
2011年2月下旬から約2週間、縁あって、ロシア・トムスク市に滞在しました。トムスク市は、シベリア西部に位置する、人口49万人ほどの街です。日本からトムスクまでは、まず日本(今回は広島)から空路で北京を経由し、ノボシビルスクまで飛び、ノボシビルスクからトムスクまで、バスに5時間ほど乗りました。滞在時の気温は、おおむね−10度前後。最も温かかった日の最高気温は、+1度でした。通りには雪や氷が積み重なっており、街全体が白く覆われていました。街の中心を流れるトミ川も凍っていました。
さて、トムスクで体験したМасленицаという行事についてお話しようと思います。ご存知の方も多いかと思いますが、Масленицаは、ロシアで伝統的に祝われている春の祭りです。私が滞在した期間は、丁度、この祝祭と重なっていたので、現地の人々と一緒に祝ってきました。祝祭の過ごし方は、地域によって様々だと思いますが、トムスクの場合は、Масленицаの週の日曜日に、街の一角にある森の広場にたくさんの屋台が並び、会場は多くの人でにぎわっていました。森でスキーやスケートを楽しむ家族連れも散見しました。私も、屋台で買った焼きたてのシャシュリーク(棒付き肉)などを食べながら、雪景色が美しい森の中を散歩したりして過ごしました。午後には、広場に設置されていた木製のかかし状の巨大な人形に火がつけられました。これには、現地の人の話によると、「冬を焼き払う」という意味が込められているそうです。その日も気温はもちろん氷点下でしたが、皆、元気に外に出て、屋外の屋台でごちそうを食べ、歌い、踊り、談笑し、思い思いの時間を過ごしていました。その風景は、間もなく訪れる暖かい春の満ち満ちた活力を予感させるものでした。今回のトムスク滞在の中で最も印象的で、楽しかった一日でした。