goo

8月15日

 NHKで「戦場の軍法会議~処刑された日本兵~」を見た。8月15日の前後には、こうした戦争の悲惨さを語り継ぐ番組が毎年放送されるが、戦争に突入した日本の上層部の愚劣さと、戦いの駒としてしか見なされていなかった若き兵士の悲痛な短い命の叫びが胸に詰まって、あまり見たくないTV番組ではあるが、日本国民の義務として、悲憤を堪えてなるべく見るようにしている。
 今年のこの番組も、戦争の暗部をえぐり出す意味で価値あるものだったと思う。その内容はHPによると、以下のよう。

 『7年前の太平洋戦争末期、フィリピンやニューギニアなどの南方戦線で補給が断たれた日本軍に“異常事態”が起きていた。飢えに苦しみ、食糧を求めてジャングルをさまよった日本兵たちが、部隊を勝手に離れたとして「逃亡罪」で次々に拘束され、処刑されたのだ。しかし、当時の記録は、ほとんどが軍によって焼却されたため、その詳細は今まで明らかになってこなかった。
今回NHKでは、その内実に迫る貴重な資料を入手した。戦場で開かれた特設の「軍法会議」で兵士たちを実際に裁いた軍の元法務官が、密かに残した内部文書と14時間に及ぶインタビュー・テープである。兵士たちは、なぜ処刑されたのか。そこで語られていた元法務官の証言は、衝撃的だ。
 軍紀を守るために厳罰を科し“見せしめ”を求めた軍上層部の意向で、本来なら死刑にならない罪でも兵士を処刑した、というのである。「法の番人」であるはずだった法務官たちは、なぜ、軍の上層部に抵抗し続けることができなかったのか。戦場で行われた軍法会議の実態を、ひとりの法務官の軌跡を追うことで明らかにし、戦争の罪を見つめる』

 幸いにして、戦争という極限状態に身を置いたことのない私が、法務官・馬場東作について、彼が戦時において為したことについて何らかの批判をすることは控えたいと思うが、驚いたのは、彼が戦後も長らえ、弁護士資格をとり、さらには弁護士会の副会長にまでなったといことだ。
 NHKの番組を見ていて、一番先に裁かれるべきなのは、法務官であると思った。えん罪とも言うべき案件によって、死刑を確定させた彼が、戦争の呪縛に縛られていたとは言え、人倫の道から外れた判断を下し、戦後ものほほんと暮らしながら、役職の高位にまで上りつめたのには呆れてしまった。彼の判断によって処刑された人びとは、無念の思いで今なお腸が煮えくりかえっているだろうに・・。

 
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする