昨日、長い間気になっていたEテレの録画を見た。
内容は、「幸せについて」4人の気鋭の論客が、それぞれ違う分野で1冊の本を解説し、「幸せ」の正体に迫ろうとする本当にすごい内容だった。
文学者の島田氏が推薦する井原西鶴の「好色一代男」と「好色一代女」は人間の欲望の赴くままに自由に人生を全うした人物が主人公(男は今の価値にして400億ほどを毎日せっせと費やして約5千人の男女と、女はその美貌と秀でた能力で約1万人以上の男と関係を持ったという話らしい)。
その主人公がたどり着いた境地とは?
魂の自由は手に入れたが、なんだか少し悲しい。でも、かっこいい。
次に、経済学者の浜氏がアダム・スミスの「国富論」を解説していく。アダム・スミスは「神の見えざる手」という言葉が有名で、まったく企業任せにしているかと思いきや「労働」の価値を説き、「充実感」を説き、そして「道徳感情論」で「良心にやましいことがないように」企業家に説いたらしい。 人の「痛み」を知ることが大事。
次に、哲学者の西氏がヘーゲルの「精神現象学」なる難しい本の解説をして、人間の内にある①自由になりたいという欲求と②人に認められたいという欲求が矛盾するが、
Ⅰ 承認されたいという戦い(スポーツのような感じ)→Ⅱ 競争はアホらしいから自己満足(ストア主義というらしい)→Ⅲ 自分も他人も認めるものを作り出す(普遍性)に人間の理性は歴史とともに進化したとか。
でも、今は、ネットがあって、Ⅱの段階で「不幸を共有する幸せ」があってⅢに行かないのでは?とか。
最後に、心理学者の鈴木氏がフロイトの「精神分析入門」を解説して、人間の「意識」(自我)の下には膨大な「無意識」(エス)があり、「無意識は言葉でできている?」ので、無意識の物語を常に修正してやらないと意識としての自我は非常に弱いので「超自我」にも挟まれて不安定になる(よくわからない)というような話しであった。
そうして、4人が共通に感じたことの「幸福」の正体とは???
それは、「幸せ」になるには、他人との良好な関係が必要だということ。
一人では決して幸せになれないという思い。
では、どうやってその関係を築いていくかって?
それは、それぞれの人の努力にかかっているっていうことだろう。
とにかく、2時間かけて見る価値のある番組だった。特に、哲学の話しは参考になった。