市議会の文教経済常任委員会の視察で、京都にきました。「京都まなびの街 生き方探究館」の運営について学ぶためです。ちょうどいわき市が、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本の協力のもと、「青少年向け体験型経済教育プログラム」として「スチューデント・シティ」と「ファイナンス・パーク」を入れる施設を、カタールフレンド基金の採択をうけて建設しようとする時でタイムリーな視察。先週土曜日(19日)には、いわき市教育委員会が同社団法人から専務理事を招いて事業の狙い等について説明会を開いたばかりでした。
スチューデント・シティーは、小学5年生を対象に事前学習8時間、体験学習6時間、事後学習1時間、合計15時間で、仕事と消費者の疑似体験を通じて「社会と個人の関わり」を学ぶ。実際の会社・商店などにブースを提供し、擬似的な商店街を形成し、その会社等で働き、労働時間外は消費者としてその会社等から商品購入やサービスの提供を受け消費活動をすることで、「買い手から見た売り手」あるいは「売り手からみた買い手」の役割を習得し、これらの体験を通じて「人は仕事を通じてお互いに助けあって生きている」という共存者の基本を学び、責任ある市民の自覚と責任を促す――とされています。
ファイナンス・パークは、中学2年生を対象の、事前8時間、体験6時間、事後1時間、合計15時間で「生きることや生活設計」を学ぶ体験型経済教育プログラム、とされています。
それぞれの生徒に与えられた家族構成と年収から、家賃・食費・被服費・娯楽費・交通費・投資・預金などの支出に関する「選択と意思決定」を行い、「豊かに生きていく」ための知識や知恵を習得する――などと説明されています。いずれも、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本の「青少年向け体験型経済教育プログラム」の提供を受けて実施されます。
視察した京都「生き方探究館」のシティーでは、4つの小学校の子どもたちが合同で体験学習をしていました。
仮店舗では、3班に分かれた子ども達が、1班が消費者、2班が会社員・店員を担って、20分毎に交代しながら1時間活動します。
中に何人か大人が混じっています。この大人は子ども達の活動を援助する市民、保護者や企業から派遣されたボランティア。また通路で子ども達の活動を見守っている大人は、引率する教員でした。
1時間でひと通りの体験を終えると、例えばお店では店長役の子どもが売上を発表し、反省と次の目標を定めるなどの会議を行い、次の1時間の活動に移り体験を積み重ねます。
さて、この活動をどう考えるのか。単純に商品の売り買いではなく、「売ったことで役だったことがうれしい」「ありがとうと言われてうれしい」など「コミュニケーション能力」や「伝えるためのプレゼンテーション能力」にもとつながることになると説明されました。ただここでの体験が、将来の職業に直接つながっていくのはむずかしいとも説明しました。当然と言えば当然ですが…。
次に運営上のいくつかの疑問への回答。一つは、予算等の関連です。
京都府では小学校は100%がシティーを利用し、中学校では約60%がパークを利用しているといいます。児童・生徒が施設に来るための借り上げバス等交通費は市側が負担をします。
またボランティアには企業ボランティア、市民ボランティア、保護者ボランティアの3種類あり、現在ボランティアの登録は230人程。半分の方は年に1回程度の参加といいます。ボランティアに参加した方には、市営バスあるいは市営地下鉄の1000円分のチケットを配布し交通費補償しているといいます。担当の話では、視察した他の自治体では、負担のあり方がネックになって、導入を決断できない例があるといいます。この費用負担の関係はどうなるのかが、一つの検討課題になってくるでしょう。
二つ目に、学校のカリキュラムや年間の行事スケジュール等への影響です。
京都の場合、事前学習10時間、体験学習6時間、事後学習2時間、合計18時間(スチューデント・シティーの場合)を、この体験学習に使うことになります。その多くは総合学習の時間を当てており、一部には社会等の時間も使われることもあるようです。
当初はこれらのキャリア教育に対する理解がない中、とにかく事業を立ち上げ、実践を通じて大切さを広げようと始まったようですが、現在では定着しています。
そして「これまでを第一ステージと考えれば、次の第二ステージで生徒や地域の実情に応じて学校ごとのキャリア教育を考え、その実践の上にシティーとパークでの体験を考えるようにしていくことが大切だと思う」と担当者は話しています。ただ、5年生は諸行事も多くて大変という保護者の声を、別の機会に聞いています。
このシティーとパークを活用して、どうキャリア教育を発展させていくかでは温度差があると言います。例えば5年生でシティーのカリキュラムを行うために、3年生、4年生でどんな準備をするのかも大切な視点になると説明しています。
さていわき市にとっての課題をどう考えるかです。
一つは、この事業を導入するにあたって、どれだけの予算をとるのかが問題になるように思います。しかも、このための予算が、他の教育予算を圧迫するようなことがあってはならないのは当然でしょう。
二つ目に、ボランティアに対する処遇です。何でもかんでもボランテイア負担となったら長続きしない。そのボランテイアにどうむくいるのかが課題です。京都では交通費の支給がボランティアへのむくいとなっています。
三つ目に、学校のカリキュラム等との整合をどうとっていくのかです。学校・教員などとの幅広い合意の形成に努力することが必要でしょう。
さて最後の問題はこうした教育が必要かどうか、という根本に関わる問題です。この点は様々な文献に当たって、またご意見も聴きながら、さらに深めていきたいと思います。とりあえず、視察での見聞を中心に報告です。
スチューデント・シティーは、小学5年生を対象に事前学習8時間、体験学習6時間、事後学習1時間、合計15時間で、仕事と消費者の疑似体験を通じて「社会と個人の関わり」を学ぶ。実際の会社・商店などにブースを提供し、擬似的な商店街を形成し、その会社等で働き、労働時間外は消費者としてその会社等から商品購入やサービスの提供を受け消費活動をすることで、「買い手から見た売り手」あるいは「売り手からみた買い手」の役割を習得し、これらの体験を通じて「人は仕事を通じてお互いに助けあって生きている」という共存者の基本を学び、責任ある市民の自覚と責任を促す――とされています。
ファイナンス・パークは、中学2年生を対象の、事前8時間、体験6時間、事後1時間、合計15時間で「生きることや生活設計」を学ぶ体験型経済教育プログラム、とされています。
それぞれの生徒に与えられた家族構成と年収から、家賃・食費・被服費・娯楽費・交通費・投資・預金などの支出に関する「選択と意思決定」を行い、「豊かに生きていく」ための知識や知恵を習得する――などと説明されています。いずれも、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本の「青少年向け体験型経済教育プログラム」の提供を受けて実施されます。
視察した京都「生き方探究館」のシティーでは、4つの小学校の子どもたちが合同で体験学習をしていました。
仮店舗では、3班に分かれた子ども達が、1班が消費者、2班が会社員・店員を担って、20分毎に交代しながら1時間活動します。
中に何人か大人が混じっています。この大人は子ども達の活動を援助する市民、保護者や企業から派遣されたボランティア。また通路で子ども達の活動を見守っている大人は、引率する教員でした。
1時間でひと通りの体験を終えると、例えばお店では店長役の子どもが売上を発表し、反省と次の目標を定めるなどの会議を行い、次の1時間の活動に移り体験を積み重ねます。
さて、この活動をどう考えるのか。単純に商品の売り買いではなく、「売ったことで役だったことがうれしい」「ありがとうと言われてうれしい」など「コミュニケーション能力」や「伝えるためのプレゼンテーション能力」にもとつながることになると説明されました。ただここでの体験が、将来の職業に直接つながっていくのはむずかしいとも説明しました。当然と言えば当然ですが…。
次に運営上のいくつかの疑問への回答。一つは、予算等の関連です。
京都府では小学校は100%がシティーを利用し、中学校では約60%がパークを利用しているといいます。児童・生徒が施設に来るための借り上げバス等交通費は市側が負担をします。
またボランティアには企業ボランティア、市民ボランティア、保護者ボランティアの3種類あり、現在ボランティアの登録は230人程。半分の方は年に1回程度の参加といいます。ボランティアに参加した方には、市営バスあるいは市営地下鉄の1000円分のチケットを配布し交通費補償しているといいます。担当の話では、視察した他の自治体では、負担のあり方がネックになって、導入を決断できない例があるといいます。この費用負担の関係はどうなるのかが、一つの検討課題になってくるでしょう。
二つ目に、学校のカリキュラムや年間の行事スケジュール等への影響です。
京都の場合、事前学習10時間、体験学習6時間、事後学習2時間、合計18時間(スチューデント・シティーの場合)を、この体験学習に使うことになります。その多くは総合学習の時間を当てており、一部には社会等の時間も使われることもあるようです。
当初はこれらのキャリア教育に対する理解がない中、とにかく事業を立ち上げ、実践を通じて大切さを広げようと始まったようですが、現在では定着しています。
そして「これまでを第一ステージと考えれば、次の第二ステージで生徒や地域の実情に応じて学校ごとのキャリア教育を考え、その実践の上にシティーとパークでの体験を考えるようにしていくことが大切だと思う」と担当者は話しています。ただ、5年生は諸行事も多くて大変という保護者の声を、別の機会に聞いています。
このシティーとパークを活用して、どうキャリア教育を発展させていくかでは温度差があると言います。例えば5年生でシティーのカリキュラムを行うために、3年生、4年生でどんな準備をするのかも大切な視点になると説明しています。
さていわき市にとっての課題をどう考えるかです。
一つは、この事業を導入するにあたって、どれだけの予算をとるのかが問題になるように思います。しかも、このための予算が、他の教育予算を圧迫するようなことがあってはならないのは当然でしょう。
二つ目に、ボランティアに対する処遇です。何でもかんでもボランテイア負担となったら長続きしない。そのボランテイアにどうむくいるのかが課題です。京都では交通費の支給がボランティアへのむくいとなっています。
三つ目に、学校のカリキュラム等との整合をどうとっていくのかです。学校・教員などとの幅広い合意の形成に努力することが必要でしょう。
さて最後の問題はこうした教育が必要かどうか、という根本に関わる問題です。この点は様々な文献に当たって、またご意見も聴きながら、さらに深めていきたいと思います。とりあえず、視察での見聞を中心に報告です。
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