ホルマリンのマンネリ感

北海道在住、ホルマリンです。旅行、怪しい珍スポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、昭和レトロなどなど…。

青森ミステリー見聞録 その1

2020-11-04 21:19:48 | 旅行(道外)2020~
札幌から苫小牧に引っ越して来てから、はや2年が経過した。
2019年4月、当時の自分のブログには苫小牧での生活について「毎日が充実している」と書いている。

あのまま順調に進めば良かったのだが、中々どうして、人生そう上手くはいかないものだ。

昨年4月の「兵庫、岡山、広島珍スポットラリー」を終えてから約2週間後。
社内の別の部署への異動が急きょ言い渡された。

1年間で10人近くの社員が辞め続けている、それは酷い部署であった。
右も左も分からない状態のまま、それまで2人の社員が担当していた業務を私ひとりに押し付けられる状態でスタート。
もともと休みが少ない会社だというのに、休日にも鳴り響く緊急の電話。
万が一の時のために、1分1秒たりとも電話が手放せず、苫小牧市内から出られない状態。
夜中3時の電話にたたき起こされる。性格のひねくれたパワハラ上司。

何とも悲しいことに、転職前の職場よりも酷い状態が続き、またも精神的におかしくなってしまった。
心療内科に「重度うつ状態、要治療」と診断される始末。

私が1年近くブログから消えていたのは、上記の理由によるものである。


現在はだいぶん労働環境がましになり、適度にリフレッシュしながら業務を遂行出来ている状態ではある。
しかし、もう少し早く改善できたような様子であったし、過労を訴えた後の会社の対応について疑問が残る部分が多々ある。

この会社もそう長くは続けないだろう。
退職したら苫小牧を出るつもりだ。


さて、ようやく本記である。
この街を出る前に、どうしてもやっておきたいことがあった。
苫小牧港から出港するフェリーでの船旅である。

ご存知のように、苫小牧市は北海道で屈指の「海の玄関口」だ。
市内中心部から比較的近い場所に、青森、大洗、名古屋とを結ぶ「西港フェリーターミナル」、
市内東部の勇払に秋田、新潟、福井便が出る「東港フェリーターミナル」がある。

私はこれまで飛行機、自転車、車、鉄道とあらゆる手段で旅をしてきたが、船旅の経験はまだない。
仕事でターミナルへ赴く機会が何度かあり、フェリー内部に入らせてもらった事もあるのだが、
乗り物の中とは思えない広大で豪華なロビーを拝見し「一度利用してみたい」という思いを抱くようになった。

自家用車を積み込んで旅ができるというのが、また大きな魅力のひとつだ。
ドライブ好きの自分にとって、道外を愛車で走り回るのはどれほど楽しいことだろう。
こうして、2020年の新たな旅―、
愛車とフェリーで青森へ渡り、現地の摩訶可思議なスポットを巡るツアーの構想が膨らんでいった。


しかし、そんな中での新型コロナウイルス流行である。
コロナ禍に道外を旅行しようという気分にもなれず、一時は来年への延期も考えたのだが、
10月に入ってから突如3連休が取れそうな可能性が出てきた。
週休1日制がざらの弊社にとっては大変貴重なことである。今後いつ連休が取れるか分からない。

そして、約4年半を共にしてきたわが愛車のスズキエリオがそろそろ限界で、来年3月の車検でサヨナラの可能性が高い。
愛着のあるこの車と船旅が出来るのは、今が最後のチャンスかもしれない。
さらに調べてみると、どうやら件の「Go Toトラベルキャンペーン」が苫小牧~八戸のフェリーに適用されるらしいではないか。

道内で新型コロナの感染者が再拡大しつつあったが、上記の理由をつけて
連休の4日前に旅に出ることを決意した。


苫小牧~八戸間のフェリー(川崎近海汽船・シルバーフェリー)の場合、対象の旅行代理店を介して
予約を行った場合に限り「Go To」が適用される。
急いで市内の代理店に駆け込み、普通乗用車1台、2等客室のチケットをゲットした。
通常2万7000円のところ9000円割引となり、さらに苫小牧市内と青森で使える地域共通クーポン
が4000円ぶん給付され、思わずにやける。
クーポンは市内の対象店で30枚入りのマスク購入と、車のガソリン代に使用した。


2020年10月16日(金)。

出発当日である。夕方まで仕事後、運悪く会社の飲み会と重なってしまったが、
適当な理由をつけて午後9時半ごろに離脱。これから午後11時59分発のフェリーに乗船する。
10時半までに乗船手続きをしなければならないので、結構ギリギリだ。


10時ごろ、西港フェリーターミナルに到着。
乗船車両の待機スペースに車を停め、急いで建物内へ。
車のナンバーや車格を記入する慣れない乗船書に四苦八苦しながらも、何とかカウンターの乗船手続きが完了し一安心。


車へ戻り、誘導があるまで車内で待機。このご時世もあってか車はまばらだ。
ターミナルには乗船予定の川崎近海汽船「シルバーティアラ」が待機中。気分が高まる。



11時ごろ、いよいよ乗船の指示があり、バイクの後ろに続いて船内へ。
誘導員に従って数センチ程度まで詰めなければいけないのかと緊張していたが、普通の駐車場よりも間隔に余裕があり意外であった。
サイドブレーキを掛けるよう指示があり、車輪の四隅に車止めが噛ませられる。


エスカレーターで客室へと上がる。こちらは売店や談話スペースがある吹き抜けの中央スペース。
以前仕事で入った別会社の船よりはコンパクトだが、それでもホテルのロビーような清潔さがある。
この「シルバーティアラ」の客室は2階建てで、湯船のある浴室やゲームコーナーなどもある。


さっそく予約した2等客室へ。6ランクある客室の最安グレードで、1室に12人まで眠れるつくりになっている。
船旅で思い描いていた通りの「雑魚寝」スタイルだが、ロッカー完備だし、同室には他に2人しかおらず、思ったより快適そうだ。
部屋を出てすぐには、甲板を眺められるカウンター席もあり良い感じである。


午後11時59分、八戸行き「シルバーティアラ」は定刻通りにゆっくりと出港した。
せっかくなので甲板に出て、苫小牧へ別れを告げる。八戸港到着は翌17日の午前7時半。
約7時間半の船旅がついにスタートだ。

しばらく外の風景を楽しもうにも、沖へ出てしまうとただの漆黒の大海原である。
船内は出港前におおかた探検してしまったので、早々に寝ることにした。

マットレスに横になってみて気づいたのだが、船の揺れというよりもエンジンの振動が気になる。
小刻みなブルブルとした振動が全身に伝わり、なかなか落ち着かない。
しかし、時折感じる上下、左右の船体の揺れに「巨人の胸の上で寝てる感じだな…」とボンヤリ考えているうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。



翌朝、午前5時15分ごろに目が覚める。
船内のモニターを見てみると、現在、下北半島のすぐ東を順調に南下中のようだ。八戸まで残り約50キロといったところか。
明るくなるのを待って甲板へと出てみる。


あいにくの曇天だが、ずっと眺めてみたかった大海原のど真ん中からの景色である。
風は少し強めだが、思ったよりも寒くない。
しばらく向こうに下北半島が見える。明日の夕方ごろに向かい、最終日は半島の突端、もとい本州最北端の大間から出る津軽海峡フェリー(函館行き)で北海道へと帰る予定だ。




続く。
コメント (5)
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