難しくしてしまう。皮の品質も落ちるし、養分を摂られて無駄が生じることになる。そこで、この新芽が出てきたら摘み取るようにして、最初の枝を育てていくようにする。今日、体験してもらった芽かき作業は、良質の和紙の材料を作るためにとても大切な作業になる。

 学生たちに聞くことはなかったが、初めてする作業だったろうが、脚立で高い場所の芽かきもするなど、たくみに作業を進めてくれた。

 芽かきの体験後は、和紙工房「学舎」に移動して、和紙の材料を作る最終盤の工程となる、ちり取りと打解の作業を体験してもらった。



 学生ボランティアは、地域おこし協力隊員から楮の育成から和紙の製造にいたる工程の説明を受けた後、用意された楮の白皮からちりや汚れを取るちり取りと続く工程の打解を体験為てもらった。

 和紙の材料となる楮の白皮は、乾燥させて保存し、和紙を漉く際に必要な分量をソーダ灰を添加して煮て、皮の汚れを落とすとともに柔らかくする。この白皮に残ったちりや汚れを、水の中で除去するのがちり取りで、ちり取りを終えきれいになった皮の繊維をほぐす作業が打解だ。

 かつてのちり取りは、川など流水を使い行われていた。現在、学舎での作業は、容器に水を貯め、水の中で白皮を広げて行う。打解は、石版の上にちり取りを終えた白皮を乗せ、木槌等で叩いて厚みのある皮を薄く引き延ばし、最終的には繊維にしていく作業となる。白皮を丹念に繊維にしていくためには、一定の時間がかかる。この2つの作業とも、手がかかるがとても地味な作業だ。学生ボランティアたちは、たんたんと作業をこなしてくれた。

 日程は午前中だったので、だいたい、ここまでの作業で日程を終了したが、和紙作りの一部の作業の体験に、どのような乾燥をもったのだろうか。興味を持ってくれれば幸いだ。ちなみに、いまの季節、天然の材料を使った和紙漉きは困難だ。楮の繊維を水の中で攪拌させる役割を担うトロロアオイから抽出するネリと呼ばれる糊状の物質が、温度が高いと分解してしまい、その役割を果たすことができなくなるからだ。従って、和紙漉きは気温が下がった季節の作業となる。

 次の機会があるなら、和紙漉きも含めて体験為てもらえるなら良いのだが。

 しかし・・、芽かきの時間は、少し草刈りなどをしていたが、今日も暑かったな・・。ちょっとした草刈りで汗だくになってしまった。
 残暑は続く。


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