警視庁が“ガーシー逮捕”の先に狙う「SNSマフィア」一掃作戦 ターゲットとなる「2人のインフルエンサー」(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース

警視庁が“ガーシー逮捕”の先に狙う「SNSマフィア」一掃作戦 ターゲットとなる「2人のインフルエンサー」
4/24(月) 7:15配信
ガーシーこと東谷義和容疑者の国際手配が何を意味するか(時事通信フォト)
“暴露”という手法で著名人を追い詰め、国会議員にまで成り上がったガーシー劇場が、遂に終盤を迎えようとしている。著名人らを脅迫したなどとして警視庁が暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)などの疑いで逮捕状を取った元参院議員のガーシーこと東谷義和容疑者が、4月13日付で国際手配された。いよいよ当局が本気を出してきた
──事件を取材するジャーナリストの赤石晋一郎氏が、その背景を解説する。
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ガーシー包囲網が狭まっている。警視庁はガーシー容疑者のSNSアカウントについて運営会社に凍結を要請し、『ツイキャス』や『TikTok』のアカウントは実際に凍結された。今後の狙いは“兵糧攻め”だと見られている。
ガーシー容疑者の実家の家宅捜索も、警視庁サイドによる「見せしめ捜査」であることは公然の秘密だといわれている。“帰国しなければ徹底的にやるぞ”という警視庁の姿勢を示すためであり、「帰国しない」とガーシー容疑者が繰り返し行なってきた挑発行為に対する警告でもあった。
警視庁の動きは迅速で、ガーシー容疑者が利用していた妹の口座は使えなくなった。日本国内の金融機関にも犯罪収益の送金に加担しないようにと警告を入れているともいわれている。警視庁は彼の収入源を徹底的に潰していくことで、ガーシー容疑者に帰国するようにプレッシャーをかけ続けるつもりなのだ。
そこでポイントになるのが、ガーシー容疑者はいつまで兵糧攻めに耐えられるかである。現在、主な発信ツールとしている「GASYL」というオンラインサロンの維持コストは高額であるとされており、ドバイ生活の物価高のなか、いつまで海外逃亡生活を維持できるのかが注目されるところである。
また、ドバイに滞在している「ガーシー一味」と呼ばれる日本人コミュニティ、あるいは日本国内の支援者がガーシーに対して何らかの形で便宜を図れば、国際手配者である人物への犯人蔵匿(ぞうとく)罪、もしくは犯人隠避(いんぴ)罪に問われる可能性がある。犯人隠避罪とは刑103条に規定されており、その刑事罰は「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」で、隠避に該当するのは、「逃走のための資金援助をすること」などが上げられる。ガーシー容疑者に資金提供すれば、その人物が摘発対象となる可能性があるのだ。
さらに生命線となりそうな「GASYL」会費収入についても、警視庁が送金ルートを解明して関連口座の凍結に成功すれば、ガーシー容疑者は資金を手にすることができなくなる。
4月12日、ガーシー容疑者は在ドバイ日本領事館に旅券紛失届を提出し、同日付でパスポートが失効した。ガーシー容疑者はドバイに10 年間滞在できるゴールデンビザを持っているので引き続きドバイに滞在は可能だとされている。旅券紛失届を提出したのは刑が重くなることを怖れてのガーシー容疑者側の対策だと思われるが、当局は次の手として捜査員のドバイ派遣を検討していると報じられている。
ガーシー容疑者の動画配信に関わり、ドバイ滞在中に警視庁からの出頭要請に応じなかった元警察官の池田俊輔容疑者は4月14日に帰国し、名誉毀損などの疑いで逮捕された。
「すでにガーシーのドバイでの居場所の特定が進んでいるようです。警視庁がドバイに捜査員を派遣して帰国を促すと同時に、警察庁も捜査員をドバイに派遣することを検討しています。ドバイがあるUAE当局に警察庁、すなわち日本国としてガーシー容疑者の拘束を要請することが必要だと考えているからです。
ルフィ事件と同じように現地当局にガーシー容疑者を拘束してもらい、日本から要請して強制送還されることによって逮捕にこぎつけるというシナリオを見据えています。ガーシーは政治犯というわけでもなく、UAEサイドも日本との関係性を考慮して拒否しないのではないかとみられているのです」(社会部記者)
なぜ当局がここまでの“ガーシー包囲網”に乗り出したのか。その背景には「ネットの無法状態」を正さなければならないという警視庁の狙いもある。
警視庁はSNSで不法行為を繰り返す人物らに対して「SNSマフィア」という言葉を使い警戒を強めているのだ。
「SNSマフィア」とは、SNSを使って脅迫を繰り返す、暴露すると脅して(やめる)対価として金銭を得るような恐喝行為、詐欺商品を買わせるなどの違法行為を繰り返す集団のことを指し、その一部は暴力団と繋がっているとされている。
「警察では組織犯罪対策部やサイバー特別捜査隊など各セクションから捜査員を集めて、SNSマフィアを逮捕するための特別捜査チームが結成。ターゲットとして名前が挙がっているのがガーシー容疑者と関係があるとされるインフルエンサーのA。さらに驚異的なフォロワー数を誇るBの行動にも疑わしいところがあると見て注視を続けています」(前出・社会部記者)
「SNSマフィア」の特徴は、ガーシー容疑者に象徴されるように多くのフォロワーを扇動することに長けているところにある。フォロワーの多くは一般人であり、SNSを通じて犯罪者を崇拝するような構造になっていることも問題視されている。ガーシー事件をSNS時代の“新しい犯罪”であると警視庁は定義づけているということなのだ。
ガーシー事件を契機にSNSマフィアを一掃しようという動きが加速している。
【プロフィール】 赤石晋一郎(あかいし・しんいちろう)/「FRIDAY」「週刊文春」記者を経て2019年よりフリーに。近著に『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち』(小学館新書)、『完落ち 警視庁捜査一課「取調室」秘録』(文藝春秋)。『元文春記者チャンネル』をYouTubeにて配信中。 ※週刊ポスト2023年5月5・12日号
https://news.yahoo.co.jp/articles/8149133ef5a298c6c7f72bd0a3e34c7f5d636676