日本ユーラシア協会広島支部ニュース2022年3月30日
【2022年度ロシア語能力検定試験】
5月29日(日)広島市東区民文化センターで実施されます。
https://www.tokyorus.ac.jp/kentei/ 申し込み期間は3月15日~4月15日です。
【全国総会開会について】
◎第58回全国総会開催日程のお知らせ
日時:2022年6月18日(土)14時から3時間程度(場合によって延長有り)
◎全国理事会のお知らせ 日時:5月14日(土)14時~16時オンライン(Zoom)※前回同様、オンライン参加の難しい方のため、東京ロシア語学院2階に会場を設けます。.
◎ブロック会議設定のお願い。支部連合会は3月、4月で会議日程を設定し、本部までご連絡ください。
【第22回国際フェスタ・ボルゴグラードの日特別企画開催】
大木毅さん講演「絶滅に抗した町 ~ スターリングラード戦の歴史的意味 ~」(内容4回の内3回目。)
( 国際フェスタ2021 2021年11月21日)
2.「青号」作戦
①資源重視の戦略
1942年の戦略目標は、政治・工業の中心であるモスクワか、南部ロシアの資源地帯(とくにコーカサスの石油)か。1941年の作戦で消耗したドイツ軍には二兎を追うことができない。ヒトラーは後者を選ぶ。1942年4月1日、総統指令第四一号が発せられ、1942年の攻勢、「青号」作戦を定める。「まず第一に、南方戦域での主作戦のため、使用し得る戦力のすべてを集中すべし。目的は、ドン側前方の敵を殲滅、しかるのちにコーカサスの油田およびコーカサス山脈を越える通路までも確保することである」。
「青号」作戦がはらんでいた作戦的な問題。遠心的な前進軸で、攻勢が進むほど、異なる方向に兵力を分散している。そこで反攻を受ける危険を避けるために、第一段階でドン側流域にあるソ連軍主力を殲滅することとされていた。また、それが成功したなら、必ずしもスターリングラードを占領する必要はなく、火砲の射程下に置いて、ヴォルガ川の水運を断つだけでよいとされていた。
②重要目標となったスターリングラード
1942年6月28日、ドイツ軍攻勢発動。事故により、ドイツ側の作戦計画を入手していたにもかかわらず、ドイツ軍は前年同様にモスクワをめざすものと確信していたソ連側は奇襲を受けることとなった。しかしながら、初期段階でソ連軍主力を殲滅し、以後の進撃を安全たらしめるというドイツ軍の企図は実現できなかった。ソ連軍は、前年の戦訓より、いっさい退かないという方針から、不利な場合には適宜退却することにしていたのである。しかし、ヒトラーはソ連軍は潰滅したと判断し、7月22日に総統指令第四五号を下達。「一週間余の戦役で、私が東部戦線南翼に授けた広範な諸目標が、おおむね達成された」。攻勢を実行していた南方軍集団をA軍集団とB軍集団に分割。前者はコーカサスに突進、油田を占領するものとされ、後者はスターリングラードの占領ならびにドン川ならびにヴォルガ川流域の陸上・水上交通の遮断を命じられた。制圧するだけで充分だったはずのスターリングラードが重要目標としてクローズアップされる。「スターリンの町」を占領することの政治的・プロパガンダ的な意義。8月23日、第六軍(フリードリヒ・パウルス大将)を主力とするB軍集団、攻勢を再開。同日午後、ドイツ軍先鋒はスターリングラード市北縁部を抜けて、ヴォルガ川に達する。ソ連側も、ドイツ軍の主攻はスターリングラードに向けられていると判断、同市を死守する意思を固める。7月28日、スターリンは、ソ連邦国防人民委員令第二二七号を公布。「これ以上の後退は、諸君の破滅を意味し、しかも、それは祖国の破滅につながる。一歩も退くな!」(次回で完結します。)
【ウクライナ情勢で協会会長・理事長談話】
2月17日(前回紹介)に続いて2月25日日本ユーラシア協会談話を発表しました。詳細は「日本とユーラシア」第1537号2022年3月15日をご覧下さい。
[日本原水協の手紙]協会本部より本文が回送されました。「日本原水協は本日、添付の手紙を在日ロシア大使館にメールとFAXで送付しました。よろしくご査収ください。全文は以下の通りです。
ロシア連邦大統領への手紙
ウクライナ東部地域の「独立」承認の取り消しとロシア軍の派兵指令の撤回を強く求めます
ウラジーミル・プーチン殿
貴職は、2月21日(日本時間22日未明)、ウクライナ東部地域で親ロシア勢力が「独立」宣言をしている二つの地域を独立国と承認し、両地域へのロシア軍の派兵を指示する大統領令を発しました。
これは、国連加盟国の主権、独立、領土の尊重、武力による威嚇の禁止を明記している国連憲章に反し、貴国も合意したウクライナ東部問題の平和的解決のために関係国間で結ばれたミンスク合意(2014年、15年)を踏みにじるもので、国際社会で許されない違法行為です。ウクライナ問題は、外部からの干渉なしに、時間はかかってもウクライナの国民自身によって平和的に解決されるべきです。私たちは、二つの地域の「独立」承認と派兵指令のすみやかな撤回を強く求めるものです。併せて、被爆国の運動として見過ごすことができないのは、貴職が2月19日に直接指揮した軍事演習において、核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイルや極超音速ミサイルを発射したことです。これは、軍事的緊張をさらに高め、核の応酬へとエスカレートしかねない危険な行為です。核兵器の使用とその威嚇につながるいかなる行動も行わないよう強く求めます。
核戦争を「戦ってはならない」(1月3日、五大国共同声明)と言うならば、核戦争の準備を直ちにやめ、核兵器の禁止・廃絶に踏み出すべきです。
2022年2月24日 原水爆禁止日本協議会」
[この間の若干の経緯]
ロシア連邦大統領は2月21日(日本時間22日未明)、ウクライナ東部地域で親ロシア勢力が「独立」宣言をしている二つの地域を独立国と承認し、両地域へのロシア軍の派兵を指示する大統領令を発しました。2014年・2015年の停戦のためのミンスク合意は事実上存在しなくなりました。ウクライナ東部地域での紛争(ドンバス紛争)は2022年2月24日以降、国内戦から国際的なもの(ロシア側が特別軍事作戦・行動、ウクライナ側が宣戦布告)となり、戦闘はウクライナ全土に拡大し、悲惨さと過酷さを増しています。2014年4月ヤヌコビッチ大統領ウクライナ政府転覆・辞任の後、ドンバス地域は、1922年ソ連邦成立時にロシアからウクライナに編入された地域の分離独立の動きと相まって、戦闘が続いていました。国連によると、2019年11月時点で武力衝突の際に死者13、000人以上、約30万人が負傷した。また130万人が国内避難民になり、300万人が助けを必要とするとされていました。民間人の犠牲について、2019年12月12日,ボグナー国連人権監視ミッション団長は,ドンバス紛争開始以降の民間人の被害は,死者が3、344人,負傷者が7千人超となった旨発表しています。2022年2月24日~3月21日の戦闘では子どもを含め民間犠牲者は902人に上っています(国連発表)。2014年4月ヤヌコビッチ大統領政府転覆・辞任後の紛争は2014年9月5日ウクライナ、ロシア、ドネツク、ルガンスクがミンスク議定書に調印(合意1)、2015年2月11日ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランス4か国がドンバス紛争の停戦、欧州安全保障機構による監視を合意(合意2)。しかし2019年12月10日,ウクライナ国家捜査局(ゼレンスキー大統領2019年4月~)は,2015年2月のミンスク包括措置(合意)に署名したポロシェンコ前大統領(任期2014年~2019年)を国家反逆罪容疑で登録しました。[写真は中国新聞2022年2月25日 8年間のウクライナ東部の戦闘を伝える記事]
【学習会・講演会のご案内】
①4月24日(日)10時~12時(オンライン)広島県保険医協会市民公開講演会 斎藤幸平さん「人新世の資本論とこれからの豊かさ」
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_COdQlzkuTVKLCw460vvwCA(QRは右上)
②4月30日(土)広島弁護士会館3階「標的」上映&トーク ・1回目上映13時 ・トーク(植村隆さん「言論人としてこれからも闘う」)14時55分 ・2回目上映16時40分 参加費1000円
③5・3憲法記念日講演会5月3日10時~12時 広島弁護士会館 佐々木ひろしさん「野党共闘をどう進める」500円
【2022年度ロシア語能力検定試験】
5月29日(日)広島市東区民文化センターで実施されます。
https://www.tokyorus.ac.jp/kentei/ 申し込み期間は3月15日~4月15日です。
【全国総会開会について】
◎第58回全国総会開催日程のお知らせ
日時:2022年6月18日(土)14時から3時間程度(場合によって延長有り)
◎全国理事会のお知らせ 日時:5月14日(土)14時~16時オンライン(Zoom)※前回同様、オンライン参加の難しい方のため、東京ロシア語学院2階に会場を設けます。.
◎ブロック会議設定のお願い。支部連合会は3月、4月で会議日程を設定し、本部までご連絡ください。
【第22回国際フェスタ・ボルゴグラードの日特別企画開催】
大木毅さん講演「絶滅に抗した町 ~ スターリングラード戦の歴史的意味 ~」(内容4回の内3回目。)
( 国際フェスタ2021 2021年11月21日)
2.「青号」作戦
①資源重視の戦略
1942年の戦略目標は、政治・工業の中心であるモスクワか、南部ロシアの資源地帯(とくにコーカサスの石油)か。1941年の作戦で消耗したドイツ軍には二兎を追うことができない。ヒトラーは後者を選ぶ。1942年4月1日、総統指令第四一号が発せられ、1942年の攻勢、「青号」作戦を定める。「まず第一に、南方戦域での主作戦のため、使用し得る戦力のすべてを集中すべし。目的は、ドン側前方の敵を殲滅、しかるのちにコーカサスの油田およびコーカサス山脈を越える通路までも確保することである」。
「青号」作戦がはらんでいた作戦的な問題。遠心的な前進軸で、攻勢が進むほど、異なる方向に兵力を分散している。そこで反攻を受ける危険を避けるために、第一段階でドン側流域にあるソ連軍主力を殲滅することとされていた。また、それが成功したなら、必ずしもスターリングラードを占領する必要はなく、火砲の射程下に置いて、ヴォルガ川の水運を断つだけでよいとされていた。
②重要目標となったスターリングラード
1942年6月28日、ドイツ軍攻勢発動。事故により、ドイツ側の作戦計画を入手していたにもかかわらず、ドイツ軍は前年同様にモスクワをめざすものと確信していたソ連側は奇襲を受けることとなった。しかしながら、初期段階でソ連軍主力を殲滅し、以後の進撃を安全たらしめるというドイツ軍の企図は実現できなかった。ソ連軍は、前年の戦訓より、いっさい退かないという方針から、不利な場合には適宜退却することにしていたのである。しかし、ヒトラーはソ連軍は潰滅したと判断し、7月22日に総統指令第四五号を下達。「一週間余の戦役で、私が東部戦線南翼に授けた広範な諸目標が、おおむね達成された」。攻勢を実行していた南方軍集団をA軍集団とB軍集団に分割。前者はコーカサスに突進、油田を占領するものとされ、後者はスターリングラードの占領ならびにドン川ならびにヴォルガ川流域の陸上・水上交通の遮断を命じられた。制圧するだけで充分だったはずのスターリングラードが重要目標としてクローズアップされる。「スターリンの町」を占領することの政治的・プロパガンダ的な意義。8月23日、第六軍(フリードリヒ・パウルス大将)を主力とするB軍集団、攻勢を再開。同日午後、ドイツ軍先鋒はスターリングラード市北縁部を抜けて、ヴォルガ川に達する。ソ連側も、ドイツ軍の主攻はスターリングラードに向けられていると判断、同市を死守する意思を固める。7月28日、スターリンは、ソ連邦国防人民委員令第二二七号を公布。「これ以上の後退は、諸君の破滅を意味し、しかも、それは祖国の破滅につながる。一歩も退くな!」(次回で完結します。)
【ウクライナ情勢で協会会長・理事長談話】
2月17日(前回紹介)に続いて2月25日日本ユーラシア協会談話を発表しました。詳細は「日本とユーラシア」第1537号2022年3月15日をご覧下さい。
[日本原水協の手紙]協会本部より本文が回送されました。「日本原水協は本日、添付の手紙を在日ロシア大使館にメールとFAXで送付しました。よろしくご査収ください。全文は以下の通りです。
ロシア連邦大統領への手紙
ウクライナ東部地域の「独立」承認の取り消しとロシア軍の派兵指令の撤回を強く求めます
ウラジーミル・プーチン殿
貴職は、2月21日(日本時間22日未明)、ウクライナ東部地域で親ロシア勢力が「独立」宣言をしている二つの地域を独立国と承認し、両地域へのロシア軍の派兵を指示する大統領令を発しました。
これは、国連加盟国の主権、独立、領土の尊重、武力による威嚇の禁止を明記している国連憲章に反し、貴国も合意したウクライナ東部問題の平和的解決のために関係国間で結ばれたミンスク合意(2014年、15年)を踏みにじるもので、国際社会で許されない違法行為です。ウクライナ問題は、外部からの干渉なしに、時間はかかってもウクライナの国民自身によって平和的に解決されるべきです。私たちは、二つの地域の「独立」承認と派兵指令のすみやかな撤回を強く求めるものです。併せて、被爆国の運動として見過ごすことができないのは、貴職が2月19日に直接指揮した軍事演習において、核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイルや極超音速ミサイルを発射したことです。これは、軍事的緊張をさらに高め、核の応酬へとエスカレートしかねない危険な行為です。核兵器の使用とその威嚇につながるいかなる行動も行わないよう強く求めます。
核戦争を「戦ってはならない」(1月3日、五大国共同声明)と言うならば、核戦争の準備を直ちにやめ、核兵器の禁止・廃絶に踏み出すべきです。
2022年2月24日 原水爆禁止日本協議会」
[この間の若干の経緯]
ロシア連邦大統領は2月21日(日本時間22日未明)、ウクライナ東部地域で親ロシア勢力が「独立」宣言をしている二つの地域を独立国と承認し、両地域へのロシア軍の派兵を指示する大統領令を発しました。2014年・2015年の停戦のためのミンスク合意は事実上存在しなくなりました。ウクライナ東部地域での紛争(ドンバス紛争)は2022年2月24日以降、国内戦から国際的なもの(ロシア側が特別軍事作戦・行動、ウクライナ側が宣戦布告)となり、戦闘はウクライナ全土に拡大し、悲惨さと過酷さを増しています。2014年4月ヤヌコビッチ大統領ウクライナ政府転覆・辞任の後、ドンバス地域は、1922年ソ連邦成立時にロシアからウクライナに編入された地域の分離独立の動きと相まって、戦闘が続いていました。国連によると、2019年11月時点で武力衝突の際に死者13、000人以上、約30万人が負傷した。また130万人が国内避難民になり、300万人が助けを必要とするとされていました。民間人の犠牲について、2019年12月12日,ボグナー国連人権監視ミッション団長は,ドンバス紛争開始以降の民間人の被害は,死者が3、344人,負傷者が7千人超となった旨発表しています。2022年2月24日~3月21日の戦闘では子どもを含め民間犠牲者は902人に上っています(国連発表)。2014年4月ヤヌコビッチ大統領政府転覆・辞任後の紛争は2014年9月5日ウクライナ、ロシア、ドネツク、ルガンスクがミンスク議定書に調印(合意1)、2015年2月11日ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランス4か国がドンバス紛争の停戦、欧州安全保障機構による監視を合意(合意2)。しかし2019年12月10日,ウクライナ国家捜査局(ゼレンスキー大統領2019年4月~)は,2015年2月のミンスク包括措置(合意)に署名したポロシェンコ前大統領(任期2014年~2019年)を国家反逆罪容疑で登録しました。[写真は中国新聞2022年2月25日 8年間のウクライナ東部の戦闘を伝える記事]
【学習会・講演会のご案内】
①4月24日(日)10時~12時(オンライン)広島県保険医協会市民公開講演会 斎藤幸平さん「人新世の資本論とこれからの豊かさ」
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_COdQlzkuTVKLCw460vvwCA(QRは右上)
②4月30日(土)広島弁護士会館3階「標的」上映&トーク ・1回目上映13時 ・トーク(植村隆さん「言論人としてこれからも闘う」)14時55分 ・2回目上映16時40分 参加費1000円
③5・3憲法記念日講演会5月3日10時~12時 広島弁護士会館 佐々木ひろしさん「野党共闘をどう進める」500円