日本ユーラシア協会広島支部ニュース2023年8月23日
【2023年度ロシア語能力検定試験】第82回ロシア語能力検定試験は10月28日(2級、4級)、29日(1級、3級)実施予定です。
【平和のための広島の戦争展】
【2023年度ロシア語能力検定試験】第82回ロシア語能力検定試験は10月28日(2級、4級)、29日(1級、3級)実施予定です。
【平和のための広島の戦争展】
8月18日~21日開催を後援しました。
【今秋以降のイベントの紹介】
[① 広島留学生会館祭]毎年11月の第1日曜日に開催される留学生会館まつり。2023年11月5日に開催されます。[② 2023年国際フェスタ]11月19日、広島国際会議場及びその前の平和大通り 24回目 国際協力バザー(民芸品)とひろしま国際村~世界の屋台 [③ ペアセロベ] 2024年1月14日 旧広島市民球場跡地
【広島・セミパラチンスク合唱交流の旅】 2023年9月15日(金)~9月20日(水)6日間 ※参加者を引き続き募集しています(前号参照)。
【初めて地球を一回りした日本人~石巻若宮丸物語:第15話 阿部和夫(次回第16話が最終回となります。)】
仙台藩への引き渡しと「環海異聞」
やっと祖国への帰還を許された四人は,長崎奉行所に引き取られて,そこで様々な取り調べを受けました。その上,役人からは「ロシアでの見聞を喋ってはいけない」と緘口令を申し渡されます。
四人が奉行所で七か月を過ごした十月二十日に,仙台藩から迎えに来た平井林太夫・窪田栄之助に引き渡されました。平井林太夫から御国言葉で「難儀したな」と声をかけられた時,四人は,嬉しさ,懐かしさで涙をこぼしています。
一行が,江戸の仙台藩上屋敷に到着したのは,暮れも間近になった十二月十八日でした。四人は仙台藩主伊達周宗に謁見して,その後二か月程上屋敷内の長屋に滞在します。そして,江戸に居ることを忘れ,故郷に帰った気持ちになりました。
その間,四人は藩の蘭学者大槻玄沢と志村弘強から事情聴取を受けます。そしてその内容が,「環海異聞」(全十五巻)としてまとめられました。また,それに添えられた松原右伸の手になる百十五の挿絵は,未知の国の理解に役立つものでした。「環海異聞」全十五巻に含まれている内容は,以下の通りです。
・巻①~巻③ 漂流からイルクーツク滞在までの顛末・巻④~巻⑦ ロシアの衣食住,冠婚葬祭,気候,通貨,医療,計量の単位,地理等が紹介されている。
【今秋以降のイベントの紹介】
[① 広島留学生会館祭]毎年11月の第1日曜日に開催される留学生会館まつり。2023年11月5日に開催されます。[② 2023年国際フェスタ]11月19日、広島国際会議場及びその前の平和大通り 24回目 国際協力バザー(民芸品)とひろしま国際村~世界の屋台 [③ ペアセロベ] 2024年1月14日 旧広島市民球場跡地
【広島・セミパラチンスク合唱交流の旅】 2023年9月15日(金)~9月20日(水)6日間 ※参加者を引き続き募集しています(前号参照)。
【初めて地球を一回りした日本人~石巻若宮丸物語:第15話 阿部和夫(次回第16話が最終回となります。)】
仙台藩への引き渡しと「環海異聞」
やっと祖国への帰還を許された四人は,長崎奉行所に引き取られて,そこで様々な取り調べを受けました。その上,役人からは「ロシアでの見聞を喋ってはいけない」と緘口令を申し渡されます。
四人が奉行所で七か月を過ごした十月二十日に,仙台藩から迎えに来た平井林太夫・窪田栄之助に引き渡されました。平井林太夫から御国言葉で「難儀したな」と声をかけられた時,四人は,嬉しさ,懐かしさで涙をこぼしています。
一行が,江戸の仙台藩上屋敷に到着したのは,暮れも間近になった十二月十八日でした。四人は仙台藩主伊達周宗に謁見して,その後二か月程上屋敷内の長屋に滞在します。そして,江戸に居ることを忘れ,故郷に帰った気持ちになりました。
その間,四人は藩の蘭学者大槻玄沢と志村弘強から事情聴取を受けます。そしてその内容が,「環海異聞」(全十五巻)としてまとめられました。また,それに添えられた松原右伸の手になる百十五の挿絵は,未知の国の理解に役立つものでした。「環海異聞」全十五巻に含まれている内容は,以下の通りです。
・巻①~巻③ 漂流からイルクーツク滞在までの顛末・巻④~巻⑦ ロシアの衣食住,冠婚葬祭,気候,通貨,医療,計量の単位,地理等が紹介されている。
・巻⑧ロシア語・巻⑨~巻⑪ イルクーツク出立から,帰国許可が下りるまでの顛末。・巻⑫~巻⑬ ロシアのクロンシュタット港出発から,世界一周して長崎に入港するまでの顛末。・巻⑭~巻⑮ 長崎入港から奉行所に引き渡されるまでの顛末等。
残念なのは,大槻玄沢が津太夫等に対して「卑しく知識のない船乗りであるから…………」として,「環海異聞」は完備しない雑録だとしていることです。しかし,筆者はそうは思いません。津太夫が述べた内容から判断して,それなりの人物であったと推察しています。
【オレグ ボドロフさんの報告】
残念なのは,大槻玄沢が津太夫等に対して「卑しく知識のない船乗りであるから…………」として,「環海異聞」は完備しない雑録だとしていることです。しかし,筆者はそうは思いません。津太夫が述べた内容から判断して,それなりの人物であったと推察しています。
【オレグ ボドロフさんの報告】
被爆78年を迎えた広島と長崎で原水爆禁止2023年世界大会8月4日~8日(台風の接近のため日程繰り上げ)が行われた。「地球は原発という地雷野に」原水禁大会国際会議ロシアのボドロフさん発言
5日、広島の国際会議でオレグ ボドロフさん(フィンランド湾南岸公共評議会/物理学者/環境保護活動家/国際平和ビューロ運営委員)報告「新型大量破壊兵器としての原発:この危機をどうやって止めるか?」の概要は次のとおり。 ***
今日は、かつてなく、核技術という新たな課題を議論する必要性を感じています。原発が大量破壊兵器になりつつあるからです。チェルノブイリ原発事故の犠牲者総数は100万入になろうとしています。この数は増え続けています。このように、たった1発の原発の原子炉の事故でも、日本に落とされた2発の原爆よりも多くの死者を出すのです。2022年2月、ロシア軍はザポリージャ原発を占拠しました。この行為によって、原発は潜在的な「汚い放射性爆弾」に変わったのです。それで2022年2月は新しいタイプの大量破壊兵器の誕生日ということになるのでしょうか。これらの兵器は、たとえ核兵器を保有していない国でも使用が可能です。外国で原発を占拠すれば、全世界を脅迫することができるのです。では長崎で使われたプルトニウム爆弾プルトニウム爆弾「ファットマン」の爆発の影響とザポリージャ原発の想定される破壊を比べてみましよう。長崎爆弾のプルトニウムの量は6.4kgでした。爆発でこのプルトニウムの約85%が爆風、熱線、放射線に変わりました。これらはいずれも一瞬の破壊をもたらした要因です。長期的被害をもたらした放射能汚染を起こしたのは、わずかに残りの15%、すなわち1kg以下のプルトニウムです。約50トンのプルトニウム239がザポリージャ原発の使用済み燃料の燃料の中に蓄積されています。これは長崎を放射能汚染したプルトニウムの5万倍以上の量です。プルトニウム239の半減期は、ご存じのように2万4000年です。つまり軍隊が稼働中のザポリージャ原発を破壊すれば、北半球の広大な領土が汚染されるかもしれません。この汚染は数万年続き、汚染地域はチェルノブイリの被害より数倍広くなります。広島・長崎は被爆後、以前と同じ場所に都市としてよみがえりましたが、チェルノブイリ原発の周辺に住むのは数百年間、いや数十年間、不可能かもしれません。このように原発の破壊は、広島と長崎での核兵器使用より深刻で、影響もより長く続くのです。2022年2月以降、原子炉の乗っ取りはタブーではなくなりました。私たちの地球は32か国にある原子炉450基により地雷野と化しています。これらの「地雷」はテロや軍隊の活動によって爆発するかもしれません。
【書籍:原爆「黒い雨」訴訟】
田村和之 竹森雅泰 編 本の泉社 2023年6月30日発行
核戦争がもたらす影響の深刻さを 最新の研究成果で浮き彫りに
核戦争がもたらす影響の深刻さを 最新の研究成果で浮き彫りに
推薦文:
広島の原爆投下直後の「黒い雨」による被災者を被爆者として救済すべきだとする訴訟は、広島高裁による画期的な判決(2021年)で原告の勝訴が確定した。この訴訟は、原爆による積乱雲はこれまでの推定以上に巨大で、巻き上げた放射性粉塵を広範囲に拡散させたことや、住民の新たな証言調査分析を重視したこと、行政が無視してきた水や食物を介しての体内被曝こそ影響が重大だとする科学的知見を採用したことなど、核兵器がもたらす被害は直接的な都市壊滅・大量殺戮だけでなく、生き残った周辺の地域と人々に対しても、長期にわたる深刻な影響を残すことを社会的に認知させる意味を持った。そのことを専門分野別に明らかにした論文を編集した本書は、核戦争の危機が高まる今こそ、警世の書として広く読まれるべきだ。
柳田邦男
広島の原爆投下直後の「黒い雨」による被災者を被爆者として救済すべきだとする訴訟は、広島高裁による画期的な判決(2021年)で原告の勝訴が確定した。この訴訟は、原爆による積乱雲はこれまでの推定以上に巨大で、巻き上げた放射性粉塵を広範囲に拡散させたことや、住民の新たな証言調査分析を重視したこと、行政が無視してきた水や食物を介しての体内被曝こそ影響が重大だとする科学的知見を採用したことなど、核兵器がもたらす被害は直接的な都市壊滅・大量殺戮だけでなく、生き残った周辺の地域と人々に対しても、長期にわたる深刻な影響を残すことを社会的に認知させる意味を持った。そのことを専門分野別に明らかにした論文を編集した本書は、核戦争の危機が高まる今こそ、警世の書として広く読まれるべきだ。
柳田邦男