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テレワークで出世する人/しない人」人事はどこを見ている?

2024年11月18日 00時03分53秒 | 社会のことなど
テレワークで出世する人/しない人」人事はどこを見ている?

急事態宣言が解除されたものの、ひと心地つく間もなく「アラート」が発動。コロナをめぐる政府や行政の対応は相変わらず混迷を極めています。  


6/12/2020

ただ、そうしたマクロの視点はさておき世の多数を占めるサラリーマンにとっては、今後の会社員人生にどう影響が出てくるのかのほうが関心事です。 「withコロナ」という言葉が出てきていますが、本稿においては市場の変化は横におき、会社員の組織における動き方という点に絞り、「withテレワーク」の環境下でどう動いていくべきなのかを考えていきたいと思います。 

社内の「ひそひそ話」は絶滅の危機
 まずは今後、コロナがある程度、落ち着いて以降の会社の様子から考えていきたいと思います。  テレワークは間違いなく広がっていくはずです。特に一都三県の会社では来年の東京オリンピック期間の対応、また大地震などの自然災害リスクなどもあるため、必然的に進みます。企業規模を問わず、家賃や交通費、人件費など諸々の経費を圧縮させ、かつ通勤時間という無駄な時間をカットさせて転用できるという「会社にとっていいこと」尽くめのテレワークを経営サイドは積極的に定着させていくでしょう。 


 それにより古い体質の会社にありがちだった「昭和型チームワーク」は急速に崩壊していきます。一部の権力者を中心としたインナーサークルが社内中枢に形成され、会社に存在する旨味の多くはそのサークルの構成員が確保するという構図のチームワークです。 

 みんなが集まっている会議はニコニコと無難に進行、終了後に一部の有力者だけが修羅の顔を突き合わせて「さてさて、どうするよ?」みたいなシーンは確実になくなっていきます。  なぜなら、そうした「ひそひそ話」は突発的に阿吽の呼吸で手短に行うので、どうにもこうにもZoomなどのビデオ会議ツールの空気感や、履歴が残ってしまうチャットなどが多用されるリモート環境とは相性がよくありません。  

関係者に共有されるスケジューラの運用が徹底されてしまうと、そこに表示されない時間帯を作って「ひそひそ話」をすること自体がやりにくくなるという理由もあります。  

テレワークによるリモート会議とグループチャットを中心とした仕事の進め方は、そのやりとりを多くの関係者に常に見られながらやっていることになるので、結果的に会社に「貢献していない人/できない人」をあっという間に浮き彫りにします。従来は感度のいい人しか気づかなかったことが、ほぼ全員がわかるようになったことは大きな変化です。 

 今まである部門で評判が悪い人がいても、一緒に仕事をしていない他部門の人からすると「そうなのかなあ? そんなに悪い人間に見えないけど?」と言ったように評価が分かれることはままありましたが、そうした「評価のギャップ」は急速になくなっていくでしょう。  いわゆる二枚舌三枚舌を駆使して組織内の政治力というものに頼っていた人は行動様式を変えないとその武器を奪われ、足元をすくわれることになります。「昭和型チームワーク」にいた人たちの中で、直接的に会社のオペレーションに貢献していない人も不要扱いになるリスクが一気に高まっていくはずです。 


「見えるもの主義」の加速
 人事評価は「見えるもの主義」が進んでいくと考えられます。  たとえば、新規開拓の営業部のAさんは潜在顧客をだいたい月に5件訪問して半年に1回は1件の大口を取ってくる。一方、Bさんは同じく月に10件訪問して毎月1件は小口を取ってくる。人事評価でBさんがAさんより低かったことが判明し、怒ったBさんが上司や人事におかしいと文句を言う。その場合、どこかでもにょもにょとした話し合いが行われ、一応はBさんは納得します。 

 ところがベテランCさんは月に3件しか訪問はしませんが、Aさんよりもずっと規模が大きい大口を追いかけて、自腹で飲み会やら電話やらで攻勢をかけています。ただし、今年度は営業成績はゼロに終わりました。  それでも超大口が取れそうになっているのを上司は知っていますし、過去の実績からも次年度取れそうというのはわかっています。このCさんの評価がAさんよりもさらに高くなったため、今度はAさんが文句を言います。それでもごにょごにょと話し合ったあと、Aさんも納得はします。  

成果主義ができてるのか、できてないのがよくわからないこうした状態は、ある種日本の会社に馴染んできました。ここで文句を言った側が最後矛を収めるのは、上司の口がうまいというだけではありません。情報の非対称性があったからです。 

 Cさんとお客さんとのやりとりを深くまで知っているのは上司とCさんだけです。なので、Aさんと上司の話し合いにおいて、Aさんを説き伏せるためにちょっと話を盛ったところで、Aさんには真相はわかりません。しかし、今後はオープンな場で、3者以上が一斉につなぐシチュエーションでのやりとりが増えていくためにAさんやBさんも真相を知っていくようになります。  オンライン会議はあらかじめスケジュールを決めるというステップがあるため、「ちょこっとした1対1のやり取り」が激減していきます。わざわざ「ちょっと今日、ちょこっと話していいか? ○時から」とはなりにくいです。  

そんなやりとりをメールでするならば、電話でさっと話してしまえという行動も昭和のおじさんは得意ですが、若い人ほど身構えて、不慣れになっていきます。通知された番号を見てスルーすることも、未読スルーに慣れた世代にとってはお手の物。  

つまり、これまではある意味で社内を丸く収める効果があった「情報格差」が減っていくため、言い逃れや裁量が働きにくくなり、よりわかりやすい数字表現に評価が委ねられていくわけです。


評価されるマネージャーのあり方にも変化
 ただ、数字で示される結果は市場環境が大きく影響します。そのため、本人や当該部署だけの努力によるものだけではなくなるので、数字による評価はわかりやすいようでいて、きちんとやろうと思うとすごく難しいことになります。さらに「withコロナ」の中で出てくる数字をどう評価するのが適切なのか、その正しい答えは誰にもわからないわけですから仕方ありません。  


目標達成に重きを置きすぎると、伸び盛りの部門の人だけが評価され、市場が縮小しつつある部門の人が評価されにくくなり、不公平感によって人の定着も難しくなるという問題も発生します。現実はそんな愚を犯している会社はたくさんありますが、ダウントレンドのマーケットにいる人間はどうしても高い評価を得ることはできないシステムには大きな問題があるわけです。 


 余談ですが、筆者が生業としている雇われ経営者の世界でも、ダウントレンドからV字回復させるのと、普通に利益が出ている巡航速度の会社を伸ばすというのとでは異なるタイプの難しさがあります。  


ただし、一般的には前者のほうが難易度が高いにもかかわらず、前者は会社そのものが儲かっていないので報酬が安く、後者は異常に高いという現実があります。フェアに人材市場で評価されているものと思いきや、その現実を知ったときには大いにがっかりしました。  さて、本題に戻ります。仕事の遂行度や目標達成度など、課された業務の成果のみを評価要素として見る「業績評価」が難しいとなると、過程を重視する「プロセス評価」を充実させていこうという流れになります。「プロセス評価」は今までも実施されていたことですが、担当している仕事が進んでいるのか否かは究極的には当事者しか実態はわからないため、どこか曖昧にはされてきました。 


 それがほかの人からもわかりやすく見えやすくガラス張りでやっていこうとすると、評価する管理側の在り方も変わっていかなければなりません。目的と目標、そこへのプロセスを設計できて、それをもとに追いかけていけるような高度なスキルが求められます。かなり完成度の高いマネジャーしか評価されなくなっていくため、むしろそれができる人の希少価値が相当上がってくるかもしれません。 

 そうなると、最終的には評価を行う側も面倒になってきて「えいや」で若干の好き嫌いが入りながら「ごちょごちょっとなった結果」が出ることに。結果的に真面目に働いてきた多くの人にとっては今までと変わらないのかもしれません。会社によってはわかりやすいアピールする人だらけになっていって、社内の議論において中期的な目線が抜けて刹那的になり……という混乱が起こることもあるかもしれませんが、慣れの問題として収束していくでしょう。  

ただし、以前の記事に書いた「テレワーク忍者」、要するになんとなくにぎやかしのような存在で目を付けられていなかった「実は働いていない人」には容赦ない未来が待っている可能性が高いはずです。 


「宴会機能」はどうアップデートされるのか?
  また、会社内で発生する新しい仕事としては、テレワークの弱点を補足する仕事が出てくると推測されます。それはかつては「宴会」と呼ばれるものでフォローされていた機能の逆のことかもしれません。  

宴会には「実務をしっかりやっているけれども目立たない人」ともきちんとコミュニケーションを取るような機能があったと思います。それとは逆に、実務を人質にして過剰に権力を持ってしまう人と組織運営上の権限のある人とのパワーバランスを維持するようなことが求められてくるのではないかと推測しています。  

結局、やることは「コミュニケーションを深める」ということで一緒ですが、少し意味合いが違ってくるのかと思います。今まで甘い汁を吸っていた、あるいは状況に甘んじてサボっていた一部の人にとっては居場所や役割を改めて探さないといけないでしょう。 

 ただ、こうしたゲームチェンジは個別の企業を見れば、オーナーや社長が変わる際、旧体制派の人たちが排除されるというかたちでこれまでも起こり続けてきたこと。それが今後、日本中で一斉に起こるという状況になっていくというわけです。



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