大井川東俣3段攻め 9
それでも竿を出してみるが、やはり出ない。時計を見るともう1時、タイムリミットだ。記念撮影だけして、滝上にも行きたい誘惑を振り切って、少し下った瀬近くで昼飯とする。
ビールとイワナの刺身と冷やし素麺だ、あまりゆっくりと休む間もなく一目散に下りだす。途中、沢に架かっている倒木に大きなマスタケ、少し持ちかえることとする。
白峰沢を少し下ったところで、登山服スタイルで竿を出している人に会う。三国沢を詰めて三峰、そして塩見の方へいくとのこと。靴もザックもクラッシックの登山者だ。あまり高級そうでない竿、餌はわずかなイクラ、それでも買い物用のビニール袋に数匹、型のいい岩魚を入れていた。
もうこんな時間で、どこに泊まるのかと聞けば、少し先の河原で早めに休むとのこと。3時前であった。かなりの年のようである。一人で何日も気ままに、あまり他人のことばかり言えないが、どんな人だろう?いつか自分も三国沢を詰めて間ノ岳に登ってみよう。
この釣人と別れて池の沢近くまで来ると、とてもこんな山奥に似付かわしくない、にわかフライマン、そんないでたちの二人と出会う。聞けば、昨夜池の沢に泊まった彼等だとのこと。すこし下ると、その仲間の女性が一人、すこしはなれて、もう一人、ルアーをやっていたがまったく釣れないとのこと。
他の仲間は池の沢の河原でテントを張り、そのそばで焚火をしていた。シュラフや衣類を干し、食器類も無造作にひろげて実にのんびりとした光景だ。池の沢池からこの河原まで半日とはいったいどんなスケジュールだろう?