毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
難しいなあ・・。
激しい雷雨の中、苦労してバスを運転していたら、妻から電話がかかってきた。車を停めて電話に出たところ、
「今どこにいるの?」
「何で?」
「今おばさんの所に来たら、小学生の小さな男の子が雷が恐くて動けなくなって車庫に座っているんだけど、家に帰りたいから送って行ってくれないかな、と思って」
「まだ、10分以上はかかるなあ・・」
と、電話の向こうで、
「10分1人で待ってられる?塾の白いバスが迎えに来るから、それまで大丈夫?」
と子供に訊ねている声が聞こえる。
「待ってるって。私は今からナゴヤドームに行かなきゃ行けないし、おばさんも留守らしいし、あなたに頼むしかないから、お願いね」
「それはいいけど・・」
「青い帽子を被って、ナイキのTシャツ着ている井上くんだから」
「分かった、なるべく早く行くよ・・」
細かな事情はよく分からないけど、雷と大雨で、傘を持っていない少年は伯母の家の軒先で雨宿りをしていたのだろう。そこへ、SMAPのライブへ一緒に行く私の従姉を迎えに行った妻が、その少年を見つけて家まで送っていく手段として私に白羽の矢を立てたのだろう。知らない子を勝手に車に乗せても良いものか、ちょっと心配にはなったが、立ち往生して困り果てている子供を放っておく訳にもいくまい。全身を善意の塊にして行けば、少年も恐れずに乗ってくれるだろうと、思いながら車を走らせた。
思いの外、時間がかかって、伯母の家に着いたのは、電話を受けて20分近く経ってから。ひょっとしたら少年は走って帰ったかもしれない、と不安がよぎったが、1人ぽつねんとうずくまっている少年を見つけたときには、ちょっとホッとした。
「ごめんね、遅くなった・・。きみだよね、ここでバスを待ってたのは」
「うん」
と元気よく立ち上がって、荷物を持ってバスに乗り込んできた。
「おお、元気だな。よかった」
ささっと助手席に座った少年に、
「家は坂の上だってね」
と妻に聞いた情報を確かめてみたら、
「そうだよ」
とはきはきと答えた。
「じゃあ、出発するけど、家の近くまで行ったら、家が何処にあるのか教えてくれよ」
「分かった」
「でもね、誰の車にでも乗っていいわけじゃないよ。ちゃんと知った人の車しか乗っちゃダメだぞ」
「うん。分かってる」
「どこかに連れて行かれたらいけないからね」
「うん」
私としてはくどいくらいに念を押したつもりだが、今回が緊急避難的処置であり、あくまで例外として考えてくれなければならないことを、こんな小さな子供が理解するのは難しいかもしれないな、とまた一抹の不安が心に広がった。
「じゃあね。バイバイ」
と少年を家の前で下ろした後、妻に電話した。
「今下ろしたよ」
「ありがとう」
「でも、よかったのかな、こんなことして」
「家の電話番号を聞いても分からないって言うし、迎えに来てくれる人もいないって言うから、雷が恐くてワンワン泣いている子を宥めるにはこれしか方法がなかったから・・」
「そうだなあ・・。難しいなあ・・」
井上くんが今回は滅多にない例外だときちんと理解して、これからは「知らない人の車には乗らないように」という言いつけを守ってくれることを祈るばかりだ。
「今どこにいるの?」
「何で?」
「今おばさんの所に来たら、小学生の小さな男の子が雷が恐くて動けなくなって車庫に座っているんだけど、家に帰りたいから送って行ってくれないかな、と思って」
「まだ、10分以上はかかるなあ・・」
と、電話の向こうで、
「10分1人で待ってられる?塾の白いバスが迎えに来るから、それまで大丈夫?」
と子供に訊ねている声が聞こえる。
「待ってるって。私は今からナゴヤドームに行かなきゃ行けないし、おばさんも留守らしいし、あなたに頼むしかないから、お願いね」
「それはいいけど・・」
「青い帽子を被って、ナイキのTシャツ着ている井上くんだから」
「分かった、なるべく早く行くよ・・」
細かな事情はよく分からないけど、雷と大雨で、傘を持っていない少年は伯母の家の軒先で雨宿りをしていたのだろう。そこへ、SMAPのライブへ一緒に行く私の従姉を迎えに行った妻が、その少年を見つけて家まで送っていく手段として私に白羽の矢を立てたのだろう。知らない子を勝手に車に乗せても良いものか、ちょっと心配にはなったが、立ち往生して困り果てている子供を放っておく訳にもいくまい。全身を善意の塊にして行けば、少年も恐れずに乗ってくれるだろうと、思いながら車を走らせた。
思いの外、時間がかかって、伯母の家に着いたのは、電話を受けて20分近く経ってから。ひょっとしたら少年は走って帰ったかもしれない、と不安がよぎったが、1人ぽつねんとうずくまっている少年を見つけたときには、ちょっとホッとした。
「ごめんね、遅くなった・・。きみだよね、ここでバスを待ってたのは」
「うん」
と元気よく立ち上がって、荷物を持ってバスに乗り込んできた。
「おお、元気だな。よかった」
ささっと助手席に座った少年に、
「家は坂の上だってね」
と妻に聞いた情報を確かめてみたら、
「そうだよ」
とはきはきと答えた。
「じゃあ、出発するけど、家の近くまで行ったら、家が何処にあるのか教えてくれよ」
「分かった」
「でもね、誰の車にでも乗っていいわけじゃないよ。ちゃんと知った人の車しか乗っちゃダメだぞ」
「うん。分かってる」
「どこかに連れて行かれたらいけないからね」
「うん」
私としてはくどいくらいに念を押したつもりだが、今回が緊急避難的処置であり、あくまで例外として考えてくれなければならないことを、こんな小さな子供が理解するのは難しいかもしれないな、とまた一抹の不安が心に広がった。
「じゃあね。バイバイ」
と少年を家の前で下ろした後、妻に電話した。
「今下ろしたよ」
「ありがとう」
「でも、よかったのかな、こんなことして」
「家の電話番号を聞いても分からないって言うし、迎えに来てくれる人もいないって言うから、雷が恐くてワンワン泣いている子を宥めるにはこれしか方法がなかったから・・」
「そうだなあ・・。難しいなあ・・」
井上くんが今回は滅多にない例外だときちんと理解して、これからは「知らない人の車には乗らないように」という言いつけを守ってくれることを祈るばかりだ。
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