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ドイツで《ナチスそっくり》の極右政党、ここへきて支持を集める理由…背景に国民が揺らいだ「2つの事件」が起こっていた

2024年10月14日 19時05分03秒 | 国際情勢のことなど

ドイツで《ナチスそっくり》の極右政党、ここへきて支持を集める理由…背景に国民が揺らいだ「2つの事件」が起こっていた(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

 


>9月1日と言えば、85年前の1939年のこの日に、ヒトラーがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった日である。その記念すべき日、ナチスの蛮行を反省すべき日に行われた選挙で、ナチスに親近感を持つAfDが大躍進したことは大きな皮肉である。アウシュビッツも遠い歴史の彼方に追いやられたような感じである



ドイツで《ナチスそっくり》の極右政党、ここへきて支持を集める理由…背景に国民が揺らいだ「2つの事件」が起こっていた
9/4(水) 7:00配信




現代ビジネス
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9月1日に行われたドイツの地方選挙で、極右政党が躍進し、遂に第一党となった。その背景には何があるのか。そして、ドイツの今後はどうなるのか。



2つの州議会選挙で第一党に
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旧東ドイツのチューリンゲン州とザクソン州で、9月1日に州議会選挙が行われた。移民や難民の排斥を主張する極右のAfD(ドイツのための選択肢)が躍進し、チューリンゲン州では、投票率32.8%で第一党となった。極右が主な選挙で第一党になるのは初めてである。


AfDのチューリンゲン州党支部長のビョルン・ヘッケは、大勝した選挙結果を受けて、「人々は変化を望んでいる」と述べた。30代以下の若者の36%がAfDに投票している。


ザクセン州では、AfDは30.6%を得票し、トップの中道右派で野党のCDU(キリスト教民主同盟)に僅差で2位につけた。


今のショルツ政権は、SPD(社会民主党)、緑の党、FDP(自由民主党)の連立政権であるが、全く振るわず、SPDはチューリンゲン州では6.1%しか得票できず、過去最低の記録であった。


そして、もう一つ注目すべきは、テレビなどで活躍するザーラ・ヴァーゲンクネヒトが左派党を離党して立ち上げた左派新党のBSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)の支持の拡大である。


BSWはウクライナへの武器供与の即時停止とロシアとの停戦交渉を要求しているが、それはAfDの主張と同じである。ウクライナ戦争の長期化で経済に悪影響が及び、生活が苦しくなっている人々がその主張に共鳴している。


BSWは、チューリンゲン州では15.8%、ザクセン州では11.8%で、第3位にのし上がった。


選挙結果をまとめると、チューリンゲン州では、AfDが32.8(+9.4)%、CDUが23.6(+1.9)%、BSWが15.8%、左派党が13.1(-17.9)%、SPDが6.1(-2.1)%、緑の党が3.2(-2.0)%、FDPが1.2(-3.9)%であった。()内は、前回2019年選挙との比較である。


ドイツでは5%条項があり、5%以上得票しないと議席を得ることができない。


ザクセン州では、AfDが30.6(+3.1)%、CDUが31.9(-0.2)%、BSWが11.8%、左派党が4.5(-5.9)%、SPDが7.3(-0.4)%、緑の党が5.1(-3.5)%、FDPが0.9(-3.6)%である。


与党連合の劣勢が目立つ。


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移民・難民受け入れの「大きな代償」
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今のヨーロッパ、そしてドイツの最大の問題は移民・難民問題である。シリアなどから大量に流入した移民や難民は、欧州社会に溶け込めず、自分たちのみで固まり、夜遅くまで騒いだり、犯罪やテロに走る者も出てきたりして、社会の不安定要因になっている。


EUは人権擁護の観点から移民や難民に手厚い保護を与えているが、とくにドイツは、ナチス時代に650万人ものユダヤ人を虐殺したことに原罪意識を抱いており、その贖罪として移民や難民に寛容な態度を維持してきた。そして、日本を抜いてGDPで世界3位という豊かな国だけに、移民や難民を受け入れる経済的余裕もある。


そのため、中東、アフリカなどから脱出した難民は、最終目的地としてドイツを選択するのである。


しかし、「不幸な人々」に開かれたドイツ社会も、その負担や代償に辟易としつつある。それを象徴する事件が、8月に、ドイツ西部のゾーリンゲンで起こった。


8月23日夜、市の創立650周年を祝う祭典「多様性フェスティバル」が開催されている中、男が刃物で来場者を襲い、3人が死亡し、8人が負傷した。犯人は26歳のシリア人で、IS(イスラム国)が「ISの戦士が実行した」とする犯行声明を出した。


この事件にドイツ国民は大きな衝撃を受けている。そして、AfDのヘッケ支部長は、「こんなことは許されない」と声を上げたのである。


この男は、2022年12月にドイツに来て難民申請をしたが、EUのダブリン規約では、最初のEU入域国で審査することになっている。この男の場合、それはブルガリアである。そこで、ドイツ当局はブルガリアに送還することにしたが、彼は逃亡してしまった。


強制送還執行期間の6ヵ月が過ぎると、ドイツが責任国となって、難民に準じる形で「補完的保護」をしなければならなくなる。この制度を悪用する者が後を絶たず、EUでは入域国への送還が出来てない難民は全体の9割、約5万人に上っている。


シュルツ首相は、ゾーリンゲンを訪れ、「ドイツにいられない人、いてはならない人を確実に強制送還させる」ために政府は全力を尽くすと述べた。


このゾーリンゲン事件がドイツ国民を憤激させ、AfDの躍進につながったことは確かである。

国政でも快進撃は続くのか
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9月1日と言えば、85年前の1939年のこの日に、ヒトラーがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった日である。その記念すべき日、ナチスの蛮行を反省すべき日に行われた選挙で、ナチスに親近感を持つAfDが大躍進したことは大きな皮肉である。アウシュビッツも遠い歴史の彼方に追いやられたような感じである。


チューリンゲン州でもザクソン州でもAfDが政権に参加することはなさそうであるが、どのような連立政権が出来るかは注目すべきである。


チューリンゲン州では、定数88の州議会でAfDは32議席を獲得した。そのため、3分の2の賛成が必要な案件(たとえば憲法裁判所判事の任命)では、AfDが拒否権を持つことになる。


9月22日には、ブランデンブルク州でも州議会選挙が行われるが、AfDが躍進する結果となる可能性が高い。ドイツ東部に位置するこの州もまた、旧東ドイツであり、ドイツ再統一後の不満が募っている。


来年秋には総選挙が行われる。AfDやBSWの快進撃は続くのであろうか。


舛添 要一(国際政治学者)




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