ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

増毛を歩く ~留萌本線終着駅の旅~ その3

2016-03-29 18:59:25 | 北海道内の旅行・風景




増毛の中心部へと散策を続ける。
住宅に混じって所々に見られる石造りの倉庫には、それぞれ増毛の地名をモチーフにした飾りが見受けられる。心なしか、どの飾りにも地元に対する大きな誇りが感じられる。





広い通りを歩いていくと、スーパーや各商店が立ち並ぶ中心部へと出た。
石狩から留萌方面へと抜ける幹線道路にも面しているので人通りもそれなりに多く、先ほどのレトロな駅前通りとは全く違った印象を受ける。
増毛の住民にとっては、まさにここが生活の拠点であろう。


広い通りに面して、「おみやげ」の文字が掲げられた雑貨屋さんがあったので入ってみる。
店内は女性化粧品やファッション雑貨、少し古めのおもちゃが大量に売られており、そして真ん中の棚には「ようこそ増毛町へ」と書かれた棚が。
並べられたみやげ物は、どれも十数年前から置かれたままと思しき年代物ばかり。周辺の海岸で取れたものなのか、貝殻やサンゴをあしらった港町らしい置物が多い。

ふと、棚の奥に置かれていた貝の置物が目に留まり、気に入ったので購入することにした。
棚に置かれてから何年経っていたのだろう、店員のおばさんに声をかけると少し驚いたような感じで、すっかり黄ばんだ箱を包んで僕に渡してくれた。
せっかくなので「店内の写真を撮っていいですか?」と聞くと、おばさんは目を大きくして、少し照れたような顔をして「いいですよ」と微笑んだ。




通りのはずれに位置するのは「國稀酒造」の酒蔵で、大正7年に建てられたもの。初代・本間泰造が創業した北海道で一番古い造り酒屋であるとともに、日本最北の酒蔵である。定番商品は「吟醸 雪のかおり」「純米 吟醸國稀」「暑寒おろし」などの辛口のもので、現在も蔵で造られた製品をじかに販売しているため、増毛の人気観光名所にもなっている。



駅前に戻り、観光案内所となっている旧・多田商店(昭和8年建築)に立ち寄ることにした。
「風待食堂」なんて良い名前だなと思ったら、どうやら昭和56(1981)年公開の映画『駅 STATION』のロケで使用されたセットをそのまま残しているらしい。


入り口には看板が掛けられているので入れないのか…?と思いきや、扉に鍵は掛けられていなかった。
奥の方からテレビの音が聞こえているが、営業中なのか休業日なのかよくわからない状態。勝手に入っちゃうぞ。
(後に調べたところによると、5月~9月の営業だったようです…。申し訳ありませんでした)


古い家電や自転車が雑多に置かれたなか、壁に『駅 STATION』の写真が展示されていた。
脚本:倉本聰、主演:高倉健という北海道映画にふさわしい最強タッグによる作品であるが、この場所は「すず子」という登場人物が働く食堂として使用された。撮影期間中、本来の「多田商店」(生活雑貨店)は営業を休止していたという。




その他、壁にはこんなポスターもあった。三菱車のプロモーション用の広告だったと思われる。
まだ50代と思しき高倉健、ギャランΣ、そして建て替え前の立派な増毛駅舎……。あまりにも渋い。



駅前のすぐ近くにある増毛港。
軽く散策していると、増毛駅に列車が入って行くのが見えた。
現在の時刻は午後3時、帰りの列車まであと40分ほどである。あの折り返しの列車に乗らなければいけない。

最後にぜひ見ておきたい場所があるので、これから急ぎ足で向かう事にする。
高台へしばらく上った所に、道内最大にして最古の木造校舎である「旧・増毛小学校」の建物が残っているというのだ。これを見なくては増毛町の過去の隆盛は感じられまい。


「旅館・富田屋」前の小さな通りを上っていく。
左手に駅の構内を見下ろす事ができ、先ほどやってきた1両編成の車両から人が出入りしているのが見える。
発車時刻に間に合うように、早く向かわなくては。



来た道を振り返ってみると、いかにも小さな港町らしい風景が広がっていた。
今にも高倉健が坂を上ってきそうだ。

旧・増毛小学校からも海が見えるのだろうか。楽しみだ。


次回、最終回。木造校舎の記憶。
続く。
コメント (3)
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