今週は、この3冊。
■狗賓童子の島/飯嶋和一 2015.6.13
飯嶋和一さんの『狗賓童子(ぐひんどうじ)の島』読み終わりました。
第4部は、松江藩に対する隠岐島住民の抵抗、正義党・尊攘派と出雲党の島民同士の軋轢など隠岐騒動について語られ、少々物語性は薄れますが、それでも感動するし考えさせられる内容でした。
狗賓童子の島/飯嶋和一著/日本経済新聞朝刊2015年3月8日付
文芸評論家 池上冬樹.........『出星前夜』から六年半、待った甲斐のある傑作
著者との60分 インタビュアー 石川淳志(映画監督)
孤独ではないと感じてくれたら、ありがたい..................『狗賓童子の島』の飯嶋和一さん
長期にわたる旧幕府や諸般の無能と怠慢のしわ寄せは、政権が変わってもそのまま残され、結局はすべて民に押しつけられるだけのことになる。
ただ否定や破壊することが、混迷を打ち破る良策に映ることが間々起こる。だが、思考することを止めて短絡に走れば、それは必ず自滅を招く
こんなことばが言えるなら、本当に幸せな人生です、そうお想いになりませんか。
「常太郎さん」新兵衛が突然呼びかけた。すでに闇が降りていた。
「はい。ここにおります」
「.......お会いできて、本当に、楽しゅうございました」
生きているかぎり、避けられないことがあります。
『生死事大(しょうじじだい) 無常迅速(むじょうじんそく)』
「一人の人間の次元において生死は重大事であるが、それより高次の『無常』というものが背後に存在し、それは迅速に訪れる。人の生に明日があるとは限らない。今なすべきことをひるまずにしっかり果たせ」
おさなごの逝くは、心いたし
あわれや蓮華草
無常迅速 時人不待
是非、ご一読下さい。
『 狗賓童子の島/飯嶋和一/小学館 』
■伊藤博文邸の怪事件/岡田秀文 2015.6.13
岡田秀文さんの『黒龍荘の惨劇』に続き、『伊藤博文邸の怪事件』を読んでみました。
この本もやはり、娯楽探偵小説でした。
この話の終わり部分に「伊藤公」の人柄、思想信条について触れる部分があるのですが、岡田さん個人のそれについてはどうなのだろうと、ふと思いました。
『 伊藤博文邸の怪事件/岡田秀文/光文社 』
■神の子(上)/薬丸岳 2015.6.13
薬丸さんの本は、今回で3冊目になります。
『神の子』は、おもしろい。
上巻を読みながら話がどのようにひろがり、展開していくのか、皆目見当がつきません。
町田をいかに処理するのか、はっきり分からないだけに、ぼくには興味津々です。
ただ、上巻を読んでいると、随所で薬丸さんの人間観のようなものが良く伝わってはきます。
長くなるが、徳山の言葉を引用したい。
「おまえにとって家族とは忌まわしいものでしかないかもしれねえが、だからこそ知ってほしいんだよ......家族っていうのは自分で作くることができるんだよ。自分の気持ち次第で、いくらでも温かくてかけがえのないものにすることができるんだよ。おそらく、おまえとサシで話すのはことが最後になるだろうから言わせてもらうが......幸せを望むことを拒んじゃいけねえよ。もしかしたら、義手の友達に何らかの負い目を感じているのかもしれねえが、おまえ自身が幸せにならなきゃ、その友達のことも幸せになんかしてやれねえと思うぜ」
また、こんな話しも。
ぼくは、頑張らなくちゃあいけない時、がんばれなかった気がするけれど、
だけど、この気持ちよく分かりますねえ。
わたし、生まれてから死ぬまでの間、ずっとがんばり続けている人っていないんじゃないかなって思うんだ。きっと、人生の中で必死にがんばらなければならないときが何回かあって、そのときにきちんとがんばった人が成功するんじゃないかなって。為井くんが本当にがんばらなければならないのはきっとこれからなんだよ
さて、下巻はどのような展開が待っているのでしょうか。
『 神の子(上)/薬丸岳/光文社 』
■狗賓童子の島/飯嶋和一 2015.6.13
飯嶋和一さんの『狗賓童子(ぐひんどうじ)の島』読み終わりました。
第4部は、松江藩に対する隠岐島住民の抵抗、正義党・尊攘派と出雲党の島民同士の軋轢など隠岐騒動について語られ、少々物語性は薄れますが、それでも感動するし考えさせられる内容でした。
狗賓童子の島/飯嶋和一著/日本経済新聞朝刊2015年3月8日付
文芸評論家 池上冬樹.........『出星前夜』から六年半、待った甲斐のある傑作
著者との60分 インタビュアー 石川淳志(映画監督)
孤独ではないと感じてくれたら、ありがたい..................『狗賓童子の島』の飯嶋和一さん
長期にわたる旧幕府や諸般の無能と怠慢のしわ寄せは、政権が変わってもそのまま残され、結局はすべて民に押しつけられるだけのことになる。
ただ否定や破壊することが、混迷を打ち破る良策に映ることが間々起こる。だが、思考することを止めて短絡に走れば、それは必ず自滅を招く
こんなことばが言えるなら、本当に幸せな人生です、そうお想いになりませんか。
「常太郎さん」新兵衛が突然呼びかけた。すでに闇が降りていた。
「はい。ここにおります」
「.......お会いできて、本当に、楽しゅうございました」
生きているかぎり、避けられないことがあります。
『生死事大(しょうじじだい) 無常迅速(むじょうじんそく)』
「一人の人間の次元において生死は重大事であるが、それより高次の『無常』というものが背後に存在し、それは迅速に訪れる。人の生に明日があるとは限らない。今なすべきことをひるまずにしっかり果たせ」
おさなごの逝くは、心いたし
あわれや蓮華草
無常迅速 時人不待
是非、ご一読下さい。
『 狗賓童子の島/飯嶋和一/小学館 』
■伊藤博文邸の怪事件/岡田秀文 2015.6.13
岡田秀文さんの『黒龍荘の惨劇』に続き、『伊藤博文邸の怪事件』を読んでみました。
この本もやはり、娯楽探偵小説でした。
この話の終わり部分に「伊藤公」の人柄、思想信条について触れる部分があるのですが、岡田さん個人のそれについてはどうなのだろうと、ふと思いました。
『 伊藤博文邸の怪事件/岡田秀文/光文社 』
■神の子(上)/薬丸岳 2015.6.13
薬丸さんの本は、今回で3冊目になります。
『神の子』は、おもしろい。
上巻を読みながら話がどのようにひろがり、展開していくのか、皆目見当がつきません。
町田をいかに処理するのか、はっきり分からないだけに、ぼくには興味津々です。
ただ、上巻を読んでいると、随所で薬丸さんの人間観のようなものが良く伝わってはきます。
長くなるが、徳山の言葉を引用したい。
「おまえにとって家族とは忌まわしいものでしかないかもしれねえが、だからこそ知ってほしいんだよ......家族っていうのは自分で作くることができるんだよ。自分の気持ち次第で、いくらでも温かくてかけがえのないものにすることができるんだよ。おそらく、おまえとサシで話すのはことが最後になるだろうから言わせてもらうが......幸せを望むことを拒んじゃいけねえよ。もしかしたら、義手の友達に何らかの負い目を感じているのかもしれねえが、おまえ自身が幸せにならなきゃ、その友達のことも幸せになんかしてやれねえと思うぜ」
また、こんな話しも。
ぼくは、頑張らなくちゃあいけない時、がんばれなかった気がするけれど、
だけど、この気持ちよく分かりますねえ。
わたし、生まれてから死ぬまでの間、ずっとがんばり続けている人っていないんじゃないかなって思うんだ。きっと、人生の中で必死にがんばらなければならないときが何回かあって、そのときにきちんとがんばった人が成功するんじゃないかなって。為井くんが本当にがんばらなければならないのはきっとこれからなんだよ
さて、下巻はどのような展開が待っているのでしょうか。
『 神の子(上)/薬丸岳/光文社 』