本日いただいてきた山の恵み。
高品質ワラビです(後ろの割り箸と比べてみて)
シオデとオオナルコユリちょっとだけ
こちらの二つは、『女王』と呼ばれる気品と、甘い味わいを備えた山菜。かなり太いんだけど、相応に茹でれば美味しく戴くことが出来ます(今回は5分間茹でて美味しく戴きました)。
問題は、ワラビの方。
これまで、いろいろな山菜を紹介してきましたけど、このお方も『王様』の一つと言って間違いないでしょう。だって、美味しいんだもの。
しかしですね、こちらの料理も奥が深いんですよ。実際、マタギは、ここ数年、かなり苦戦を強いられています。その一番が、≪アク抜き≫。
そんなの簡単じゃんと、思うかもしれないけど、この『ワラビの花園』から採るようになってから、苦戦続きなんですよ。
具体的に言うと、
1,他の地区のワラビと同じ割合で重曹を入れると、アクが抜けずに苦みが残る
2,苦みを消したくて重曹を多くすると、ワラビが崩れて溶けてしまう
3,それならと、重曹を少なめにして加熱時間を少し長くしてみても、苦みは抜けず本体は溶けてしまう
どうしたらいいんじゃ!
という状況が続いているんです。
まあ、一言で言えば、暗中模索中なんですね。この現実、見方を変えれば、せっかくのお宝なのに、上手に調理し切れない、豚に真珠状態ということもできます。
この暗中さんと豚さん状態から脱出したいわけなんですよ。
で、今回は、
・ワラビを熱湯に入れた後、高温になるための再沸騰には、あまりこだわらないこと
・代わりに、そもそものお湯の量をたっぷりにして、冷めるのを遅らせること
・重曹は、ワラビ2kgに対して大さじ1と多めにしてみること
この3つを決めて調理してみることにしてみます。
・たっぷりのお湯にワラビを浸して重曹を回しかけたら、裏返して
・裏返したら、完全に再沸騰する前に蓋をしてベンチタイムに入ることにしました
翌朝、蓋を開けてみると、これまでになく真っ黒な煮汁。これは、たっぷりのアクが出た証拠だと思います。
2回ほど水を替えてみたけど
崩れてきません。
ちょっと試食用に、
普通のおひたしと
一本漬けに
試食してみると、美味しいじゃないの!
ここが、すごく難しかったんだけど、改めて振り返ってみると、次のようにまとまりそうです。
ワラビが極めて太いものだからアク抜きのためには、重曹を多めにする。
一方で、すごく柔らかいものだから、ワラビを入れたらグツグツ煮立てない。
更に、アク抜きのために十分な時間をかけて温度が下がるのを待つためには、お湯の量も多くすること。
この辺が、今回のアク抜きで学んだ点です。
もう一つの学習。
≪ワラビの一本漬け≫は、出汁醤油の味や南蛮の辛味を染み込ませて食べる料理だから、こういう太いワラビ(水分が多い)の場合、もしかしたら濃い目のつゆが合うのかもと考えて、出汁醤油を薄めずに原液のまま使ってみたんです。
そして夕方、仕事から帰ると、一本漬けがほとんど残っていません。どうしたのか聞いたら、
「だって、美味しかったんだもの。」
だそうです。
これは、大成功ですね。夕食の分を追加で作りましょう!
第2弾です
南蛮粉を多めにしてみましたが、美味しかったです。ただ、水にさらしておいたワラビをそのまま使ったので、少し水っぽかったかも。ちょっと醤油を足して戴きました。
それにしても、ワラビは美味しい。特に、『花園』のワラビは、やっぱりスペシャルだということを再確認できました。
で、すごく勉強になったのが、『匙加減』。アク抜きにしろ、一本漬けにしろ、ちょっとの匙加減を変えるだけで、美味しさが倍増したり損なわれたりすることがよく分かりました。
Y川の山の神様、ありがとうございました。これからも、美味しく戴けるように研究していきたいと思います。
一応、記録なので、他のワラビをどうしたのか画像を残しておきたいと思います。
アク抜きをしたもうひと鍋分は乾燥させています
丸一日干して、ここまで。さすが手強い(太いんです)
※ゼンマイみたいに揉んで丸めることはしません。
茹で切れなかった分は、
桶で塩漬け
重しをしたら、蓋が閉まらなくなって焦ったんだけど
2日目には落ち着いてくれました(これ以上漬けるのは無理)。
それぞれ、時差を付けて楽しませてもらおうと思います。