山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

ありがとう、S川!

2023年06月06日 | 山菜採り

 「久しぶりに奥の二股、行ってみっだいやあ。」

確かに、S川上流の奥の二股は魅力的な山菜採り場だ。しかし、前回のパラダイスほどの感動を味わうことは難しいだろう。むしろ、心配なのが熊。

 「前によう、T氏と山菜採りに山に入ったのよ。」

 このエピソードは、M氏にも話しておいた方が良いだろう。

「俺の足元の竹林でガサガサやってるもんだから、「何が出ったかあ?」って声掛けたらよ、「なんだあ?」って頭の上から返事が返ってきてよ。ビックリして下の林見たら、黒い塊が猛スピードで山の奥に逃げてったのよ。」

黙って話を聞くM氏。

「そんで竹林に入ってみたら、タケノコ食い散らかした跡が残ってたんだ。熊もタケノコ好きみだいだがらな。あん時、声出さねがったらと思うとゾッとする。んだがら、鈴の音は絶やしちゃダメなんだ。向こうだって人間のこと怖いんだから。とにかく、出会い頭でパニックにさせないことな。」

「そうか。気を付けねんねな。」

これから行く二股は、それくらいの場所だということを意識してもらえたようだ。なんてったって、2年間、多分人が誰も入っていなくて、近くに熊がいることが明らかな場所なのだから。下手をすると、山菜じゃなくて熊のパラダイスだ。

「・・・あそこで熊にあったら、逃げ場ないな。」

M氏も、考え込んでいる。これは、山遊びをする仲間として、いいことだろう。とにかく、慎重であるに越したことはない。

 さて、それはそれとして、今回でS川探訪(春の部)が最終回となるだろう。なんだかんだ言っても、本命のタケノコのピークは間違いなく過ぎているのだろうから。

 しかし、この採り場の懐は、底なしに深い。我々山仲間が、『山菜のデパート』と呼ぶこの山域では、絶対に満足のいく収穫ができるのだ。さあ、今日の目玉商品は、なんでしょうか?

 例によって渓底に降りると、

       ムシカリかな?

真っ白い装飾花が森のあちこちに目立つようになってきた。

       ホウの花も見ごろかも

 されど、

       雪渓は、まだまだ健在

 谷底の北東向き斜面は、まだまだ冬、もしくは早春です。だから、雪が消えたところから、

       新しい春が始まっています

 そんでですね、『法華の太鼓』とでも言えばいいのでしょうか。ウドが遅くに出てくる場所は、落雪の溜まったあと。ここには、当然、崖の上から落ちた土砂も積もります。すると、

       白根ウドになります

 だから、この時期は、非常に上等なウドの季節になるんです。

 画像で分かるかな? 白い = 日に当てっていない ということなんです。この先端、もしくは『ウドガラ』(去年のウドの茎)を見つけて、掘り始めると、

       おおおっ、出てきた出てきた

 これが、ウド掘りの最大の楽しみと言っても過言ではないと思います。

       土に埋もれていたものだから、洗うと

真っ白な姿に。これをハケゴやリュックに入れて、今夜の晩酌を想像しながら先に進むのです。

 続いて、タケノコ林へ。

       コゴミのジャングルを行く

       だいぶ伸びてしまいました

       ちょうどいいものもあるけど

やはりピークは過ぎたようですね。

 一応、付け足しておくと、かなり伸びても、上の方は柔らかいので十分に美味しく食べられます。我々は、商売人ではないので、その辺にはこだわりません。

 ウドとタケノコとで、ズッシリ重たくなりました。

「どうする?二股まで行く?」

「いいびゃあ。これだけ採れたんだから。」

「んじゃ、戻るか。」

「あいよ!」

まあ、無難な選択でしょうか(熊の話が効いたかな?)。十分満足できたんだからね。

帰り道、

       池の上にモリアオガエルの卵

 この池でモリアオガエルの産卵が始まれば、春も終わりです。この森でも、春が過ぎ、初夏を迎えようとしているようですね。

 S川の山の神様、今年も、たくさんの恵みをありがとうございました。

 願わくば、この豊かな自然が末永く保たれますように。