アメリカの「民主主義」に危機…トランプ氏、大統領選圧勝も「事実を事実と認めない」国民が増加 分断を招く“フィルターバブル”の影響も
11/10(日) 7:02配信
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コメント792件
ABEMA TIMES
トランプ氏
世界が注目したアメリカ大統領選挙は、共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス副大統領に、予想外の大差をつけて勝利。132年ぶり2人目となる、大統領返り咲きを果たすことになった。選挙では経済政策、人工中絶、移民問題などが注目されていたが、CNN等が行った出口調査では、投票に重視するものとして「民主主義」が35%を示し、1位になった。
【映像】共和党 VS 民主党 学歴で支持に差?(グラフ)
民主主義の象徴とも言える選挙でトランプ氏が勝利したにも関わらず、その後もアメリカの各紙では「トランプ氏が民主主義を脅かす」「政府は右傾化するだろう」という文字も踊った。トランプ氏が大統領になることで、本当に民主主義の危機は訪れるのか。そもそもアメリカの民主主義の危機とはなんなのか。『ABEMA Prime』で考えた。
■民主主義の危機とは?
有権者が優先したもの
民主主義らしく、選挙によって大統領が決定した中「民主主義の危機」とはどういう意味なのか。文化通訳でシンガーソングライターのネルソン・バビンコイ氏は「トランプがNATOから脱退するとか、ウクライナの支援を止めるとか、中国とすごく仲がいいところで、中国と台湾の関係がどうなるかなど、世界的な民主主義国家の危機は続くのではないか。またアメリカ国内で言えば三権分立だ。前回は行政、立法、そして司法とやりたい放題だった。つまり止める人がいなくなってきている。アメリカの民主主義がちゃんと機能するか、試練の4年間が始まる」と表現した。
また東京大学公共政策大学院教授の鈴木一人氏は「選挙をやれば民主主義ということではない。そこに自由主義、つまり集会の自由や言論の自由がきちんと保障されていることが重要だが、トランプ政権、特にイーロン・マスクなんかは、Twitter(現X)がヘイトスピーチをする人たちを止めていたところを、これは言論の自由に反する、ヘイトスピーチも言論の自由だから好きなように言わせろと言ってきた。これまで我々が民主主義を支えていると思っていた価値観、言論の自由とか表現の自由が、実は民主主義を攻撃することも認めるようになってきている」と説明した。さらには「要するに、どこで民主主義のラインを引くかだ。誰も彼もが自由であることは、例えば人を殴る自由もあるのか、人を傷つける自由もあるのかと言えば、そこは違うというラインがあるはず。暗黙の了解で、ヘイトスピーチはよくないからTwitterで発言するようなアカウントはBANされていたが、逆に取っ払っちゃってしまった。極端に制限しているのはロシアや中国で、これも民主的ではない。民主主義はすごく曖昧なところにあって、でも何らかのコンセンサスが必要なのに、いつの間にかそれが壊れてしまった」と、極端な自由に振れたことへの警戒を示した。
またバビンコイ氏はXをはじめとするSNS、ネットニュースにおけるフィルターバブルの危険性にも触れた。「言論の自由とは言うが、もうゲートキーパーというかアルゴリズムを開発したのはイーロンだ。また、同じものを見ていても、お互いの角度で見ようとも、知ろうともしない。知ろうとしない限り知ることもできない。それはフィルターバブルやアルゴリズムで、自分が好きなニュースしか出てこないからだ。フィルターバブルを取っ払うことをアメリカ人はそれをしない。流れたものを信じている。ネットリテラシーをちゃんとつけてほしい」と訴えた。
11/10(日) 7:02配信
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ABEMA TIMES
トランプ氏
世界が注目したアメリカ大統領選挙は、共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス副大統領に、予想外の大差をつけて勝利。132年ぶり2人目となる、大統領返り咲きを果たすことになった。選挙では経済政策、人工中絶、移民問題などが注目されていたが、CNN等が行った出口調査では、投票に重視するものとして「民主主義」が35%を示し、1位になった。
【映像】共和党 VS 民主党 学歴で支持に差?(グラフ)
民主主義の象徴とも言える選挙でトランプ氏が勝利したにも関わらず、その後もアメリカの各紙では「トランプ氏が民主主義を脅かす」「政府は右傾化するだろう」という文字も踊った。トランプ氏が大統領になることで、本当に民主主義の危機は訪れるのか。そもそもアメリカの民主主義の危機とはなんなのか。『ABEMA Prime』で考えた。
■民主主義の危機とは?
有権者が優先したもの
民主主義らしく、選挙によって大統領が決定した中「民主主義の危機」とはどういう意味なのか。文化通訳でシンガーソングライターのネルソン・バビンコイ氏は「トランプがNATOから脱退するとか、ウクライナの支援を止めるとか、中国とすごく仲がいいところで、中国と台湾の関係がどうなるかなど、世界的な民主主義国家の危機は続くのではないか。またアメリカ国内で言えば三権分立だ。前回は行政、立法、そして司法とやりたい放題だった。つまり止める人がいなくなってきている。アメリカの民主主義がちゃんと機能するか、試練の4年間が始まる」と表現した。
また東京大学公共政策大学院教授の鈴木一人氏は「選挙をやれば民主主義ということではない。そこに自由主義、つまり集会の自由や言論の自由がきちんと保障されていることが重要だが、トランプ政権、特にイーロン・マスクなんかは、Twitter(現X)がヘイトスピーチをする人たちを止めていたところを、これは言論の自由に反する、ヘイトスピーチも言論の自由だから好きなように言わせろと言ってきた。これまで我々が民主主義を支えていると思っていた価値観、言論の自由とか表現の自由が、実は民主主義を攻撃することも認めるようになってきている」と説明した。さらには「要するに、どこで民主主義のラインを引くかだ。誰も彼もが自由であることは、例えば人を殴る自由もあるのか、人を傷つける自由もあるのかと言えば、そこは違うというラインがあるはず。暗黙の了解で、ヘイトスピーチはよくないからTwitterで発言するようなアカウントはBANされていたが、逆に取っ払っちゃってしまった。極端に制限しているのはロシアや中国で、これも民主的ではない。民主主義はすごく曖昧なところにあって、でも何らかのコンセンサスが必要なのに、いつの間にかそれが壊れてしまった」と、極端な自由に振れたことへの警戒を示した。
またバビンコイ氏はXをはじめとするSNS、ネットニュースにおけるフィルターバブルの危険性にも触れた。「言論の自由とは言うが、もうゲートキーパーというかアルゴリズムを開発したのはイーロンだ。また、同じものを見ていても、お互いの角度で見ようとも、知ろうともしない。知ろうとしない限り知ることもできない。それはフィルターバブルやアルゴリズムで、自分が好きなニュースしか出てこないからだ。フィルターバブルを取っ払うことをアメリカ人はそれをしない。流れたものを信じている。ネットリテラシーをちゃんとつけてほしい」と訴えた。
■分断が進むアメリカ社会
民主党が犠牲になる懸念
鈴木氏は、今回の大統領選において、共和党支持者と民主党支持者が結果はどうであれ、事実を受けられているか否かに着目した。「問題になるのは、民主主義という制度とか理念ではなく、おそらくその事実を受け入れるか受け入れないか。トランプは(前回の大統領選で)不正があったとウソをつき、そのウソをトランプ支持者がみんな信じて、1月6日の暴動が起きた」と、過去に起きた大騒動を振り返った。
また、「おそらくアメリカにおいて、みんなが『自分が正しい』と思っている。民主党支持者であれば、自分たちが正しいまさに民主党バージョンの民主主義があってもいいが、これが正しい、他が間違っているという前提に立っている。共和党は共和党で、トランプが言っていることが正しい、向こうはウソとなってしまうと、お互いの接点がなくなり、対立しか生まない。本当の民主主義は、相手が勝ったことを認める寛容さだ」と、自身が信じるもの以外を認めないことが、分断を生み続けていると述べた。
コラムニストの河崎環氏は、フィルターバブルやアルゴリズムというITカルチャーを生んだところこそアメリカだと述べた。「ITのカルチャー、SNSのカルチャー、発信と受信のカルチャーはアメリカという大国から出てきた。その中で民主主義を本来、実行すべき人民の側に、変化がすごく大きく現れた。この人たちに、ちゃんと情報を与えたら正しく多数決で物事を決めるだろうと思われていたが、現代の人民というものは、全く質が違っている。これはアメリカの民主主義の敗北で、アメリカがもう民主主義を扱うことができなくなってしまったのでは」と、情報を受け取る国民側が、民主主義に則って行動を起こすことが難しくなっていると語っていた。
(『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部
民主党が犠牲になる懸念
鈴木氏は、今回の大統領選において、共和党支持者と民主党支持者が結果はどうであれ、事実を受けられているか否かに着目した。「問題になるのは、民主主義という制度とか理念ではなく、おそらくその事実を受け入れるか受け入れないか。トランプは(前回の大統領選で)不正があったとウソをつき、そのウソをトランプ支持者がみんな信じて、1月6日の暴動が起きた」と、過去に起きた大騒動を振り返った。
また、「おそらくアメリカにおいて、みんなが『自分が正しい』と思っている。民主党支持者であれば、自分たちが正しいまさに民主党バージョンの民主主義があってもいいが、これが正しい、他が間違っているという前提に立っている。共和党は共和党で、トランプが言っていることが正しい、向こうはウソとなってしまうと、お互いの接点がなくなり、対立しか生まない。本当の民主主義は、相手が勝ったことを認める寛容さだ」と、自身が信じるもの以外を認めないことが、分断を生み続けていると述べた。
コラムニストの河崎環氏は、フィルターバブルやアルゴリズムというITカルチャーを生んだところこそアメリカだと述べた。「ITのカルチャー、SNSのカルチャー、発信と受信のカルチャーはアメリカという大国から出てきた。その中で民主主義を本来、実行すべき人民の側に、変化がすごく大きく現れた。この人たちに、ちゃんと情報を与えたら正しく多数決で物事を決めるだろうと思われていたが、現代の人民というものは、全く質が違っている。これはアメリカの民主主義の敗北で、アメリカがもう民主主義を扱うことができなくなってしまったのでは」と、情報を受け取る国民側が、民主主義に則って行動を起こすことが難しくなっていると語っていた。
(『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部