《2017年6月30日》
台湾に引き続いて、隣国韓国も原発のない未来に向けて動き出した。6月19日、韓国の新しい文在寅大統領が、原子力発電を重視した従来のエネルギー政策を破棄して脱原発を進めると宣言し「新規の原発建設計画は全面的に白紙化する」と表明したのである(文在寅は、ムンジェインと読むらしい。覚えておこう)。
もともと、文大統領は脱原発依存を掲げて5月の大統領選挙を勝ち取った。脱原発が大統領選挙の主要な争点ではなかったかもしれないが、そのような大統領を韓国国民は選んだのである。
脱原発の表明は、韓国で一番古い古里原発1号機の「永久停止宣言式」でなされた。韓国で操業する原発は24基となったが総発電量に占める割合は30%とまだまだ高い。しかし、脱原発を宣言することで新しいエネルギー源の開発が著しく促進されるのは、ヨーロッパ各国の例を見るまでもなく明らかである。
文大統領が「福島の事故が、原発が安全でも安くもないことを明白に示している」と語ったと東京新聞の6月24日付けの社説に書かれていた。それに続く社説の言葉は次のようなものだった。
台湾でも一足早く、福島の教訓に従って、新政権が脱原発にスイッチを切り替えた。未来を見通す政治家ならば、福島の教訓→生命最優先→脱原発依存→再生エネへの転換という大きな流れに乗る方が、むしろ自然なのではないか。
ところが福島のあるこの国が、教訓を生かせず、流れに乗りきれず、次に原子力規制委員になる人が「寿命延長」を公然と支持するような逆行をほのめかすのは、なぜだろう。隣国の変化を見守りながら、よく考えてみたいと思う。
どんな政治家を私たちが選ぶかで私たちの未来は左右されてしまう。少なくとも、こと原発に関する限り、私たち日本の国民が選んだ政治家たちは、未来を見通す能力に欠けているのは間違いない。
《2017年7月7日》
2017年7月7日に国連で「核兵器禁止条約」が採決された。核兵器を持つことばかりではなく、核兵器をもって他国に脅威を与えることも禁止する画期的なものである。核兵器を保有する「先進的」軍事国家は参加しなかったし、唯一の被爆国たる日本もアメリカに従属するために参加しないものの、122の国と地域の圧倒的多数の賛成で条約は採択された。
美しいか醜いか訳の分からない日本の政治家の言葉はさておいて、条約の一部を抜き書きしておく(7月8日付の毎日新聞から)。
第4条(核兵器の全廃に向けて)
一、2017年7月7日以降に核兵器もしくは核爆発装置を所有、保有、管理し、また本条約の発効前に全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め核兵器計画を廃棄した締約国は、核兵器計画が後戻りしない形で廃棄されたことを検証する目的のため、第4条の六項で指定する法的権限のある国際機関と協力。その機関は締約諸国に報告。そうした締約国は申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始。協定はその締約国の本条約発効から18カ月以内に発効。それゆえ各締約国は将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。
二、第1条(a)にもかかわらず、核兵器やその他の核爆発装置を所有、保有、管理する締約国は、それらを直ちに核兵器システムの稼働状態から取り外し、破壊する。これは、全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め、検証可能かつ後戻りしない形での核兵器計画廃棄のため、法的拘束力があり時間を区切った計画に沿ってできるだけ速やかに、ただ締約諸国の最初の会議で決めた締め切りより遅れてはいけない。その締約国は本条約がその国で発効してから60日以内に、本計画を締約諸国や締約諸国が指定した法的権限のある国際機関に提出。本計画は法的権限のある国際機関と協議される。国際機関は手続き規則に従って承認を得るため、その後の締約国会議か再検討会議かいずれか早い方に本計画を提出。
三、上記二項に当てはまる締約国は、申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉は二項で言及した本計画の履行が完了する日までに開始。協定は交渉開始から18カ月以内に発効。それゆえ締約国は最低限、将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。三項で言及された協定の発効後、その締約国は国連事務総長に第4条での義務を遂行したとの申告を提出。
四、第1条(b)(g)にもかかわらず、領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置がある締約国は、それら兵器についてできるだけ速やかに、ただ締約国の最初の会議で決めた締め切りより遅れることなく、迅速な撤去を確実にする。そうした兵器と爆発装置の撤去に関し、締約国は国連事務総長に第4条の義務を遂行したとの申告を提出。
五、第4条が当てはまる締約国は、第4条での義務履行を遂行するまで、締約国会議と再検討会議に進展状況の報告書を提出。
六、締約諸国は核兵器計画の後戻りしない形での廃棄のための交渉と検証のため、法的権限のある国際機関を指定。検証には第4条の一項、二項、三項に従って、全ての核兵器関連施設の廃棄や後戻りしない形での転換を含む。第4条の一項、二項が当てはまる締約国に対する本条約の発効前に上記の指定が済んでいない場合、国連事務総長は必要な決定のため締約国の特別な会議を開催。
これから私たちのやることは決まっている。被爆国の国民として、戦争準備を進める安倍政権から平和を希求する政権へと替え、そのうえで、私たちの日本を誇りある「核兵禁止条約」加盟国とするのである。どう考えても、その答えしかない。安倍首相ふうに言えば、「その道しかない」のである。