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米大統領令に待ったかける司法判断が相次ぐ 連邦職員の早期退職勧奨を停止、「出生地主義」廃止は差し止め

2025年02月08日 14時03分39秒 | 国際情勢のことなど


米大統領令に待ったかける司法判断が相次ぐ 連邦職員の早期退職勧奨を停止、「出生地主義」廃止は差し止め
2/7(金) 12:58配信




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BBC News
大統領令に署名するドナルド・トランプ米大統領


ドナルド・トランプ米大統領が署名した大統領令に対し、裁判所が相次ぎ待ったをかけている。マサチューセッツ州の連邦地裁は6日、連邦職員に対して同日深夜までに自主退職するよう奨励するドナルド・トランプ大統領の計画について、一時的な停止を命じた。5日にはメリーランド州の連邦地裁が、アメリカで生まれた人ほぼ全員に自動的に市民権を与える「出生地主義」の廃止を命じた大統領令を差し止めた。


BBCがアメリカで提携するCBSによると、マサチューセッツ州のジョージ・オトゥール・ジュニア連邦地裁判事は、連邦職員組合が提起した訴訟で審理を行う10日まで、早期退職を呼びかける大統領令の計画を一時停止させる決定を出した。


トランプ政権は、連邦政府の規模を縮小する一環として、9月30日までの給与と引き換えに早期退職を奨励する計画を発表していた。


ホワイトハウスによると、4万人以上の職員が6日までの退職に同意したという。しかし、一部の職員はこの取引の条件に混乱があると話している。


判事の命令は、自主退職の期限である6日午後11時59分の数時間前に出された。


司法省の弁護士は、連邦職員に対して期限が一時停止されたことを通知すると述べたと、CBSは報じている。


ホワイトハウスは、この一時停止を退職者数を増やす機会と見ているようだ。


キャロライン・レヴィット報道官は声明で、「出勤を拒否する連邦職員が、この非常に寛大で一生に一度の申し出を受け入れられるよう、期限を延長してくれた判事に感謝している」と述べた。


人事管理局(OPM)は、期限を10日午後11時59分まで延長し、自主退職の手続きを続けるとしている。


OPMは、「このプログラムは阻止されているわけでも、キャンセルされているわけでもない」と述べ、「政府は延期された退職の申し出を尊重する」としている。


トランプ政権は以前、多ければ20万人の職員がこの申し出を受け入れることを期待していると述べていた。だがこの日は、期限直前に申し込みが急増するとみていると、米メディアに述べた。


レヴィット報道官は、判事がプログラムを一時停止する前に、「これはアメリカ国民に数千万ドルの節約をもたらすだろう」と語った。


このプログラムをめぐっては、連邦政府職員連盟(AFGE)が人事管理局(OPM)を提訴。OPMについて、法律に違反している、この取引に資金を出すことはできない、条件について矛盾した指示を出している――などと主張している。


AFGEは会員へのメールで、この申し出は「公務員制度を解体し、熟練した専門職の労働力を、資格のない政治任命者や営利目的の契約者に置き換える施策の一環」だと指摘した。


また、連邦議会が3月中旬以降の予算を可決していないため、各機関が9月まで職員に給与を支払えるかどうかわからないとしている。


AFGEは6日、判事の決定に「満足している」と述べた。


一部の連邦職員は、深夜に「フォーク・イン・ザ・ロード(分かれ道)」という件名で届いた、早期退職提案のメールにショックを受けたと述べている。中にはこのメールをスパムだと思った人もいた。


「最初のメールは、『いずれにせよ解雇されるかもしれない』という雰囲気だった」と、退役軍人省の医療支援専門家モネ・ヘップ氏は以前、BBCに語った。「みんなそれに驚いた」。


民主党は、この退職パッケージの合法性に疑問を呈し、「すべてのアメリカ人に影響を及ぼす」人材流出を引き起こすと警告している。


下院監視委員会の民主党議員はトランプ大統領への書簡で、「多くの連邦職員が持つ専門知識と制度的知識がなければ、政府は国家の緊急事態に効果的に対応することも、アメリカ国民に奉仕することも、日常業務を遂行することさえできなくなる」と述べた。


中央情報局(CIA)は4日、連邦政府の国家安全保障部門として初めて、職員にこの申し出を拡大。元情報当局者や複数の議員は、この申し出がアメリカの国家安全保障を損なう可能性があると懸念を表明している。


また、気象予報機関である国立海洋大気庁(NOAA)や保健福祉省でも、人員削減が迫っていると報じられている。


■メリーランドでは「出生地主義」廃止令を差し止め


メリーランド州連邦地裁のデボラ・ボードマン判事は5日、違法または一時的にアメリカに滞在している親から生まれた子供にアメリカの市民権を与える「出生地主義」を廃止する大統領令の差し止めを命じた。


ボードマン判事は、「きょうアメリカの土壌で生まれたほぼすべての赤ちゃんは、出生時にアメリカ市民だ。それが我が国の法律と伝統だ」とする判決を出した。


この判決により、トランプ氏が1月20日に発表した大統領令は、法的手続きが進行するまで差し止められることになった。この手続きには数カ月から数年かかる可能性がある。


差し止めは、ワシントン州シアトルの連邦地裁に続いて2例目。同連邦地裁は1月24日、トランプ氏の大統領令を「あからさまに違憲」と判断し、14日間の差し止め命令を出した。この命令をめぐっては、失効する6日に、再度審理が行われる予定だ。


専門家によると、トランプ政権はこの判決に対して上訴することができ、そうすることが予想されている。


出生地主義の廃止は、トランプ大統領がアメリカから不法移民を排除するための取り組みの一環。


この命令は2月19日に発効する予定で、両親のいずれもがアメリカ市民または合法的な永住者でない場合、新生児に自動的に市民権を与えることはないとしている。


ボードマン判事は5日、トランプ氏の命令が「我が国の250年の出生による市民権の歴史に反する」と判決で述べ、以下のように説示した。


「連邦最高裁判所は、第14修正条項の市民権条項に対する大統領の解釈を断固として拒否している」


「実際、国内のどの裁判所も大統領の解釈を支持したことはない。この裁判所も、その最初にはならない」


この問題の核心は、南北戦争直後に採択された合衆国憲法第14修正条項の解釈にある。この条項の一部には、「アメリカで生まれ、または帰化したすべての人々は、アメリカ合衆国の市民である」と記されている。


トランプ政権は、この条項が不法にアメリカにいる非市民の子供を除外していると主張。大統領令について、「壊れた移民制度と南部国境での継続的な危機に対処する」という大統領の目標の「不可欠な要素」だと述べている。


連邦最高裁を含む各裁判所は19世紀後半以来、この憲法修正条項について、外交官の子供などの例外を除き、アメリカで生まれた子供に自動的に市民権を付与するものと解釈してきた。


しかし保守派は長い間、出生地主義が不法移民を引き寄せ、出産ツーリズムを通じて悪用されていると主張している。出産ツーリズムとは、子供にアメリカ市民を与える目的で、出産のためにアメリカを訪問することを指す。


この大統領令を阻止するために訴訟を起こした、民主党主導の22州の司法長官によると、この大統領令が実施されれば、毎年15万人以上の赤ちゃんが市民権を拒否されることになるという。


(英語記事 Judge halts Trump's government worker buyout plan/ Judge blocks Trump's bid to restrict birthright citizenship




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