ストレステストについての意見 2011.11.11 井野博満
1.従来枠組みのままでのストレステストの審議でよいのか
福島原発事故は、これまでの安全審査に不備があったことを如実に示した。すなわち、福島原発事故を防ぐことが出来なかった立地審査指針、耐震設計審査指針、安全設計審査指針、安全評価審査指針の内容的不備、および、これらに基づいて行われた具体的安全審査の不備を示すものである。これらの不備な内容の安全指針類の検討がなされない状態で、位置付けの不明なストレステストを実施することは安全性評価を混乱させることになる。
加えて問題なのは、ストレステスト評価の枠組みが、事業者がストレステストを実施・評価し、その結果を保安院が意見聴取会での検討を経て確認し、安全委員会がその妥当性を確認するという従来の安全審査と同じ枠組みになっていることである。このストレステストに関する意見聴取会を進めるに際して、まず重要なことは、原発に批判的な考えをもつ市民や地元住民をメンバーに加えるべきことである。現状では、メンバーがいわゆる専門家に限られている。メンバー構成の根本的な見直し・拡大を求める。
2.市民・住民の参加がなぜ必要か
今回の原発事故により、安全神話が崩壊し、原発のリスクがゼロでないばかりか過小評価されてきたことが明白になった。ストレステストが、リスクゼロ、すなわち、大事故は絶対に起きないことを証明するものでないことは明らかである。とするならば、ストレステストの結果が再稼働の条件として適切なものであるかどうかについて意見を述べ判断する主体は、被害を受ける可能性のある地域住民であって、いわゆる専門家はその助言をする立場であると考えるべきである。この意見聴取会のメンバーに市民・住民の参加を求めるゆえんである。
加えて、今まで安全審査に関わってきた専門家は、事業者の立場を代弁し、安全でないものを安全だと判断し、ときにはごまかしの論理を組み立ててきたという「実績」がある。
公正な立場で安全審査に携わってきたとはみなされていない。そういう負の歴史を踏まえる必要がある。
以上の理由から、ストレステストの審議プロセスに住民参加は不可欠である。意見聴取会のメンバーに市民・住民を加えるとともに、保安院のまとめ作成に際しては、公正な運営のもとでの公聴会を開催する必要がある。
3.ストレステストの位置づけについての疑問
枝野・海江田・細野三大臣署名の文書「我が国原子力発電所の安全性の確認について(ストレステストを参考にした安全評価の導入)」(平成23年7月11日)によれば、一次評価は、定期点検中の原発の運転再開の可否についての判断のために行い、二次評価は、すべての原発を対象に運転の継続または中止の判断のために行うとしている。しかし、これは論理的に矛盾している。福島原発事故を受け、安全審査の瑕疵が問題になったのであるから、本来ならばすべての原発の運転を停止し、一次・二次の区別なく検査を受けるべ
きである。
また、一次評価・二次評価の実施計画(保安院7月21日、参考3)において、二次評価の事業者報告は本年内(2011年12月末)を目処とするとされているが、一次評価の報告が11月初めにおいていまだに大飯3号機1件であることを考えると、一次評価と二次評価の時期は重なってきている。一次評価・二次評価は内容的に見ても連続しており区別して実施する意味はない。
そもそも、ストレステストが原発の運転の可否を判断するためのものであるならば、個別の原発ごとに可否を議論・判断するのでなく、運転継続を求めるすべての原発についてのストレステストが出そろったところで、横並びにして議論をすべきなのではなかろうか。そのようにして初めて、各原発の安全評価上の相対的位置が理解できると考える。つまり、すべての原発に危険性があると考えている私流の表現を使えば、「非常に危ない原発」と「かなり危ない原発」との位置関係が理解でき、廃炉にすべき原発の緊急性の順序が評価できると考える。
浜岡原発については、運転停止の措置が取られたが、同様の措置が必要と考えられる原発が数多くある。照射脆化の著しい玄海1号機などがその一例である。
4.ストレステストの判断基準が明確でない
このように一括して議論・判断すべきと考えるのは、ストレステストの審査基準・合否の判断基準はどこにおいているのか、まったく不明確だからである。明確な判断基準がない状態では、合否の判断が恣意的・主観的なものにならざるを得ない。そのような判断はすべきでない。1.で述べたように、安全指針の見直しが先行されるべきであって、それに基づいて安全基準が新たに作られるべきである。別の恣意的・主観的安全評価がなされるべきではない。ストレステストは、せいぜい、各原発の評価結果の比較を行うことにより、どの原発がより安全か(より危険か)という相対的な判断に役立つことでしかない。
5.福島原発事故原因についての知見を反映させることの必要性
政府の「事故調査・検証委員会」(畑村委員会)が調査を継続中であり、その中間報告が本年中にも出されると言われている。その中間報告で解明された事態を踏まえて、ストレステストは実施されねばならない。事故原因としては、津波による被害とともに、サイトをおそった地震動によって配管切断や機器の損傷があったのではないかと疑われている。
原子炉圧力容器の水位計指示や格納容器の圧力上昇の時間推移などがその可能性を強く示唆している。ストレステストはそれらの知見を踏まえねばならないと考える。
保安院の実施計画(7月21日、別添2)では、福島第一、第二原発についてはストレステストの実施計画から除くとしているが、東北地方太平洋沖地震で被災した原発もまたストレステストを実施すべきである。なぜならば、それら被災した原発についてストレステストを実施することは、事故原因解明に寄与しうるとともに、ストレステストの有効性を検証することになる。すなわち、ストレステストの結果が福島事故の現実を(完全ではないにしても)再現できるものでなければストレステストの意味をなさない。その意味では、これら被災原発に対するストレステストが、ほかの原発に先駆けて行われるべきである。東京電力、東北電力、日本原電各社に対し、それぞれ、福島第一・第二原発、女川原発
、東海第二原発のストレステストを早急におこなうよう保安院は申し入れるべきであると考える。
6.耐震安全性評価(耐震バックチェック)見直しの必要性
東北地方太平洋沖地震の誘発地震といわれる4月11日の福島県浜通りの地震(M7.0)の際、福島県の湯ノ岳断層が動いた。活断層とは認定されていなかったこの断層が動いたことを受けて、保安院は事業者に対し全国各地の原発近傍の断層についての調査を命じた。その結果は、いずれも活断層と認められないという回答であったが、その根拠は十分であろうか。住民を納得させるに足るものであろうか。これら断層が活断層である可能性を考慮してストレステストの前提となる基準地震動の大きさを見直し、再評価すべきではなかろうか。
例えば、10月末に提出された関西電力大飯3号機の報告書において、前提となる基準地震動についての説明が添付5-(1)-2にあるが、700ガルとされた基準地震動の信頼性やその評価の幅についてなんら記述がなく、敷地近傍の2本の海底活断層に連続して陸側の熊川活断層が動く可能性の評価もなされていない。また、敷地内には多数の断層が走っている。これらが動けば重要設備・機器の支持基盤が喪失する怖れがある。ストレステストという以上、懸念されている最大の地震が起こった場合の評価や断層が動いた場合の評価をし、その後の設備・機器の応答と組み合わせて全体像を明らかにすべきではないのか。
7.経年変化(老朽化)の現実を反映させることの必要性
ストレステストで実施される評価方法は、基本的に解析的手法(シミュレーション)であって、現実の設備・機器がどのような状態にあるかについて、現時点での調査・診断がなされないのではないかと懸念している。現実の原発は長期間の運転によって老朽化(高経年化)しており、運転開始時と同じ状態にあるわけではない。この現実を踏まえたストレステストでなければならない。
実施計画書(前出の別添2)には、「評価は、報告時点以前の任意の時点の施設と管理状態を対象に実施する」という説明文が書かれている。これは設備・機器の現実を取り入れて評価すると読めるが、「任意の時点」は「現時点」ではない。過去において実施した検査を踏まえるということであろうが、それは現時点で新しく設備・機器の検査などは実施する必要はないと言っていることになる。それは評価方法として不適当である。
30年を超えて運転を継続することを望む原発については、事業者は「高経年化技術評価書」を提出し、老朽化の現実について評価を受けることになっている。30年に満たない原発においても材料劣化などは当然起こっている。それら設備・機器の現実を現時点で調査し、その結果をストレステストに反映させるべきであると考える。
例えば、大飯3号機においては、2008年に原子炉圧力容器一次冷却水出口ノズルのセーフエンド溶接部に深さ20ミリを超えるひび割れが観測され、70ミリ厚の配管を工事認可申請書の記載を変更して53ミリまで削って運転を再開した。このような劣化個所が現在どのような状態になっているかの現状把握は安全上欠かせないと考える。しかし、今回提出されたストレステスト報告書には(見落としでなければ)この問題についての記述はない。
8.自然現象以外の外的事象も評価対象事象に加えるべきである
上記別添2の実施計画では、評価対象として自然現象(地震、津波)および安全機能の喪失(全交流電源喪失、最終ヒートシンクの喪失)を挙げている。しかし、それ以外の重大な事象として、航空機墜落や破壊工作、他国からの攻撃が懸念されている。そのような場合に大事故にならないための対策が必要である。
欧州原子力安全規制部会の声明(2011年5月13日)では、これらに関連する事象をEUストレステスト仕様書(アネックスⅠ)の範囲外としているが、同時に、安全保障上の脅威によるリスクに関しては、特別な作業部会を設けることをアネックスⅡとして同声明で提案している。日本においても、これにならう必要があると考える。
9.過酷事故にともなう被害とその緩和対策について評価することの必要性
過酷事故の可能性がゼロでない以上、その被害の大きさの評価とどのような被害緩和策が用意されているかの評価は不可欠である。その具体的予測が明らかにされて初めて、受忍可能なものであるかどうか、地域住民・自治体の判断が可能となる。事業者は、過酷事故発生後の放射能汚染の評価をも加えた報告書を作成すべきである。
ストレステスト第1回意見聴取会(2011年11月14日)に提出の意見書 アイリーンさんが翻訳
Comments on the Stress Test By Hiromitsu Ino (November 11, 2011)
1.Deliberation of the Stress Test in the Conventional Framework Is Not
Acceptable
The disaster at the Fukushima Daiichi nuclear power station has clearly shown
the presence of deficiencies in the previous safety reviews. The outbreak of the
disaster itself proved defects in the current safety review system as a whole
which consists of the review guidelines of siting, seismic design, safety
design, and safety assessment, as well as in the results of their application to
each plant. Conducting the stress test, whose meaning is yet unclear, while
consideration of these safety guidelines is still under way, will only bring
confusion to the assessment of safety.
It must also be pointed out that the framework of assessment of the stress
test is exactly the same as the conventional safety review. That is to say, the
stress test is conducted and assessed by the operators, the results of the
stress test confirmed by NISA (Nuclear and Industrial Safety Agency) after
consideration at the hearings and their plausibility confirmed by NSC (Nuclear
Safety Commission).
To date, the membership of the hearing panel is restricted to so-called
specialists. These specialists, who have been involved in safety reviews up to
now, have “track records” of acting as a mouthpiece of the operators, approving
safety where it is not, and making deceptive scenarios at times. Such a history
should not be forgotten. They cannot be conceived as fair reviewers.
2. Participation of Citizens and Residents Is Necessary
The disaster clearly showed that the risk of NPP is not zero at all but has
been underestimated. The safety myth has completely collapsed. It is clear that
the object of the stress test should not consist in proving “zero risk”, i.e.,
that severe plant accidents will never occur. Therefore, those who might suffer
the damage must be allowed to speak out and judge the appropriateness of the
stress test and the following resuming of operation. It is primarily important
to include representatives of the citizens and residents who are critical of
nuclear power plants as members.
A radical reshuffle of the members and enlargement of the membership of the
hearing panel are also needed. The so-called specialists should remain in the
position of advisers. The hearings must be conducted under fair management.
3.Questions about the procedure of the stress test
A governmental document entitled, “On confirmation of safety of our NPP
(Introduction of safety assessment employing the stress test),” signed by Edano,
Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) minister, Kaieda former METI
minister, and Nuclear Disaster Minister Hosono on July 11, 2011, states that a
primary assessment shall be conducted to decide whether or not to restart each
of the NPP undergoing regular periodical inspection, and that a secondary
assessment be conducted for all the remaining NPPs in Japan to judge whether or
not to allow continued operation. This is logically inconsistent. Because the
disaster has shown the deficiencies of the current safety assessment and review
system, the operation of all NPPs should first be stopped, and then the test
should be conducted on each of them, without differentiating into those two
categories.
The implementation plan of the primary and secondary assessments (NISA,
Reference 3, July 21) requests operators’ secondary assessment reports to be
submitted by the end of 2011. However, when considering that only one primary
assessment report (for Unit 3 of Oi NPP) has so far been submitted at this point
(first part of November 2011), the interval between primary and secondary
assessments is getting closer. Considering these facts and that, in any case,
the contents of the primary and secondary reports will be similar, they should
rather be conducted during the same period rather than separately.
If the objective of the stress test resides in making a final decision over
whether or not to allow operation of Japan’s NPPs, the assessment should not be
made separately on individual NPP, but by assessing all NPPs on a common basis,
after the results of all the stress tests on NPPs awaiting reopening are
submitted. It is only on this comparative approach that we can assess relative
position of each NPP in terms of safety. From my viewpoint that all the NPPs in
Japan are dangerous, such approach would allow us to know which NPPs are “fairly
dangerous” and which are “very dangerous,” thus giving the priority of the
plants to be decommissioned.
Operation was suspended at Hamaoka NPP, but there are many other NPPs that
need similar measures. The No.1 Unit of the Genkai NPP that shows serious
irradiation embrittlement is one such case.
4. Assessment criteria of the stress test are unclear
The reason why I insist on this comparative approach is that the criteria for
the stress test review and eventual decisions are completely unclear. Unclear
judgment criteria will only result in subjective, arbitrary decisions. This
situation must be avoided. As already discussed in comment1, a thorough revision
of the safety guideline should be made first, followed by development of a new
safety standard based on the revised guideline. Subjective and arbitrary safety
assessment should not be undertaken. The results of the stress test can only be
useful for comparing the relative safety (or danger) of each reactor.
5. Necessity to reflect the knowledge gained from causes of the Fukushima
Daiichi accident
The investigation of the Government’s “Inspection and survey committee of the
Fukushima nuclear accident” (a.k.a. Hatamura Committee) is under way, and its
preliminary report is expected to appear by the end of this year. The stress
test should be undertaken based on the new findings to be revealed in the
preliminary report. It is suspected that the ruptures in the pipes and damages
of equipment that lead to the nuclear disaster were caused not only by the
tsunami, but also by the preceding earthquake motion. Water gauge readings of
the nuclear reactor pressure vessel and transition of pressure rise in the
containment vessel both strongly suggest the possibility of the above scenario.
The stress test should reflect such knowledge.
NISA’s implementation plan (July 21, Reference 2) leaves out the Daiichi and
the Daini Fukushima NPPs from the plan, but NPPs hit by the earthquake off the
Pacific Coast of Tohoku (2011 Tohoku earthquake) should also be included in the
stress test, because it could help clarify the cause of the disaster and verify
the effectiveness of the test. The stress tests would be meaningless if it can’t
reproduce what actually (even if not perfectly) happened at the Fukushima
accident. In this sense, the stress test on the devastated NPPs should be
carried out first before undertaking it for the other reactors. NISA should
request TEPCO, Tohoku-Electric Power Co and Japan Atomic Power Company to
immediately conduct stress test for the Daiichi and the Daini Fukushima NPPs,
the Onagawa NPP, and the Tokai Daini NPP.
6. Necessity to revise seismic safety evaluation (seismic back-check)
The fault of Yunodake in Fukushima prefecture moved in the Hamadori Earthquake
(magnitude 7.0) on 11 April; this earthquake is believed to have been triggered
by the 11 March earthquake off the Pacific Coast of Tohoku). Because this fault
had not been acknowledged as an active fault, NISA instructed the operators to
re-inspect faults near NPPs in Japan. The operators answered that none were
active. Are these answers well founded? Are they convincing enough for the local
residents? Shouldn’t we revise and reassess the scale of the standard earthquake
motion which serves as a premise of the stress test based on the hypothesis that
these faults are active?
For instance, in the report of the stress test for Kansai Electric Power
Company’s Oi Unit 3 NPP submitted late October, there is a description of the
presumed standard earthquake motion (700 gal, Attachment 5-(1)-2). But there is
no mention either concerning its reliability or the range of the evaluation.
Neither is there any assessment concerning the possibility of the Kumagawa fault
which is connected to the two active submarine faults near the site moving.
There are many other faults running under the site. If these move, there is a
possibility of important facilities and equipment losing their support base. So
long as it is called a stress test, the test should include assessment of the
maximum earthquake that is considered possible to occur, and the possibility of
earthquake faults moving. The safety overview should be clarified with these
assumptions combined with the response of the facilities and equipment to this.
7. Necessity to reflect the reality of degradation (aging)
Assessment methods used in the stress test are basically analytical methods
(simulations). I have a concern that real-world surveys and diagnosis on the
situation of the actual facilities and equipment are not being performed. Most
of the NPPs are aged (degraded) by long period of operation and do not keep the
initial condition. The stress test must take this reality into consideration.
The implementation plan (July 21, Reference 2) states, “The assessment shall
be conducted on the condition and the management of the plant at any time before
the reporting period.” This could be read that the assessment is done on the
actual condition of the facilities and equipment, but “any time” is not the
“present time”. This then would probably mean that the stress test is based on
examination performed in the past. It means the operators do not have to conduct
new assessments on the present condition of their facilities and equipment. Such
an assessment method is inadequate.
Operators who wish to operate NPP over 30 years are to submit “Aging
technology evaluation report” and are to be assessed on the aging effect. But,
degradation of materials inevitably occurs even in plants that have operated for
less than 30 years. Therefore, the aging effect of facilities and equipment
should be checked and the results should be reflected on the specifications of
the stress test.
For instance, at Oi Unit 3 NPP in 2008, a crack greater than 20 mm deep was
observed at the safe-end welded section of the primary coolant exit nozzle from
the reactor pressure vessel. But operations were resumed by shaving off the
cracked portion and modifying the specification for the construction permit
application document for the pipe wall thickness from 70 mm to 53 mm*. It is
indispensable to check the present state of such degraded points, but this seems
not to be the case (as far as I can see) with the recently submitted
specifications of the stress test.
8. External events other than natural disasters should be covered by the test
The abovementioned implementation plan (Reference 2) refers in its scope to
extreme natural events (earthquake, tsunami) and failure of safety functions
(station black-out, loss of ultimate heat sink). But there exist other critical
events, such as airplane crash, terrorist attack and military attack from other
countries. Defense measures are needed to prevent disasters caused by such
threats.
The declaration of ENSREG on May 13, 2011 excludes these external events from
the stress test specifications described in Annex I, but also proposes, in Annex
II, to set up a special working group on risks caused by security threats. This
should also be undertaken in Japan as well.
9. Necessity to evaluate the damage of, and the possible mitigation measures
for severe nuclear accidents
As the risk of a severe accident cannot be zero, it is essential to evaluate
the extent of the anticipated damage and the possible measures to mitigate the
damage. It is only by knowing the dimension of the damage that a sever nuclear
accident could incur that the residents and local governments can estimate the
acceptability of the operation of NPPs. Operators should make such a report, and
include in it damage caused by radioactive contamination following such an
accident.
----
*Translator’s note: The actual thickness of the pipe wall had been 74.6mm. The
crack was 20.3mm thick.
1.従来枠組みのままでのストレステストの審議でよいのか
福島原発事故は、これまでの安全審査に不備があったことを如実に示した。すなわち、福島原発事故を防ぐことが出来なかった立地審査指針、耐震設計審査指針、安全設計審査指針、安全評価審査指針の内容的不備、および、これらに基づいて行われた具体的安全審査の不備を示すものである。これらの不備な内容の安全指針類の検討がなされない状態で、位置付けの不明なストレステストを実施することは安全性評価を混乱させることになる。
加えて問題なのは、ストレステスト評価の枠組みが、事業者がストレステストを実施・評価し、その結果を保安院が意見聴取会での検討を経て確認し、安全委員会がその妥当性を確認するという従来の安全審査と同じ枠組みになっていることである。このストレステストに関する意見聴取会を進めるに際して、まず重要なことは、原発に批判的な考えをもつ市民や地元住民をメンバーに加えるべきことである。現状では、メンバーがいわゆる専門家に限られている。メンバー構成の根本的な見直し・拡大を求める。
2.市民・住民の参加がなぜ必要か
今回の原発事故により、安全神話が崩壊し、原発のリスクがゼロでないばかりか過小評価されてきたことが明白になった。ストレステストが、リスクゼロ、すなわち、大事故は絶対に起きないことを証明するものでないことは明らかである。とするならば、ストレステストの結果が再稼働の条件として適切なものであるかどうかについて意見を述べ判断する主体は、被害を受ける可能性のある地域住民であって、いわゆる専門家はその助言をする立場であると考えるべきである。この意見聴取会のメンバーに市民・住民の参加を求めるゆえんである。
加えて、今まで安全審査に関わってきた専門家は、事業者の立場を代弁し、安全でないものを安全だと判断し、ときにはごまかしの論理を組み立ててきたという「実績」がある。
公正な立場で安全審査に携わってきたとはみなされていない。そういう負の歴史を踏まえる必要がある。
以上の理由から、ストレステストの審議プロセスに住民参加は不可欠である。意見聴取会のメンバーに市民・住民を加えるとともに、保安院のまとめ作成に際しては、公正な運営のもとでの公聴会を開催する必要がある。
3.ストレステストの位置づけについての疑問
枝野・海江田・細野三大臣署名の文書「我が国原子力発電所の安全性の確認について(ストレステストを参考にした安全評価の導入)」(平成23年7月11日)によれば、一次評価は、定期点検中の原発の運転再開の可否についての判断のために行い、二次評価は、すべての原発を対象に運転の継続または中止の判断のために行うとしている。しかし、これは論理的に矛盾している。福島原発事故を受け、安全審査の瑕疵が問題になったのであるから、本来ならばすべての原発の運転を停止し、一次・二次の区別なく検査を受けるべ
きである。
また、一次評価・二次評価の実施計画(保安院7月21日、参考3)において、二次評価の事業者報告は本年内(2011年12月末)を目処とするとされているが、一次評価の報告が11月初めにおいていまだに大飯3号機1件であることを考えると、一次評価と二次評価の時期は重なってきている。一次評価・二次評価は内容的に見ても連続しており区別して実施する意味はない。
そもそも、ストレステストが原発の運転の可否を判断するためのものであるならば、個別の原発ごとに可否を議論・判断するのでなく、運転継続を求めるすべての原発についてのストレステストが出そろったところで、横並びにして議論をすべきなのではなかろうか。そのようにして初めて、各原発の安全評価上の相対的位置が理解できると考える。つまり、すべての原発に危険性があると考えている私流の表現を使えば、「非常に危ない原発」と「かなり危ない原発」との位置関係が理解でき、廃炉にすべき原発の緊急性の順序が評価できると考える。
浜岡原発については、運転停止の措置が取られたが、同様の措置が必要と考えられる原発が数多くある。照射脆化の著しい玄海1号機などがその一例である。
4.ストレステストの判断基準が明確でない
このように一括して議論・判断すべきと考えるのは、ストレステストの審査基準・合否の判断基準はどこにおいているのか、まったく不明確だからである。明確な判断基準がない状態では、合否の判断が恣意的・主観的なものにならざるを得ない。そのような判断はすべきでない。1.で述べたように、安全指針の見直しが先行されるべきであって、それに基づいて安全基準が新たに作られるべきである。別の恣意的・主観的安全評価がなされるべきではない。ストレステストは、せいぜい、各原発の評価結果の比較を行うことにより、どの原発がより安全か(より危険か)という相対的な判断に役立つことでしかない。
5.福島原発事故原因についての知見を反映させることの必要性
政府の「事故調査・検証委員会」(畑村委員会)が調査を継続中であり、その中間報告が本年中にも出されると言われている。その中間報告で解明された事態を踏まえて、ストレステストは実施されねばならない。事故原因としては、津波による被害とともに、サイトをおそった地震動によって配管切断や機器の損傷があったのではないかと疑われている。
原子炉圧力容器の水位計指示や格納容器の圧力上昇の時間推移などがその可能性を強く示唆している。ストレステストはそれらの知見を踏まえねばならないと考える。
保安院の実施計画(7月21日、別添2)では、福島第一、第二原発についてはストレステストの実施計画から除くとしているが、東北地方太平洋沖地震で被災した原発もまたストレステストを実施すべきである。なぜならば、それら被災した原発についてストレステストを実施することは、事故原因解明に寄与しうるとともに、ストレステストの有効性を検証することになる。すなわち、ストレステストの結果が福島事故の現実を(完全ではないにしても)再現できるものでなければストレステストの意味をなさない。その意味では、これら被災原発に対するストレステストが、ほかの原発に先駆けて行われるべきである。東京電力、東北電力、日本原電各社に対し、それぞれ、福島第一・第二原発、女川原発
、東海第二原発のストレステストを早急におこなうよう保安院は申し入れるべきであると考える。
6.耐震安全性評価(耐震バックチェック)見直しの必要性
東北地方太平洋沖地震の誘発地震といわれる4月11日の福島県浜通りの地震(M7.0)の際、福島県の湯ノ岳断層が動いた。活断層とは認定されていなかったこの断層が動いたことを受けて、保安院は事業者に対し全国各地の原発近傍の断層についての調査を命じた。その結果は、いずれも活断層と認められないという回答であったが、その根拠は十分であろうか。住民を納得させるに足るものであろうか。これら断層が活断層である可能性を考慮してストレステストの前提となる基準地震動の大きさを見直し、再評価すべきではなかろうか。
例えば、10月末に提出された関西電力大飯3号機の報告書において、前提となる基準地震動についての説明が添付5-(1)-2にあるが、700ガルとされた基準地震動の信頼性やその評価の幅についてなんら記述がなく、敷地近傍の2本の海底活断層に連続して陸側の熊川活断層が動く可能性の評価もなされていない。また、敷地内には多数の断層が走っている。これらが動けば重要設備・機器の支持基盤が喪失する怖れがある。ストレステストという以上、懸念されている最大の地震が起こった場合の評価や断層が動いた場合の評価をし、その後の設備・機器の応答と組み合わせて全体像を明らかにすべきではないのか。
7.経年変化(老朽化)の現実を反映させることの必要性
ストレステストで実施される評価方法は、基本的に解析的手法(シミュレーション)であって、現実の設備・機器がどのような状態にあるかについて、現時点での調査・診断がなされないのではないかと懸念している。現実の原発は長期間の運転によって老朽化(高経年化)しており、運転開始時と同じ状態にあるわけではない。この現実を踏まえたストレステストでなければならない。
実施計画書(前出の別添2)には、「評価は、報告時点以前の任意の時点の施設と管理状態を対象に実施する」という説明文が書かれている。これは設備・機器の現実を取り入れて評価すると読めるが、「任意の時点」は「現時点」ではない。過去において実施した検査を踏まえるということであろうが、それは現時点で新しく設備・機器の検査などは実施する必要はないと言っていることになる。それは評価方法として不適当である。
30年を超えて運転を継続することを望む原発については、事業者は「高経年化技術評価書」を提出し、老朽化の現実について評価を受けることになっている。30年に満たない原発においても材料劣化などは当然起こっている。それら設備・機器の現実を現時点で調査し、その結果をストレステストに反映させるべきであると考える。
例えば、大飯3号機においては、2008年に原子炉圧力容器一次冷却水出口ノズルのセーフエンド溶接部に深さ20ミリを超えるひび割れが観測され、70ミリ厚の配管を工事認可申請書の記載を変更して53ミリまで削って運転を再開した。このような劣化個所が現在どのような状態になっているかの現状把握は安全上欠かせないと考える。しかし、今回提出されたストレステスト報告書には(見落としでなければ)この問題についての記述はない。
8.自然現象以外の外的事象も評価対象事象に加えるべきである
上記別添2の実施計画では、評価対象として自然現象(地震、津波)および安全機能の喪失(全交流電源喪失、最終ヒートシンクの喪失)を挙げている。しかし、それ以外の重大な事象として、航空機墜落や破壊工作、他国からの攻撃が懸念されている。そのような場合に大事故にならないための対策が必要である。
欧州原子力安全規制部会の声明(2011年5月13日)では、これらに関連する事象をEUストレステスト仕様書(アネックスⅠ)の範囲外としているが、同時に、安全保障上の脅威によるリスクに関しては、特別な作業部会を設けることをアネックスⅡとして同声明で提案している。日本においても、これにならう必要があると考える。
9.過酷事故にともなう被害とその緩和対策について評価することの必要性
過酷事故の可能性がゼロでない以上、その被害の大きさの評価とどのような被害緩和策が用意されているかの評価は不可欠である。その具体的予測が明らかにされて初めて、受忍可能なものであるかどうか、地域住民・自治体の判断が可能となる。事業者は、過酷事故発生後の放射能汚染の評価をも加えた報告書を作成すべきである。
ストレステスト第1回意見聴取会(2011年11月14日)に提出の意見書 アイリーンさんが翻訳
Comments on the Stress Test By Hiromitsu Ino (November 11, 2011)
1.Deliberation of the Stress Test in the Conventional Framework Is Not
Acceptable
The disaster at the Fukushima Daiichi nuclear power station has clearly shown
the presence of deficiencies in the previous safety reviews. The outbreak of the
disaster itself proved defects in the current safety review system as a whole
which consists of the review guidelines of siting, seismic design, safety
design, and safety assessment, as well as in the results of their application to
each plant. Conducting the stress test, whose meaning is yet unclear, while
consideration of these safety guidelines is still under way, will only bring
confusion to the assessment of safety.
It must also be pointed out that the framework of assessment of the stress
test is exactly the same as the conventional safety review. That is to say, the
stress test is conducted and assessed by the operators, the results of the
stress test confirmed by NISA (Nuclear and Industrial Safety Agency) after
consideration at the hearings and their plausibility confirmed by NSC (Nuclear
Safety Commission).
To date, the membership of the hearing panel is restricted to so-called
specialists. These specialists, who have been involved in safety reviews up to
now, have “track records” of acting as a mouthpiece of the operators, approving
safety where it is not, and making deceptive scenarios at times. Such a history
should not be forgotten. They cannot be conceived as fair reviewers.
2. Participation of Citizens and Residents Is Necessary
The disaster clearly showed that the risk of NPP is not zero at all but has
been underestimated. The safety myth has completely collapsed. It is clear that
the object of the stress test should not consist in proving “zero risk”, i.e.,
that severe plant accidents will never occur. Therefore, those who might suffer
the damage must be allowed to speak out and judge the appropriateness of the
stress test and the following resuming of operation. It is primarily important
to include representatives of the citizens and residents who are critical of
nuclear power plants as members.
A radical reshuffle of the members and enlargement of the membership of the
hearing panel are also needed. The so-called specialists should remain in the
position of advisers. The hearings must be conducted under fair management.
3.Questions about the procedure of the stress test
A governmental document entitled, “On confirmation of safety of our NPP
(Introduction of safety assessment employing the stress test),” signed by Edano,
Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) minister, Kaieda former METI
minister, and Nuclear Disaster Minister Hosono on July 11, 2011, states that a
primary assessment shall be conducted to decide whether or not to restart each
of the NPP undergoing regular periodical inspection, and that a secondary
assessment be conducted for all the remaining NPPs in Japan to judge whether or
not to allow continued operation. This is logically inconsistent. Because the
disaster has shown the deficiencies of the current safety assessment and review
system, the operation of all NPPs should first be stopped, and then the test
should be conducted on each of them, without differentiating into those two
categories.
The implementation plan of the primary and secondary assessments (NISA,
Reference 3, July 21) requests operators’ secondary assessment reports to be
submitted by the end of 2011. However, when considering that only one primary
assessment report (for Unit 3 of Oi NPP) has so far been submitted at this point
(first part of November 2011), the interval between primary and secondary
assessments is getting closer. Considering these facts and that, in any case,
the contents of the primary and secondary reports will be similar, they should
rather be conducted during the same period rather than separately.
If the objective of the stress test resides in making a final decision over
whether or not to allow operation of Japan’s NPPs, the assessment should not be
made separately on individual NPP, but by assessing all NPPs on a common basis,
after the results of all the stress tests on NPPs awaiting reopening are
submitted. It is only on this comparative approach that we can assess relative
position of each NPP in terms of safety. From my viewpoint that all the NPPs in
Japan are dangerous, such approach would allow us to know which NPPs are “fairly
dangerous” and which are “very dangerous,” thus giving the priority of the
plants to be decommissioned.
Operation was suspended at Hamaoka NPP, but there are many other NPPs that
need similar measures. The No.1 Unit of the Genkai NPP that shows serious
irradiation embrittlement is one such case.
4. Assessment criteria of the stress test are unclear
The reason why I insist on this comparative approach is that the criteria for
the stress test review and eventual decisions are completely unclear. Unclear
judgment criteria will only result in subjective, arbitrary decisions. This
situation must be avoided. As already discussed in comment1, a thorough revision
of the safety guideline should be made first, followed by development of a new
safety standard based on the revised guideline. Subjective and arbitrary safety
assessment should not be undertaken. The results of the stress test can only be
useful for comparing the relative safety (or danger) of each reactor.
5. Necessity to reflect the knowledge gained from causes of the Fukushima
Daiichi accident
The investigation of the Government’s “Inspection and survey committee of the
Fukushima nuclear accident” (a.k.a. Hatamura Committee) is under way, and its
preliminary report is expected to appear by the end of this year. The stress
test should be undertaken based on the new findings to be revealed in the
preliminary report. It is suspected that the ruptures in the pipes and damages
of equipment that lead to the nuclear disaster were caused not only by the
tsunami, but also by the preceding earthquake motion. Water gauge readings of
the nuclear reactor pressure vessel and transition of pressure rise in the
containment vessel both strongly suggest the possibility of the above scenario.
The stress test should reflect such knowledge.
NISA’s implementation plan (July 21, Reference 2) leaves out the Daiichi and
the Daini Fukushima NPPs from the plan, but NPPs hit by the earthquake off the
Pacific Coast of Tohoku (2011 Tohoku earthquake) should also be included in the
stress test, because it could help clarify the cause of the disaster and verify
the effectiveness of the test. The stress tests would be meaningless if it can’t
reproduce what actually (even if not perfectly) happened at the Fukushima
accident. In this sense, the stress test on the devastated NPPs should be
carried out first before undertaking it for the other reactors. NISA should
request TEPCO, Tohoku-Electric Power Co and Japan Atomic Power Company to
immediately conduct stress test for the Daiichi and the Daini Fukushima NPPs,
the Onagawa NPP, and the Tokai Daini NPP.
6. Necessity to revise seismic safety evaluation (seismic back-check)
The fault of Yunodake in Fukushima prefecture moved in the Hamadori Earthquake
(magnitude 7.0) on 11 April; this earthquake is believed to have been triggered
by the 11 March earthquake off the Pacific Coast of Tohoku). Because this fault
had not been acknowledged as an active fault, NISA instructed the operators to
re-inspect faults near NPPs in Japan. The operators answered that none were
active. Are these answers well founded? Are they convincing enough for the local
residents? Shouldn’t we revise and reassess the scale of the standard earthquake
motion which serves as a premise of the stress test based on the hypothesis that
these faults are active?
For instance, in the report of the stress test for Kansai Electric Power
Company’s Oi Unit 3 NPP submitted late October, there is a description of the
presumed standard earthquake motion (700 gal, Attachment 5-(1)-2). But there is
no mention either concerning its reliability or the range of the evaluation.
Neither is there any assessment concerning the possibility of the Kumagawa fault
which is connected to the two active submarine faults near the site moving.
There are many other faults running under the site. If these move, there is a
possibility of important facilities and equipment losing their support base. So
long as it is called a stress test, the test should include assessment of the
maximum earthquake that is considered possible to occur, and the possibility of
earthquake faults moving. The safety overview should be clarified with these
assumptions combined with the response of the facilities and equipment to this.
7. Necessity to reflect the reality of degradation (aging)
Assessment methods used in the stress test are basically analytical methods
(simulations). I have a concern that real-world surveys and diagnosis on the
situation of the actual facilities and equipment are not being performed. Most
of the NPPs are aged (degraded) by long period of operation and do not keep the
initial condition. The stress test must take this reality into consideration.
The implementation plan (July 21, Reference 2) states, “The assessment shall
be conducted on the condition and the management of the plant at any time before
the reporting period.” This could be read that the assessment is done on the
actual condition of the facilities and equipment, but “any time” is not the
“present time”. This then would probably mean that the stress test is based on
examination performed in the past. It means the operators do not have to conduct
new assessments on the present condition of their facilities and equipment. Such
an assessment method is inadequate.
Operators who wish to operate NPP over 30 years are to submit “Aging
technology evaluation report” and are to be assessed on the aging effect. But,
degradation of materials inevitably occurs even in plants that have operated for
less than 30 years. Therefore, the aging effect of facilities and equipment
should be checked and the results should be reflected on the specifications of
the stress test.
For instance, at Oi Unit 3 NPP in 2008, a crack greater than 20 mm deep was
observed at the safe-end welded section of the primary coolant exit nozzle from
the reactor pressure vessel. But operations were resumed by shaving off the
cracked portion and modifying the specification for the construction permit
application document for the pipe wall thickness from 70 mm to 53 mm*. It is
indispensable to check the present state of such degraded points, but this seems
not to be the case (as far as I can see) with the recently submitted
specifications of the stress test.
8. External events other than natural disasters should be covered by the test
The abovementioned implementation plan (Reference 2) refers in its scope to
extreme natural events (earthquake, tsunami) and failure of safety functions
(station black-out, loss of ultimate heat sink). But there exist other critical
events, such as airplane crash, terrorist attack and military attack from other
countries. Defense measures are needed to prevent disasters caused by such
threats.
The declaration of ENSREG on May 13, 2011 excludes these external events from
the stress test specifications described in Annex I, but also proposes, in Annex
II, to set up a special working group on risks caused by security threats. This
should also be undertaken in Japan as well.
9. Necessity to evaluate the damage of, and the possible mitigation measures
for severe nuclear accidents
As the risk of a severe accident cannot be zero, it is essential to evaluate
the extent of the anticipated damage and the possible measures to mitigate the
damage. It is only by knowing the dimension of the damage that a sever nuclear
accident could incur that the residents and local governments can estimate the
acceptability of the operation of NPPs. Operators should make such a report, and
include in it damage caused by radioactive contamination following such an
accident.
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*Translator’s note: The actual thickness of the pipe wall had been 74.6mm. The
crack was 20.3mm thick.