ゆめ未来     

遊びをせんとや生れけむ....
好きなことを、心から楽しもうよ。
しなやかに、のびやかに毎日を過ごそう。

黙っていれば誰にもわからない

2020年06月01日 | もう一冊読んでみた
W県警の悲劇    2020.6.1  

2020年版 このミステリがすごい! 国内編18位
W県警の悲劇』 を、読みました。

異なる6人の女性警察官を主人公とする連作短編集です。


 真面目、誠実、堅物----表現の仕方はいろいろあるが、娘の目から見ても父はいつも「正しい」人だった。
 「警察官だから?」
 「「正しい」ことをするのって」
 「いや。それは関係ないな。父さんはやりたいようにしているだけだよ。父さんはな、警察官であるより前に、一人の人間として、常に正しくありたいんだよ」


 「この世に絶対はないわ」

 この『円卓会議』では、真実とは暴くものでなく、コントロールするものなのだ。

 恋はするものではなく落ちるものだとは、よく言ったものだと思う。

 「検事は、否認事件の起訴には慎重だからね。できるだけ早く割りたいところだよ」

 しかし実際問題、物的証拠のみで犯罪の証明を行うのはかなり難しい。犯人を確実に裁くには、やはり自白が必要だ。また、捜査段階で自白し自ら罪を認めることで、犯人の反省も深くなると言われている。人権なるものに配慮しすぎて犯罪者を取り逃がしてしまったら、元も子もないというのが、治安維持に携わる者の偽らざる本心だろう。

 黙っていれば誰にもわからない。
 言うべきことをちゃんと言えないのなら、いっそのこと何も言わなければいい。
 それが強くない私の、戦い方だ。


 でも、やっていいことと、やっていけないことがある。これはアウトですよ。昔、父も言ってました。警官の本文は、善良なる市民を守ることだって。罪もない女の子を犠牲にして、あまつさえその事実を隠すなんていうのは、私の中では完全にアウトです」

この言葉は、ぼくに言わせれば、笑止千万。
何故か、読んで下されば分かります。


     『 W県警の悲劇/葉真中顕/徳間書店 』

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする