日本ユーラシア協会広島支部のブログ

本支部は、日本ユーラシア地域(旧ソ連邦)諸国民の相互の理解と親善をはかり、世界平和に寄与することを目的とする。

UTCPシンポジウム 脱原発シナリオをアセスメントする

2011-09-28 08:50:29 | 日記
UTCPシンポジウム「脱原発シナリオをアセスメントする」要登録
詳しくは:
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2011/10/symposium_on_nuclear_power_pla/ をご覧ください

Date: 2011年10月2日(日)13:00-18:15(開場12:30) Place: 東京大学駒場キャンパス18号館1階ホール[地図]

昨年度(2010年11月)に開催した『原子力と参加型テクノロジー・アセスメントの可能性』につづき、UTCP「科学技術と社会」プログラムは、今年度も原子力をテーマにしたシンポジウム『脱原発シナリオをアセスメントする』を開催いたします。
使用言語:日本語
入場無料
事前登録をお願いします⇒こちらからどうぞ

【プログラム】
13:00-13:10 開会の辞/趣旨説明
13:10-14:10 井野博満(東京大学名誉教授)
         『材料劣化・設計不備・立地不適などの技術的観点からみた危ない原発』
14:10-15:10 室田 武(同志社大学教授)
         『温暖化をめぐるワインバーグの亡霊』
15:20-16:20 大林ミカ(自然エネルギー財団)
         『原発のない低炭素社会の実現』
16:20-17:20 吉岡 斉(九州大学教授・副学長/東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会委員)
         『脱原発にロードマップは必要なのか、必要でないのか』
17:30-18:15 総合討論
         司会: 金森 修(東京大学大学院教育学研究科教授)


【開催趣旨】
これまで日本の原子力発電事業は、通産省(現・経産省)主導のもと、電力事業者、原子炉メーカー、原子力関連の研究者、政治家らによる「寡頭制」で進められてきたといえよう。これら推進当事者たちは、一方において、原発依存を前提とした政治-経済-社会システムの構築を促進し、他方において、原発なしでは安価な電力の安定供給が困難になるとの言説を普及させてきた。こうした実践と言説とをトートロジー的に繰り返すことで、原発推進の正当性を高めてきたのである。また、近年においてはCO₂を排出しない「温暖化対策の切り札」という標語までもが付加され、原子力は将来的にもっとも期待できるクリーン・エネルギーとして確固たる地位を確立するかにみえた。
ところが、2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震の直後から発生した一連の福島第1原発事故以降、原発に対する社会的な不信感が一気に高まることとなり、「脱原発」を視野に入れたさまざまな議論がこれまでになく活発化している。その反面、「原発の停止は日本の経済活動を停滞させる」「原発は管理を厳格化すれば問題ない」等々の意見も少なくない。かくして、事故から半年以上を経た現在も、今後のエネルギー政策の先行きは不透明なままとなっている。
こうした状況を受け本シンポジウムでは、これまでの原子力利用の妥当性について検証するとともに、未来に向けた「脱原発シナリオ」について検討していきたい。
とはいえ、本会において脱原発に向けた統一的な合意(コンセンサス)を形成しようというのではない。ここでの議論が、より広く多くの人びとを巻き込んだ公正かつ民主的なエネルギー政策論議を展開してゆくための一助となることを望むばかりである。

*当シンポジウムに関するお問い合わせは、石垣勝(e-mail: ishigaki.masaru[a]gmail.com  [a]→@)までお願い致します。


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ロシア少年少女舞踊団カリンカ広島公演実行委員会開催のご案内

2011-09-28 08:13:49 | 日記

     2011年10月3日
各位
                      日本ユーラシア協会広島支部 支部長 中戸義信
                            

   ロシア少年少女舞踊団広島公演実行委員会(総会)のご案内(開始時刻変更あり)

 カリンカ広島公演(11月9日18時30分開演アステールプラザ中ホール)は残すところ1ヶ月余となりました。来日団員のメンバーが決定し、受け入れ態勢を整えつつあります。
 次のとおり10月10日に広島公演の実行委員会を開催します。
 万障お繰り合わせのうえご参加ください。

   ロシア少年少女舞踊団広島公演実行委員会(総会)
日時 2011年10月10日(月祝日)11時~13時 (当初予定13時~15時を変更しました。会場は15時まで借りています。)
場所 広島国際会議場(平和公園内)3階研修室3
内容 チケットの販売について
   後援・協賛の募集について
   11月9日10日の日程と役割分担について
   その他
参加対象 日本ユーラシア協会会員(広島支部 呉支部 県連)
     実行委員
     運営スタッフ
     後援・協賛団体・個人
     友情出演者
     その他 (関心のある方 )


問い合わせ・出欠連絡

メール kalinkahiroshima@yahoo.co.jp(事務局)qyu015271030@at4.mopera.ne.jp(黒川)
電話 08055054872(/川) FAX0822898788
ホームページ http://www2.cc22.ne.jp/fc2120751/
チケット売り場案内 福屋広島駅前店7階 八丁堀本店7階 チケット7本通電停前店 廿日市市さくらぴあ事務局

よろしくお願いします。
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加納先生より

2011-09-25 08:15:56 | 日記
加納先生より

松田博嗣 様

ご返事有難うございます。
先程、富山空港に着きホテルで23日のシンポジウムP.P.Fileを見直しています。
前便でシンポジウム概要は添付ファイルをご覧下さいと言いましたが、このMLは添付を受け付けなかったので失礼を致しました。
仰る様に一般市民相手に環境科学リテラシーを謳うことは、自分自身が広範囲に勉強しなくてはならず大変です。
しかし、シンポジウム講演題目に恥じない様に、今こそしっかりと定着させなければと云う思いを強くしています。
原発問題一つをとっても、高木学校や「科学・人間・社会」誌等の以前からの指摘を活かせていません。

これも仰る様に「近代文明を根源的に検討することも大事」ですが、卑近な例で「京都五山の送り火に供する、被災者のメッセージが託された松板」の使用拒否、「昨日の愛知県花火大会での福島製花火」の使用拒否、等の悲しくなる様な差別と身勝手を諌めるのも環境科学リテラシー実践かと考えます。
これらも視点に入れて、23日にはお話出来ればと想っています。
今後とも宜しくお願い致します。    加納誠

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3月11日以来、環境識字の内容も大幅に変わりつつあると痛感しています。 
また加納さんの地道なご活躍に感心しています。
環境汚染物質と一口に言っても、放射能物質は別けて考え対応すべきですね。
私は20年ほど前、廃棄物処理場が近所に出来るといって市民の反対運動に参加したことがあります。
その後、立派な処理場が作られてかなり解決しました。 化学結合で結ばれた物質を分解する技術は格段に進歩したようです。

ですが、原子核結合で結ばれた放射能物質を分解することは容易ではありません。 物理学的には一応学んでいても、1eV と1MeV との違いの恐ろしさを原子力発電事故で思い知らされました。
原子力発電は軍事と直結しており、情報公開は困難で、平和利用が無謀であることを思い知らされました。 
また、原子力発電はたとえ事故がないとしても、コスト的に割高であるとの最近の報道もあります。
近代文明を根源的に検討することも大事ですが、一般市民もついて行ける程度の知識や運動を追求する方がより大事ではないかと考えています。
松田 博嗣(Hirotsugu Matsuda)
e-mail: hirotugu324@ybb.ne.jp
----- Original Message -----

---
勝木様、猪野様、松田様・各位 :

有意義なご意見を有難うございます。
数十年に渉る親友、猪野修治氏の歯に衣着せぬ論述を何時も羨ましく読んでいた”御用学者”の加納です。
間もなく開催される物理学会領域13シンポジウムの準備(添付ファイル)をしながら、勝木さん、松田さんのご意見も興味を持って読ませて頂きまし た。
この4月からは一応”自由の身”に成ったのですが、毎月の様に横浜から山口県、山陽小野田市、宇部市に戻り、諮問委員会やNPO理事会、講演会を こなしています。

そこで思うのは、市民や学生達が、今、「本当のことが知りたい」「今後、起こり得る様々な事柄に対してどう判断したら良いか」「政府批判、原子力 村批判よりも、今、役に立つ知識を」と言った切実な要望を持っていることです。彼等は、公務員でもあり日立・東芝・三菱・中部電力社員でもあり、 しっかりとし
た裏付けの基が無くしては、私の環境科学リテラシーは伝わらないと想うのです。
勿論、政府批判、原子力村批判も入れるのですが、常に思っていることは、科学
史を辿り物理学を基にした環境科学リテラシーを訴えたいと言うことで す。其
のための源泉が、領域13を含む環境物理分野での発表であり討論で在って欲しい
と思っています。

頭をよぎるのは、非平衡系熱力学、開放系熱力学、定常開放系熱力学、 「開か
れた能動定常系」 熱力学、 要素還元主義的な方法論か らの脱却、物質循環の
追求と実践、等など、数え上げればきりが有りません。道楽で遣っている有機循
環農法等と揶揄されながら、一生掛ってもつかめ ない命題を追っているドン・
キホーテを自認しています。

そう言う訳で、勝木さんの言われた以下のことは特にその通りと想いました。

「噛み合った討論を成り立たせると寝た子が起きる恐れがあるので、討論のない
状況を原発推進を進める国・業界が意図的に作り出してきたといえま す。 この
状況は、反原発・原発推進批判派にとっても不幸なことでした。対立者との深い
レベルでの討論を展開して、自分達の理論を深め高める機会が持て なかったか
らです。 原発推進派の人たちにとっても、自分達の認識を深め、見識を高める
という面から見て、不幸なことであったと思います。」

有難うございました。       地球環境緑蔭塾   加納誠

--- 松田様・各位       新戦時09(2011)/09/13     勝木 渥 拝復
私は ”まともな” 原発推進派の人が、原発推進路線を変えようとしない理由が理解できます。現代工業社会の存続を前提とするかぎり、それを支えるに足る電力はどのような質を 持たねばならないかが、自然科学的ないし物質科学的に限定され、原子力発電・火力発電・大型水力発電に限定せざるを得ないからです。
日本の原発推進派は、政治・経済・社会的面から(物質科学的な理解抜きに)原発の必要性を認識しているだけのように思えますが。 私が、最も筋の通った原発礼賛の議論として読んだのは、4半世紀以上前の1983年にハンガリーの故マルクス・ジョェルジュらがバラトン湖畔で開 いた物理教育の国際セミナーEntropy in the School (小・中・高校でのエントロピーの授業)での、第13論文、 Hard energy - soft energy (view of economy)/ Louis Timbal-Duclaux,/ Information and Communication Division, Dept.Equipment,Electricite de France です。 表題からは,エコロジストのエネルギー論議という印象を受けますが、著者の所属がフランスの電力公社であることから予期されるように,原子力発電 を手放しで礼賛する立場に立った論文です。 その立場からの論点は非常によく整理され,議論は明快です。 実は「物理教育」分野のMLでこの論文について紹介したことがありますが、そこに書いたことを人名等は隠し、[peim]内での細かな遣り取りは 省略して以下に書きます。 松田さんの提起された問題への噛み合った議論になり得ているかどうか、自信はありませんが、参考までに。
**********
[peim 1347] (11.05.11) 0さんの[peim:1338]とKさんの[peim:1331]に触発されて、以下の意見を述べようと思います。 (1) Kさんは[peim 1331]で《……1950年代終わりには 原子力発電会社の技術者とそれを支持する工学系の人たちと 物理の人たちが直接議論を交わしました。……その 後は推進賛成派は賛成派のなかだけで 反対派はその中だけで討論してきて今日に至ったという面があります。》と書いておられます。それに応えるも のになり得るかどうかわかりませんが、一つの材料として、次のことをお知らせします。 私は、極めて強固な反原発派であると自覚しますが、私がとても感心して読んだ、筋金入りの原発推進派の議論があります。それは、1983年5月に ハンガリーのバラトン湖畔で開かれた ”Entropy in the School (小・中・高校でのエントロピー教育)” をテーマとする研究会で フランス電力公社(Electricite de France)の設備部門広報課の ティンバル-デュクロ(Louis Timbal-Duclaux) という人が報告した“Hard energy - soft energy (view of economy)” という表題の論文です。 表題からは、エコロジストのエネルギー論議のような印象を受けますが、著者の所属がフランス電力公社であることからも予期されるように、原子力発 電を手放しで礼賛する立場に立った論文です。原子力発電の安全性への問題意識は全くなく、放射性廃棄物の発生に伴う問題についても全く触れられて おりません。 しかし、かれは現在の工業社会を支えるために必要な電力エネルギーが持つべき性質について、そのエネルギーの質と時間的・空間的密度の見地から詳 しく分析し、必要な条件を満たしうるものは原子力発電と火力発電と大型水力発電であること、そして、その中でも原子力発電がぬきんでてすぐれてい ることを非常な説得力をもって示しました。私は、原子力に対するかれの信念を全身全霊の力を込めて、一つの論文として仕上げたものがこの論文であ ると、この論文を読んで感じました。 そこには、"自然エネルギー" がなぜ代替エネルギーとして機能し得ないかの説得力のある議論も展開されています。
こういう次第で、原子力発電礼賛の立場からの論点は非常によく整理され、議論は明解であり、そのレベルは生半可なエコロジストの “自然エネルギー” 礼賛の議論を遙かに抜きん出ていると私には感ぜられました。 “Entropy in the School” の報告書は上智大学の笠耐さんのところに届いていましたが、私は当時の修士課程の院生と一緒にその報告書を詳しく読み込み、その紹介を「物理教育研究会 (APEJ)」の会報『物理教育通信』に何回かに分けて連載しましたが、とくに上記の “Hard energy - soft energy (view of economy)” は、私たちが読み込んでつかんだ内容を(かなりの部分は全訳に近い形で)紹介しました(『物理教育通信』44号 pp.55-64, 1986)。 ながながと書きましたが、もし興味・関心がおありでしたら、『物理教育通信』44号に載っ たこの論文の紹介内容を、添付文書で希望者のメールアドレスあてに送ることができます。 (2) このティンバル-デュクロの論文に比べると、日本の原発推進派の議論は、極めてお粗末だと感ぜられます。 1970年代初期の原発推進派は、原発に関して放射性廃棄物の排出を原発のアキレス腱であると認識し(核融合発電では放射性廃棄物の排出はないと の前提で)原発は核融合発電実現までの過渡期の技術であると位置づけていました。すぐにも(あるいはかなり近い時期に)実現すると期待していた核 融合発電が、ほとんど無限のかなたへ遠のいてしまった現在では、このような位置づけは消え去り、温暖化問題を奇貨として、原発推進派は原子力発電 は(CO2を発生しないから)クリーンな発電であると宣伝するに至っています。私はここに日本の原発推進派の学問的・道徳的堕落を感じます。 (3)また、その後の原発推進派の議論の進め方は、電力会社と政府のなれ合いとそれへのマスコミの迎合に基づいて、「寝た子を起こすな」とばかりに反原 発派や原発推進批判派からの問題提起にまともに答えようとはせず、そんな起こりそうにないことへの用心を先行させたら原発の作りようがないという ようなことを、保安の責任を持つ政府の機関の責任者である専門家の学者が臆面もなく公言するような状況でした。つまり、噛み合った討論を成り立た せると寝た子が起きる恐れがあるので、討論のない状況を原発推進を進める国・業界が意図的に作り出してきたといえます。 この状況は、反原発・原発推進批判派にとっても不幸なことでした。対立者との深いレベルでの討論を展開して、自分達の理論を深め高める機会が持て なかったからです。 原発推進派の人たちにとっても、自分達の認識を深め、見識を高めるという面から見て、不幸なことであったと思います。 (4) 私には、0-メール [peim 1338]にあった《国民の原子力や放射線に関する知識不足が問題なのであって、理解が進めば原子力発電は推進できるのだという思い込み》をもった《原発 推進派の原子力工学の専門家》は上記の典型であるように私には思えます。 この人の見識は、『(東京)朝日新聞』11/04/12 付夕刊に載った「小学校上級向けのDVD副読本」の示す見識と相通じていると思います。その記事は、《(要旨)資源エネルギー庁が小学校高学年向けの副教 材として「ひらけ!エネルギーのとびら」という副教材を作ったが、その中に原発の代表として福島第1原発をとりあげ、それが絶対安全であることを 述べている部分があったので、「今の状況では子どもたちに見せることはどうか、という判断で配布を中止した」というものでした。 (5) もちろん、日本の原発推進派の中にも、きちんとした見識に基づいた意見を持っている人もいます。私がたまたま知る機会のあった『(大阪)朝日新 聞』10/01/13付の「私の視点」欄に、《エコ発電、「低品質」のつけは国民へ 》という意見を載せた、元北海道電力室蘭支店長の伊東仁という人です。この人の意見は(1)で触れたティンバル-デュクロの議論の結論的要点と一致するも のがあると私は感じました。 この人の見解も、もし興味・関心がおありでしたら、希望者のメールアドレスあてに送ることができます。 (6) 私は(1)や(5)で原発推進派の筋の通った見解の存在に触れ、興味ある方には送ります、と述べましたが、もちろん、だから原発推進派の意見に賛 同しましょうと言いたいわけではありません。むしろ、かれらの見解に接することを通じて、私の中にあった、今後の社会のあり方についての端緒的な 視点・意識と、私の中に深く根付いている反原発の立場とがしっかり結びついて、ある社会が脱原発の社会でありうるためには、その社会はどんなものでなければならないか、端緒的な意識が根拠をもつ確信に高まるということを自覚し得たのです。 匆々敬具
------------------------- 勝木 渥 <akatsuki-tanusa@nifty.com> 206-0036
 東京都多摩市中沢2-11-3-102


--
******************
加納 誠 Makoto KANO
地球環境緑蔭塾 Earth System Ryokuin-juku
〒226-0015:横浜市緑区三保町1577-1 Tel&Fax: 045-934-1129
1577-1 Miho-Cho, Midori-Ku, Yokohama 226-0015, Japan
山口支部 〒756-0817: 山陽小野田市小野田4837-1 Tel&Fax: 0836-39-3320
E-Mail: 1129makotokano@gmail.com  URL: http://www.rs.kagu.tus.ac.jp/~mkano/
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AYUMI ESSAY 逆システム学の窓 児玉龍彦/Tatsuhiko KODAMA

2011-09-22 18:47:58 | 日記
AYUMI ESSAY 逆システム学の窓 児玉龍彦/Tatsuhiko KODAMA
児玉龍彦/Tatsuhiko KODAMA
東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学ラボラトリー
(兼任:東京大学アイソトープ総合センター長)
Vol.41 “チェルノブイリ膀胱炎”―長期のセシウム137低線量被曝の危険性
医学のあゆみ 238巻第4号 2011年7月23日
http://plusi.info/wp-content/uploads/2011/08/Vol.41.pdf◎福島原発事故は,膨大な量のセシウム 137 飛散を引き起こした.汚染は,飯館村など 30 km 以遠,福島,郡山など福島都市圏,我孫子,柏など東葛 6 市にも広がる.食品の汚染では,神奈川県の相模原市,山北,松田両町のお茶が出荷停止となり,静岡県産のお茶はパリの空港で汚染が検出されている.心配されるのは,東北,関東の 108 名の母乳を分析したところ,福島県内の 7 名の母乳から 2~13 ベクレル/L のセシウム 137 が検出されたことである.
 セシウム 137 は,核実験以前には地球上に存在しなかった.強いγ線を放出し,1987 年のゴイアニア被曝事故では死亡例も知られる.人体内では,腎臓から尿中に排泄される.日本バイオアッセイ研究センターの福島昭治所長は,チェルノブイリ現地の研究者と,膀胱癌の百万人あたりの発症が,86 年 26 人から 01 年 43 人に増加していることを発表し,その前癌状態として,増殖性の“チェルノブイリ膀胱炎”が広範に引き起こされていることを報告している.
 前立腺肥大で手術を受けた際に切除された 164 名の膀胱病理像を,高いセシウム線量(5~30 Ci/km2),中間的線量(0.5~5 Ci/km2),非汚染地域の住民の 3 群にわけて検討して,そのメカニズムとして,NFκB と p38MAP キナーゼの活性化,NO 産生増加を介していることを示している.これら 3 群のヒトの尿中のセシウム 137 は,それぞれ,6.471.23 そして 0.29 ベクレル/L で,上記の福島県内の母乳と同じレベルであり,長期被曝が前癌状態を作り出すという報告は重要である.
 今回のセシウム 137 汚染は 3 月 15 日に大半が,21 日から数日で一部が放出された一過性のものであり,除染でかなり除けるという特徴がある.
 食品の汚染も一過性にピークを迎える.検出体制を急いで整備し,セシウム 137 で汚染された食品の摂取を避けることが緊急の課題となっている.現在,原発事故に従事している作業員や,飯館村など高汚染地区に住み続けている人は,セシウム 137 を吸着するペクチンなどの予防投与を検討する必要がある.
 我々は子孫への責務を負っている.核実験による低レベル放射能を検出しアメリカでの公開実験を通じて核実験禁止の流れを生み出した,猿橋勝子博士に学ぶ必要がある.人間の生み出したものは,人間の努力で除去できないわけはない.現在の少量の高い線量の放射性物質を想定している法体系を,低線量のものが膨大に放出された福島原発事故に対応できるように変え,我が国の医学界も総力をあげ取り組む体制を整える必要がある.また損害賠償において被害者立証はいわば不可能であり,加害者(東電,政府)による被害全面賠償が必須であることを示している.

児玉龍彦/Tatsuhiko KODAMA
東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学ラボラトリー
Vol.28
チェルノブイリ原発事故から甲状腺癌の発症を学ぶ
―エビデンス探索 20 年の歴史を辿る
医学のあゆみ 231巻第4号 2009年10月24日
◎“エビデンス”という言葉が臨床研究で用いられる.
だがチェルノブイリ原発事故が甲状腺癌を増加させるというコンセンサスをつくるのに 20 年かかった歴史は忘れてはいけない.チェルノブイリの健康被害の研究に国際的に関わられた長崎大学名誉教授の長滝重信先生に,その 20 年の歴史と教訓をお聞きした.
 第一は,安易な“エビデンス”論への疑問である.
アメリカ型の多数例を集めるメガスタディを行ってもエビデンスとはならず,その地域における疾患の全体を長年をかけて網羅的に把握することのみがコンセンサスを得るエビデンス発見法であったことである.
 第二は,ある原因での疾患の発症は特定の時間経過でのみあらわれ,すぐ消えていくため,注意深い観察が必要である.我々の想像を上回る長い時間の経過が関わり,対策の求められているその瞬間には「エビデンスはない」ということがしばしば起こる事である.
 逆システム学の見方でいえば,「統計より症例報告」という法則が重要である.多数例の軽微な変化より,極端なしかし端的な特徴をもつ少数例を現場でつかむことが,同時代の患者のために役立つ情報をもたらす可能性が強い.エビデンスがないということは,証明不能を語るだけで,因果関係の否定ではない.エビデンスを確立するには多数例の長い時間が必要であるため,短期においてはある地域に従来みられない特殊な患者が現れた時に即時に対応することが重要である,
例えばベラルーシに 1991 年,肺転移を伴う小児の甲状腺乳頭癌が次から次とみられた.これらの患者から次第に RET プロトオンコジーンの変異が見つかったということが,実はチェルノブイリ事故と甲状腺癌をつなぐ“同時性”をもったエビデンスであり,甲状腺発癌のダイナミズムを教えてくれるサインだったのである.

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バンダジェフスキー『人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響』

2011-09-22 09:56:41 | 日記
バンダジェフスキー『人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響―チェルノブイリの教訓​ セシウム137による内臓の病変と対策 ―』
http://george743.blog39.fc2.com/blog-entry-711.htmlより転載

最近、セシウムの毒性に関する大変重要な冊子が茨城大学名誉教授久保田護氏により翻訳、自費出版されたそうです。
その内容を、翻訳者 竹野内真理 さんが要約されましたので転記します。

『人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響―チェルノブイリの教訓​ セシウム137による内臓の病変と対策 ―』元ゴメリ医大学長、バンダジェフスキー博士

内容要約

食物中のセシウム摂取による内部被曝の研究が​ ほとんどない中、バンダジェフスキー博士は、大学病院で死亡した患者を解剖し、心臓、腎臓、肝臓などに蓄積したセシウム 137の量と臓器の細胞組織の変化との環境を調べ、体内のセシウム 137による被曝は低線量でも危険との結論に達した。

* セシウム137の体内における慢性被曝により、細胞の発育と活力プロセスがゆがめられ、体内器官(心臓、肝臓、腎臓)の不調の原因になる。大抵いくつかの器官が同時に放射線の毒作用を受け、代謝機能不全を引き起こす。

* セシウムは男性により多く取り込まれやすく、女性より男性により強い影響が出ており、より多くのガン、心臓血管不調、寿命の低下が見られる。

* 細胞増殖が無視できるかまったくない器官や組織(心筋)は、最大範囲の損傷を受ける。代謝プロセスや膜細胞組織に大きな影響が生じる。生命維持に必要な多くの系で乱れが生じるが、その最初は心臓血管系である。

* セシウムの平均蓄積量30.32±0.66Bq/kg にあるゴメリの三歳から七歳の子供は蓄積量と心電図に比例関係があった。

* チェルノブイリ事故後のゴメリ州住民の突然死の 99%に心筋不調があった。持続性の心臓血管病では、心臓域のセシウム137の濃度は高く、136±33.1Bq/kg となっていた。

* ミンスクの子供は20Bq/kg 以上のセシウム137濃度を持ち、85%が心電図に病理変化を記録している。

* ミンスクの子供で、まれに体内放射能が認められない場合もあるが、その 25%に心電図変化がある。このように濃度が低くても、心筋に重大な代謝変化を起こすのに十分である。

* 動物実験で、セシウムは心筋のエネルギー代謝をまかなう酵素を抑制することがわかった。

* 平均40-60Bq/kg のセシウムは、 心筋の微細な構造変化をもたらすことができ、 全細胞の10-40%が代謝不全となり、規則的収縮ができなくなる。

* 収縮器官の破損は以下のように観察された。最初にリーシスのないタイプの収縮が現れ、筋形質ネットの毛細管が広がり、ミトコンドリアが膨れ、病巣筋形質浮腫が記録された。これは膜浸透性の不調とイオン代謝の重大変化の証拠で ​ ある。ミエリン用組織の存在は過酸化膜酸化の増大の証拠である。ミトコンドリア破壊はその増殖と肥大を示し、インターミトコンドリアの数が増えている。持続する機能緊張と増大する酸素欠乏は内皮浸透性の増進で証明され、上記​ の組織変化の理由となりえる。

* 動物の体内の100-150Bq/kg のセシウムはさらなる重大な心筋変化、すなわち、拡散する心筋は損、リンパ細胞とマクロファージの病巣浸潤物および血管多血が認められた。

* 900-1000Bq/kg のセシウム蓄積は40%以上の動物の死を招いた。

* クレアチンソスホキナーゼのような酵素の抑制により、活力不安定となる。

* 血管系が侵され、高血圧が幼児期からも見られることがある。また 15キュリー/km2の汚染地の子供の41.6%に高血圧の症状が見られた。

* セシウムは血管壁の抗血栓活性を減退させる。

* 血管系の病理学的変化は、脳、心臓、腎臓、その他の機関の細胞の破壊を導く。

* 腎臓は排出に関与していて 、 ゴメリ州の大人の死者の腎臓のセシウム濃度は 192.8 ±25.2Bq/kg、子供の死者では、645±134.9Bq/kg だった。

* セシウムは腎臓内のネフロン組織細官や糸球体、ひいては腎臓機能を破壊し、他の器官への毒作用や動脈高血圧をもたらす。ゴメリにおける突然死の 89%が腎臓破壊を伴っている。(腎臓機能の破壊プロセスも冊子に詳述されている​)

* 血管造影で組織を検査すると放射線による腎臓の症状は特徴がある。また病気の進行が早く、悪性の動脈高血圧がしばしば急速に進む。2-3年すると、腎臓の損傷は慢性腎機能不全、脳と心臓との合併症、ハイパーニトロゲンミアを​進展させる。

* 肝臓においては、毒性ジストロフィーが増進し、細胞たんぱく質の破壊や代謝形質転換が起こり、胎児肝臓病や肝硬変のような厳しい病理学的プロセスが導かれる。

* 肝臓の合成機能の不調により、血中成分の合成に変化が生じる。 30Bq/kg 以上の子供の体に肝臓機能の不調が見られた。さらにすい臓機能の変化も観察されている。

* ゴメリ州で、急死の場合に肝臓を検査したところ、セシウム 137の平均濃度は28.2Bq/kg で、このうち四割に脂肪過多の肝臓病か肝硬変の症状があったという。

* セシウムは胎児の肝臓病を引き起こし、その場合胎児は肝臓に限らず、全身の代謝の乱れが生じる。

* 免疫系の損傷により、汚染地ではウィルス性肝炎が増大し、肝臓の機能不全と肝臓ガンの原因となっている。

* セシウムは免疫の低下をもたらし、結核、ウィルス性肝炎、急性呼吸器病などの感染病の増加につながっている。免疫系の障害が、体内放射能に起因することは、中性白血球の食作用能力の減退で証明されている。

* セシウムは、甲状腺異常にヨウ素との相乗関係を持って寄与する。免疫グロブリンと甲状腺ホルモンの間で相関関係があり、これらのホルモンは、セシウムによって代謝系統が乱れることで放出され、大量の甲状腺刺激ホルモンが出る​ことにより、甲状腺を刺激し、小胞上皮を増殖させ、ガン化につながる。

* セシウムが長期間体内にあると、甲状腺の回復プロセスが十分な値にならず、細胞分化が壊され、組織細胞要素が免疫系のアンチエージェントに転化しやすくなる。免疫反応の上昇に伴い、自己抗体と免疫適格細胞が甲状腺を痛め、自​ 己免疫甲状腺炎や甲状腺ガンが導かれる。

* 体内のセシウム濃度が増すとコルチゾールのレベルも高まり、胎児が子宮内で病気になりやすい。

* セシウムは女性の生殖系の内分泌系機能の乱れをもたらし、不妊の重要因子となりえる。また、妊婦と胎児両方でホルモンの不調の原因となる。

* 妊娠すると母体内にセシウム137は顕著に蓄積する。実験動物では、着床前の胎児死亡の増加、骨格系形成の不調、管骨の成長遅れと形成不全が現れた。

* セシウム137は基本的に胎盤に蓄積するものの、胎児の体内には入らないが、母乳を通じ、母親から子供に汚染は移行する(母乳をあげることで母親の体の汚染は低減される)。多くの系がの時期に作られるので、子供の体に悪影​ 響を与える。

* 子供とティーンエージャーの血液検査で、赤血球、白血球、血小板の減少、リンパ球の増大が見られた。ただし移住した子供に、骨髄の生理状態の回復が見られた。

* 神経系は体内放射能に真っ先に反応する。脳の各部位、特に大脳半球で生命維持に不可欠なモノアミンと神経刺激性アミノ酸の明らかな不釣合いがおき、これがやがてさまざまな発育不良に反映される。

* 体内放射能レベルの高い子供(ベトカ郡、 15―40キュリー/km2)では、視覚器官の病気、特に角膜の病状を伴う眼レンズの変化の頻度が高い。また体内のセシウム 137と白内障発生率の間に正比例関係が明瞭に見られた。

* 子供の体内にセシウムが(19.70±0.90Bq/kg)が長期入ると慢性胃腸病を起こし、自立反応のハイパーシンパチコトニー変化に現れる。

* セシウムの濃度に応じて、活力機構の破壊、たんぱく質の破壊が導かれ、組織発育が阻害される。

* セシウムの影響による体の病理変化は、合併症状を示し、長寿命体内放射能症候群(SLIR)といわれる。SLIR は、セシウムが体内に入ったときに現れ、その程度は入った量と時間とに相関する。

* SLIR は、欠陥、内分泌、免疫、生殖、消化、排尿、胆汁の系における組織的機能変化で明らかになっている。

* SLIR を引き起こすセシウムの量は、年齢、性別、系の機能の状態に依存するが、体内放射能レベルが50Bq/kg 以上の子供は機関や系にかなりの病理変化を持っていた。(心筋における代謝不調は20Bq/kg で記録された​。)

* 汚染地帯、非汚染地帯の双方で、わずかな量の体内セシウムであっても、心臓、肝臓、腎臓をはじめとする生命維持に必要な器官への毒性効果が見られる。

* セシウムの影響は、ニコチン、アルコール、ハイポダイナミアと相乗して憎悪される。

* 1976年と1995年のベラルーシの比較。悪性の腎臓腫瘍が男4倍以上、女 2.8倍以上。悪性膀胱腫瘍が男2倍以上、女1.9倍以上。悪性甲状線腫瘍が男3.4倍以上女5.6倍以上。悪性結腸腫瘍は男女とも2.1倍以上。

* ゴメリ州では腎臓ガンは男5倍、女3.76倍。甲状線ガンは男5倍、女10倍となった。

* 1998年のゴメリ州での死亡率は14%に達したが、出生率は9%(発育不全と先天的障害者含む)だった。妊娠初期における胎児の死亡率がかなり高かった。

* セシウム汚染地の住民の先天的進化欠損が毎年増大している。ここでは多因子欠損が第一位である。

* セシウムの排出に、カリエイ土を加えたペクチン製剤のペクトパルは最も将来性がある製剤のひとつである。

* しかし、セシウムが人体に入るのを防ぐほうが、セシウムを排出したり乱れた代謝を正常にするより容易なことを心に留めるべきである。

『人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響―チェルノブイリの教訓​ セシウム137による内臓の病変と対策 ―』

一冊1000円。注文先:久保田先生の電話・FAX0294・36・2104 mkubota925@yahoo.co.jp
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