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「成瀬は天下を取りにいく」

 「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ。週刊誌で作者の宮島未奈が京大文学部の卒業生だと知って、どんな小説なのか知りたくなって読んでみることにした。
主人公・成瀬あかりにまつわる短編がいくつか合わさって一冊の本となっている体裁。最初の一章二章は面白かった。成瀬あかりの中性的な物言い、緊張したことがないという行動力、二百歳まで生きるとかM 1グランプリに出るとか、ちょっとした大言壮語も成瀬のキャラを彩るものとして可笑しかった。
 しかし、語り手が相方の島崎から別の人に変わり、その人物の目線で語られ出してからは、なんだか面白くなくなった。どこかのマンガで読んだことのあるような話が多くなり、これならマンガの方が面白いぞと思い始めて、先を読みたい気持ちが少し萎えてしまった。逆に言えば、今のマンガのストーリーはそんじょそこいらの小説よりも遥かに豊かで想像力に富んでいるから、それらを超えて読者を惹きつけるには物語の面白みだけではなく、文章の独特な魅力が必要なんだろうなと思った。
 続編もあるようだから読んでみようかと思うけど、ちょっと迷うなあ、というのが読後直後の素直な感想。
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