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マーケティング研究 他社事例 533 「スマイルカーブ理論で勝つ①」 ~天才を集める中国の狙いは~

2020-04-09 09:32:52 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 533 「スマイルカーブ理論で勝つ①」 ~天才を集める中国の狙いは~


2014年、グーグルが従業員数がたった数十人の会社を5億ドル以上で買収したことを皆さんは覚えているでしょうか?

なぜこれほどまで高額だったのでしょうか?

この会社は後に、プロ棋士を打ち負かす偉業を成し遂げた囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」を開発することになるディープマインド社で、グーグルはディープマインド社の資産でも工場でもなくその頭脳を買ったのでした。

AIの普及によって、労働者の頭数ではなく労働者の知的レベルが、一国のGDP(国内総生産)や企業の売上・利益を決定づける「頭脳資本主義」の時代が到来しつつあります。

頭脳資本主義とは、神戸大学の松田卓也名誉教授による言葉です。

軍事の世界では既に、徴兵された国民の人数ではなく、ハイテク兵器を使いこなす職業軍人の質が戦争の勝敗を決めるようになっていますが、こうした状況が経済でも起こっているのです。

経済と言っても、具体的にどこの分野に頭脳を使うのが良いのでしょうか?

ここで、人が笑ったときの口の形をイメージした「スマイルカーブ理論」を紹介します。

この理論は、台湾のパソコンメーカー、エイサー創業者のスタン・シー氏が提唱したとされ、上流・下流に位置する研究開発や設計デザイン、マーケティングは付加価値が高いのに対し、中流にある組み立てや部品、小売りは低くなるというものです。

アップルは、この理論に合ったビジネスを展開してきました。

組み立ては海外に任せ、開発、設計、マーケティング、ブランディングは自社で担い、付加価値の高い分野と低い分野をうまく選別していたのです。

そして今、この頭脳資本主義に気付いて積極的に動いているのが中国となるのです。

世界の工場になって組み立てをしてた中国は、これだけではもうからない事を知り、何千人、何万人という優秀な頭脳をもつ人材を海外から「買う」ことにしたのでした。

実際、科学技術のレベルを表す代表的な指標の査読論文の数では、中国の研究者によるものが増えています。

今年は旭化成の吉野彰・名誉フェローのノーベル科学技術賞受賞が決まりましたが、20~30年たてば、中国から毎年のように受賞者が排出され、日本人は5年に1度くらい出ればいい方になるのかもしれません。

日本の理工系の学生の間では、インターンシップに参加する企業として、フェイスブックよりも中国のテンセントを選ぶケースが増えています。

IT企業の時価総額ランキングでも、トップ10に入っていた中国企業が2013年の2社から2018年の9社に増加しました。

AIベンチャー企業への中国の投資額も世界の約半分を占め、顔認証技術をもつメグビーやセンスタイムなど、時価総額が1000億円以上のいわゆる未上場企業であるユニコーンが次々と生まれています。

メグビーの顔認証技術は、アップルのスマートフォン「iPhone10」でも見分けられなかった双子の顔を識別できたとされ、世界的なレベルの精度の高さを誇ります。

国の支援が大きいといわれる中国ですが、民間企業としての力も着実に上がっていると言えます。

(続き)



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 


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