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■■■■■■■■■■老いと向かい合う■■■■■■■■■■
中西英樹
タイ王国チェンライ市在住、ロングステイヤー
■■「老害になりようがない」
■老害が生じるには)
⚫️老害とは「企業や政党などで,中心人物が高齢化しても実権を
握りつづけ,若返りが行われていない状態」を言う。
転じて周囲に迷惑を及ぼしたり,周囲を不愉快な気持ちにさせる
老人そのものを指す場合もある。何かと周囲に害を与えること
から,老害と呼ばれる。
うちの会社は老害で、とか県議会の老害は、などと批判する人
は若い人である。
⚫️チェンライに暮らして10年以上になるが、老害と批難された
ことはない。老害は組織の中で発生するが,自分はまず組織とい
うものに属していない。日本人会は組織と言えるかもしれない
が、会員の平均年齢は70歳を越えているのだから、老害と言う
なら全員が老害だ。
老害(老人)は身を引いて実権を若い世代に譲れ,こう発言する
人は若い人である。
●タイの北都チェンライ
日本人会には60歳以下の若い会員もいるが数が少ないし,実権を
譲られても困るので小さくなっている。
周りの若い人と言えばタイ人になってしまうが, こっちは外国に
住まわせてもらっている手前、周囲に迷惑をかけるとか 不愉快
な思いをさせることのないよう自重して暮らしている。だからあ
の日本老人は老害だよ、と言われてはいない(と思う)。
また親日国であるし,先人の築き上げた日本ブランドもあって,敬
意をもって扱われている面さえある。
というわけで チェンライの老人は老害と無関係に暮らしている。
と言っていいだろう。
■石を投げれば老人にあたる」
⚫️ところで日本の総人口に占める高齢者人口の割合の推移をみ
ると、
・1950 年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、
・1985 年に10%
・2005年に20%を超え、
・2021 年は29.1%となり、
数にして3,640万人となっている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると,この割合は今後
も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生ま
れた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込ま
れている。そうなると3人に1人は高齢者だ。
●出所:ニッセイ経済研究所
⚫️年金は少ないし、高齢者となっても働く必要がある,という人
もいるだろう。またお国では一億総活躍社会と言って,引き籠っ
ている老人を非国民とまではいわないが,社会に貢献していない、
少しは働けと無言の圧力をかけている。
家に居れば奥さんに「邪魔だからどこか働きに出て」と 命じら
れるご主人もいる。高齢になっても様々な理由で組織に属して
活動している人は少なくない。それなりに社会のお役にたって
いるのに、若い人に老害と批難されるのでは立つ瀬がない。
組織においては
・よく働く人2割、
・そこそこ働く人6割、
・働かないで足を引っ張る人2割
という割合だそうだ。この割合は年齢には関係がない。
余談であるが働き蟻の集団も全員が同じように働くのではなく
上記の2・6・2の割合になるそうだ。そして 働かない蟻だけの
集団を作ると、やはり2・6・2の割合に落ち着くとか。
■「世代間の軋轢」
⚫️老害の反対語は「この頃の若い者は」だそうだ。
老人は5千年前から同じセリフを吐いていたらしい。世代間の軋
轢は昔からあったが、ほんの百年前は老人の数が少なかったから、
老人の蔑称である老害はあまり使われていなかった。
人生七十古来稀なり、ほとんど老人がいない世であれば老人
には希少価値が付く。供給が少なければ価値が上がるは経済学の
常識だ。ネットや書籍のない時代には古老の話に若者は耳を傾け
た。つまり老人の話に需要があった。
老人敬うべし、は経済原則から言ってもごく当たり前だった。
今のように3人に1人弱が老人となれば、供給過剰で価値が下がる。
スマホもパソコンも使えない、と若い人は老人をバカにする。
現役の頃、新入社員に「パソコンのない時代、どうやって仕事し
ていたんですか」と聞かれて答えに詰まったことがある。
オレの若い頃はナー、算盤で決算書を作ったもんだよ、女子社員
も深夜残業してナーなどと言えば感心してくれるどころか、そん
な自慢話で存在感を示したいのか、と疎まれるのが関の山だ。
自慢話をする老人に限って変にプライドが高いから、なんだ―、
お前はオレをバカにするのか―とキレてしまう。
昔は「切れる人」というと仕事のできる人のことを指したが、
今は若者が老害の代名詞として使うようになった。
⚫️チェンライでは若い人と組んでやるのはテニスくらいだから
若い人との軋轢が生じようがない。周りの邦人は同年配の人ば
かり。利害関係がないしお互い、職歴、学歴、ムショ歴等,個人
的な話は話題に上らない。その人がいい人かどうかだけが 付き
合う基準となる。それに 人間的に質のいい人ははまず自慢話な
どしない。
「君子の交わり」をチェンライで実感するとは思ってもみな
かった。
■■「つまらぬ老後」
■(老後は何年あるか)
⚫️老後とは何歳からか?ある調査によると男性は65歳から女性
は70歳からが老後であるという回答が多かったそうだ。
2020年に厚労省が発表した日本人の平均寿命は、
・男性が81.64歳、
・女性が87.74歳
であるから、男は16年、女性は17年ほどの老後を過ごすことに
なる。自分は後期高齢者であるから残された老後は5年ほどであ
る。
ところで1990年代に国民的人気を誇った100歳姉妹のきんさん、
ぎんさんは、CM出演はもちろんCDも出し、お金がどんどん入っ
てきた。そういった収入はどうなさるのですかという質問に
「老後のために貯金します」と答えている。
100歳は老後じゃない、ということだったのか。自分の老後が平
均であと5年であるのに対し、きんさん、ぎんさんは107歳、108
歳まで生きたから,彼女たちの老後は自分より長かった、というこ
とになりそうだ。
⚫️誰にも老後は来る。老後にどう備えるか、どう過ごすか,
こういった書籍、ユーチューブがよく目につくようになった。
老年精神科医の和田秀樹さんは,6千人以上の高齢者を見てきた経
験から、いい年の年のとり方を考察し,魅力的な理想の老人を、
・「品のある老人」
・「賢い老人」
・「おもしろい老人」
という三つのカテゴリーに分けて解説し、それらを備えているこ
とが「老いの品格」であると言う。
70代、80代の人を販売ターゲットとしたこの著書「老いの品格」
は結構売れているらしい。
この先生は他に
・「50代からはじめる 老けない人の『脳の習慣』」、
・「60歳からはやりたい放題」、
・「70歳が老化の分かれ道」、
・「80歳の壁」、
・「90歳の幸福論」
等の著書がある。まさに高齢者を市場としている。高齢者は増
えるばかりだしお金も多少は持っている。決してニッチな市場
ではない。
■「つまらない老後とは」
⚫️こうした本が売れ、老後関連のユーチューブが多いという事
は「老後」に不安を感じる人が多いからだろう。ユーチューブの
中に「老後つまらない人生を過ごす人の共通点5選」
があったので我が身と引き比べご紹介したい。
1)この年だから、と年を取ったことを言い訳にする)
ジアップ先生が, 真面目な交際をしたいというタイ女 性がい
るのよ,とお見合いを勧めてくれたが「この年だから」と断っ
てしまった。若い子を求めて 紅灯緑酒の巷を徘徊する老人,
ン十歳も若いパートナーと暮らすご同輩は確かに若々しい。
自分も見習うべきだったか。
2) お金がないと何もできないと思っている)
お金はなければないでなんとかなる。帰国してすぐ生活保護を
受けた知人もいる。それほど貧乏でなくてもプミポン前国王の
「足るを知る経済」を実行していれば老後は安心です。
3)これから先、やりたいことがない)
旅行も行きたいし 美味しいものも食べたい。今更 ウインブル
ドンを目指すわけではないが, バシッとスマッシュが決まれば
の気持ちはまだある。
気力,体力が何とかなるうちはやりたいことをやっておきたい。
4)何でも人任せにしている. 何食べる?なんでもいい)
何処に行く?何処でもいい. 自分もこう答えたいのだが、独り
暮らしなの訊いてくれる人がいない。何でも自分でやらない
とものごとが始まらない。
人任せにして自分で決断しない人は認知症になるという。
決められない人はパートナーも呆れて逃げだすとか。カミさ
んに離婚されたが 決断力不足だったのだろうか。
5)日常生活を変える気がない)
老後は毎日が日曜日、生活環境が変わるのであるから日常生
活も当然変えなければいけない。今までの生活を続けたがる
人は結局、つまらない毎日をかこつことになる。新しいこと
に挑戦,の気持ちが大切。
■「自分で決める」
⚫️つまらない老後を送る人の特徴を一言で言えば、自立心が
ないということだ。でも何十年もグダグダとした生活を送って
きた人に65歳からやる気を出せと言っても無理ではないか。
だからつまらない老後だね、と言われようとも 何も決めず、年
だからと積極的に動かず、テレビを眺めて 暮らす生活が快適だ
という人がいてもいい。
このユーチューブでは楽しく老後を暮らすために
1.収入が低くても働く、
2.健康づくりになる趣味を持ち友人を増やせ、
3.シニアサービスを利用する、
この3つを上げている。
でも, 引退後でも仕事をしたい、友人を増やしたい,と少なくとも
自分は思わなかった。老後は不安かもしれない。でも人が何とい
おうとこれでいいのだ。
⚫️つまらぬ老後?
大きなお世話、品格のない老人で何が悪い。
曲がりなりにも60, 70の年を生きてきたのだから, 老人たるもの、
このくらいの気概を持つべきだと思うのだが、違うだろうか。
■■■■■■■■■■関連資料■■■■■■■■■
■■「日本と世界の人口推移(予測)及び世代区分
●出所:ニッセイ経済研究所
■■[日本人の平均的な老後の実態」
●出所:厚生労働省
■当関連資料は、最新の厚生労働省の資料を主体に構成したものです。
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