【映画「コスタリカの奇跡」上映会のご案内】
日時 2018年12月8日土曜日
13時30分上映開始(90分)16時まで交流会
鑑賞料 500円(高校生まで無料)
場所 広島北部農協千代田支店3階大ホール(北広島町有田532-1)
主催 「コスタリカの奇跡」上映実行委員会
[反戦情報2018年11月15日号より]
『コスタリカの奇跡』
マシュー・エディ監督/マイケル・ドレイリング監督
評者 鈴木右文
「コスタリカの奇跡」(二〇一七)は、一九四九年に憲法で軍隊を放棄したコスタリカの、軍隊放棄の経緯とその後の歴史を追ったドキュメンタリーである。コスタリカでは一九四〇年からカルデロン・グアルディア大統領による社会民主主義政権が、世界大恐慌以降の人民の福祉要求を背景に、社会保障を整備したが、常備軍を保持していた。一九四八年の大統領選挙では政権与党が野党候補に負けたのを受け入れず、内戦が勃発。野党側のリーダーは、米国で独学したホセ・フィゲーレス・フェレールで、内戦勝利後、憲法で常備軍を廃止、軍事予算を教育と社会保障に回した。今でこそ二〇一六年の国民幸福度世界一の国だが、その道のりは険しかった。隣国ニカラグアが不安定で常に脅威にさらされ、一九五五年の侵攻に対しては武装警察と市民の抵抗で排除した。ニカラグアで一九七八年にサンディニスタ民族解放戦線が蜂起するとこれを支援、ところが反革命のコントラを支援する米国がコスタリカに米軍基地配置を強要する。一九八六年には中立を宣言、一九八六年に大統領となったアリアスは、欧州諸国を訪問してその立場への支援を要請、米国へは拒否を貫いて、一九八七年ノーベル平和賞を受賞した。しかし平和主義はなかなか辛い。その後貧富の差が拡大、新大統領が米国のイラク開戦支持を表明し、裁判所がその声明の無効判決を出すなど、揺れている。フィゲーレスの娘が国連で環境問題に取り組んでいるが、コスタリカでは白動車に替わる交通手段の開発が急務だそうだ。応援したくなる国である。どこかの首相の口に爪の垢を団子にして押し込みたい。(すずきゆうぶん/九州大学言語文化研究院教員)
日時 2018年12月8日土曜日
13時30分上映開始(90分)16時まで交流会
鑑賞料 500円(高校生まで無料)
場所 広島北部農協千代田支店3階大ホール(北広島町有田532-1)
主催 「コスタリカの奇跡」上映実行委員会
[反戦情報2018年11月15日号より]
『コスタリカの奇跡』
マシュー・エディ監督/マイケル・ドレイリング監督
評者 鈴木右文
「コスタリカの奇跡」(二〇一七)は、一九四九年に憲法で軍隊を放棄したコスタリカの、軍隊放棄の経緯とその後の歴史を追ったドキュメンタリーである。コスタリカでは一九四〇年からカルデロン・グアルディア大統領による社会民主主義政権が、世界大恐慌以降の人民の福祉要求を背景に、社会保障を整備したが、常備軍を保持していた。一九四八年の大統領選挙では政権与党が野党候補に負けたのを受け入れず、内戦が勃発。野党側のリーダーは、米国で独学したホセ・フィゲーレス・フェレールで、内戦勝利後、憲法で常備軍を廃止、軍事予算を教育と社会保障に回した。今でこそ二〇一六年の国民幸福度世界一の国だが、その道のりは険しかった。隣国ニカラグアが不安定で常に脅威にさらされ、一九五五年の侵攻に対しては武装警察と市民の抵抗で排除した。ニカラグアで一九七八年にサンディニスタ民族解放戦線が蜂起するとこれを支援、ところが反革命のコントラを支援する米国がコスタリカに米軍基地配置を強要する。一九八六年には中立を宣言、一九八六年に大統領となったアリアスは、欧州諸国を訪問してその立場への支援を要請、米国へは拒否を貫いて、一九八七年ノーベル平和賞を受賞した。しかし平和主義はなかなか辛い。その後貧富の差が拡大、新大統領が米国のイラク開戦支持を表明し、裁判所がその声明の無効判決を出すなど、揺れている。フィゲーレスの娘が国連で環境問題に取り組んでいるが、コスタリカでは白動車に替わる交通手段の開発が急務だそうだ。応援したくなる国である。どこかの首相の口に爪の垢を団子にして押し込みたい。(すずきゆうぶん/九州大学言語文化研究院教員)